【第35回】愛情でパッケ-ジされたイチゴを地域に届ける-(有)スカイファ-ム社長 川西 裕幸氏(香川)

(有)スカイファ-ム 社長
川西 裕幸氏(香川)

地域に根をはる熱い思い

 川西裕幸(有)スカイファ-ム社長(香川同友会会員)は大学の農学部卒業後、農業関係の地元企業へ入社しましたが、農業にかける“熱い思い”の実現を目指して脱サラを敢行。果物の中でも最も難しいと言われているイチゴ栽培の専業農家として、敷地面積2200平方メートルのハウス施設から始め、増設を重ねながら今では5000平方メートルを有するまでに成長しました。

 イチゴ栽培は苗を植えてから1年が周期ですが、天候に左右されやすく、毎年新しい発見があって奥が深い事業です。川西氏は「イチゴは愛情を持って育てると必ずそれに答えてくれる。同友会でいう人づくりに通じることだ」とし、支部例会、全県行事などへ積極的に参加し、自己変革の糧となる「理念」を語り合い、磨きあい、日々学びと実践を重ねています。

愛情を注ぐ商品への健康管理

 イチゴ栽培へのこだわりは「安心・安全・新鮮」を徹底して追求していますが、おいしさの源泉として、毎日毎日、人手を惜しまず愛情と手間をかけてイチゴの健康管理をしています。とりわけ、同じ品質のイチゴを年間通して造りつづけることに傾注しています。新しい技術にも挑戦していますが、農薬を減らすために天敵農法を採用し、人間には害を及ぼさない虫を使って、化学農薬を減らすことに心がけています。

 また、アルカリイオン水をかん水にブレンドして丈夫な株づくりを心がけ、日本一の品質と信頼を目指しています。

地域に理念を届ける

 (有)スカイファ-ムの経営理念は「農業を通じてお客様に感動を届けます」。感動へのこだわりとして「完熟朝採りにこだわる」手法を採用しています。「旬(ちぎりたて)を楽しむ感動」の提供と真髄は早朝に完熟イチゴを収穫し、その日のうちにお客様へ届けることにこだわります。そのため、販売エリアを県内の顧客に限定しています。

 農家と生活者を結ぶ距離を少しでも短くしたいとの思いから、情報発信によって距離を短くする工夫にも取り組んでいます。地元のス-パ-に、枝つきの完熟イチゴを通い箱に入れて納品をします。店頭に並ぶ時には、「朝採りイチゴ」のネ-ミングで名前と写真入りの表示をしています。大企業では対応できない中小企業ならではのニッチ市場で勝負し、機械化ではない、愛情で栽培されたイチゴの地域発信に努めています。

 そして、農作業の体験型学習にも取り組んでおり、地元小学生にイチゴ狩りや栽培方法から農作業の仕方を学ぶ機会を設けています。また、高齢化と後継者不足から発生する遊休地を借り上げる努力もしています。

共に育む将来展望

 発足当初は、志を同じくする3人の仲間とグル-プで各種の取り組みを行いました。その後、有限会社を組織化した時は、多くの異業種の企業家から出資を受けることとなりました。若い地域の農家がグル-プを組み、家族経営のメリットと企業経営のシステムを取り入れた新しい農業形態を創造し、「農家が夢を持てる経営」に挑戦しています。

会社概要

 創業:1998年
 従業員数:3名(グル-プ)
 資本金:700万円
 年商:4500万円(グル-プ)
 事業内容:イチゴを中心とした農産物の生産、加工、
       販売(イチゴ・イチゴ苗・鉢植えイチゴ)
 所在地:高松市飯田町656-1
 TEL:087-881-5256
 e-mail:ichigo@skyfarm.jp