【第12回】日本最古のレンズメーカーの挑戦-若狭光学研究所社長 風間 清彦氏(神奈川)

~技術力を中心に据えた経営~

若狭光学研究所 社長
風間 清彦氏(神奈川)

80年の歴史を持つレンズメーカー

 潮風かおるJR逗子駅から「なぎさ通り」を経ると、大正時代から創業している若狭光学研究所(風間清彦社長、神奈川同友会会員)が見えます。同社は、初代社長の若狭吉次郎氏が光学器械器具が外国製に依存している状態を嘆き、その脱却をめざして創立しました。

 逗子での創業は、横須賀に軍事基地があり、特殊レンズを扱う同社にとっては、大砲や双眼鏡などの装備において需要が多くあったためです。レンズメーカーとしては、日本で最古。30年以上前に製作した「郵便番号読み取り機」は同社の商品です。

社内改革で業績回復

 風間氏は3年前、経営に行き詰まった時期に前社長から請われ、社長に就任しました。全く別の業界からの転身でしたが、就任後、社内改革に努め、3年間で社員の3分の2が入れ代わるということになりながらも業績を回復させてきました。

 社員ととことん話し合ったのは、仕事の本質的意味についてです。それは会社が社会に求められる価値を創造し、社会的存在意義を明らかにしていくことでした。現在では、社員が自主的な勉強会を行っています。

 また、風間社長の「残業するとどうしても集中力が落ちる。限られた時間の方が必ず効率が良い」という強い考えにより「残業なし」が実践されています。

技術力を武器に市場開拓

 光と密接な関係がある同社の製品は、時代のニーズとともに変化してきました。現在の主力商品は、1、特殊レンズ(プロジェクター用レンズ等、ガラスレンズに特化)、2、光学を利用した各種テスター(液晶テレビの液斑検査装置やカメラフィルムの検査装置等)です。製品設計から全て一貫して取り組まれています。

 昨今では、アジア(韓国を中心とした)の光学関係機器分野での製品の輸出も行われ、同社の技術力の高さが注目されています。市場がアジアにシフトする一方で、地域とのかかわりも重視しています。逗子市内における唯一の製造業でもあり、積極的な工場見学の受け入れや将来的には地域のエンドユーザーと直接な関係づくりをめざしています。

同友会のネットワークを期待して

 同友会へは、同友会のホームページをきっかけに知り、入会しました。自社の特殊分野とさまざまな製造業を中心にしたネットワークで、これからの可能性を考えたいという期待からです。「相互の強みや良いものを持ち寄り、ノウハウを交流することで、新しい時代に対応する企業づくりができてくるのでは」と風間社長は語ります。

会社概要

 創業:1924年
 従業員数:30名
 資本金:1130万円
 年商:5億円
 事業内容:光学関係機器を中心とした精密機械の設計・開発・製造
 所在地:神奈川県逗子市逗子1-9-23
 TEL:046-871-2897
 FAX:046-873-1038
 URL:http://www.wakasa-opt.com/
 E-mail:info@wakasa-opt.com