【第39回】地球環境に優しく、日本の物流を変える!-(株)伊万里大国段ボール社長 福井 秀平氏(佐賀)

(株)伊万里大国段ボール 社長
福井 秀平氏(佐賀)

 
 (株)伊万里大国段ボール(福井秀平社長、佐賀同友会会員)がある伊万里市は地元に伊万里焼、近隣に有田焼など陶器で有名です。

 国家公務員だった福井社長が父親の会社に入社したのは、今から約17年前。経営の知識がなく悩んでいたところ出合ったのが、佐賀同友会準備会の中心メンバーが行っていた勉強会でした。そこから佐賀同友会が設立されて以来、福井氏はずっと佐賀同友会へ元気を与える存在です。

地球に優しい箱づくり

 (株)伊万里大国段ボールは、もともと、地元の陶器を入れる箱をメインとしていました。しかし、陶器業界の流れとともに段ボールへの需要が少なくなったため、工業製品を入れる箱造りへと転換をはかりました。

 工業製品用の箱造りを軌道に乗せた福井社長は、これからの世の中の流れを見据え、更なる転換を図りました。その時、心に強く浮かんだのは「環境に負荷をかけない箱造り」でした。

 段ボールはもともと、リサイクルの優等生と言われています。しかし、そのリサイクルの過程では大量の水、薬品、エネルギーを使います。果たしてリサイクルは地球に優しいのかと疑問を感じた福井社長は、リユースに着目しました。プラスチックで箱を作ればリユースできるし、リサイクルの際も、紙の場合よりもエネルギーなどの点から地球に優しいということです。

 そうしてできたのが、3温度帯対応の「通い箱」です。「リユースできるから、紙に比べると確かに受注のリピート回数は減る。でも、わが社は地球に優しい箱を作りたい」と福井社長は語ります。

物流改革を目指し日々前進

 「もっと自分の仕事で地球環境に寄与できることはないか」と考えた福井社長は、物流の現状に目を着けました。現在の物流では冷蔵車、冷凍車が活躍しています。しかし、これらの車は普通のトラックと比べると、燃費が20~25%違います。車自体に機能を持たせるのではなく、箱に機能を持たせれば普通のトラックで運ぶことができ、CO2も削減できると考えました。また、お客さん、物流業者からも、一定の温度を保てる箱へのニーズが高いという背景もありました。

 そして、今、高断熱の箱の開発中です。「この箱が商品として確立できたら、日本の物流業界は変わる。わが社が日本の物流を変える」と福井社長は熱い思いを語ります。「同友会で学び、時代の流れの中での自社のするべきことについてマクロ的、ミクロ的な見方、考え方をすることができるようになった」と話す福井社長は、包装業界という成熟産業の中で、日々、新しい市場の創造に取り組んでいます。

 毎月、月初めの朝礼では、その月の経営計画を全社員に発表し、社内一丸となって地球環境保全に貢献する商品作りを行っています。「将来的には、自社のノウハウを地域、全国の同業者にも伝授し、自社だけでなく同業他社、物流業者と共に地球に優しい箱造り、物流を広めたい」と日々前進中です。

会社概要

 創業:1972年
 従業員数:25名
 資本金:1000万円
 年商:4億円
 事業内容:梱包資材の製造、販売
 所在地:佐賀県伊万里市大川内町甲984-3
 TEL:0955-22-4185
 URL:http://www.imari-d.com/