【第42回】新鮮でおいしいこだわり卵「TANTAN」-(株)小南商店専務 小南 弘氏(大分)

(株)小南商店 専務
小南 弘氏(大分)

時代に合わせて事業展開

 明治の文明思想家・福沢諭吉の里、大分県中津市にある(株)小南商店(小南弘専務、大分同友会会員)は、もともと、小南氏の祖父が昭和初期に和傘の製造・販売をしていたのが始まりです。当時、中津和傘は、全国的にも有名でした。

 その後、小南氏の父親の代には、農家や養鶏場などへの飼料販売を開始しましたが、東京オリンピック時期の高度成長時代をピークに、やがて農業の衰退と共に販売先が減少。当時、飼料代の換わりに現物の卵をもらい、業務用として販売していたのが現在の業容の始まりです。

 20年前に小南専務が入社して陣頭指揮を執るようになってからは、鶏卵卸に重点をおき、スーパーなどを開拓しました。売上も急激に伸び順調に成長してきましたが、物価の優等生と言われる卵も小売競争と価格競争の激化で利益が薄くなってきました。その時、スーパーに来ていたあるお客様から「この卵は生で食べることができるの? 」と聞かれ、消費者が安心して生で食べられる卵を販売することに気づきました。

日本の文化「たまごかけごはん」を守るために

 こだわり卵として、生まれた卵を宅配ですぐにお客様へ届ける方法に取り組みました。こだわり卵の特徴は、(1)選りすぐったこだわり飼料を与えているのでしっかりした卵白、あざやかな黄味と甘味のある濃い味、(2)鶏にこだわり、150日齢から350日齢の若鶏の期間だけに限定した卵を産卵日の翌日に届ける、(3)衛生面にこだわり、オゾン水洗卵+紫外線殺菌を行い、サルモネラ菌定期検査済の安全・安心を追求しているということです。日本の食文化である「たまごかけごはん」を守るため、新鮮・安心・安全にとことんこだわりました。

 同友会へは2001年に入会。毎日の売上を気にする日々でしたが、同友会で学ぶうちに経営理念の大切さを痛感。大分同友会の経営指針成文化セミナーに参加し、「何のために経営しているのか」「どんな会社にしたいのか」を考える中で、経営理念を成文化、また、経営方針も作成しました。経営者としての仕事に目覚め、自分が変わらないと社内や社員が変わらないことに気づきました。理念の浸透と社員とコミュニケーションを取ることを大切するようになり、少しずつですが社内の雰囲気も変化してきました。

たまごキッチンママンのオープン

 2004年には鳥インフルエンザが大分県で発生。地域的にウィルスの影響が無くても、消費者に安全を理解していただくまで苦しい時期が続きました。そこで、以前から考えていた、こだわり卵を使用した加工品の販売を始めました。同社の敷地内に南欧風のお店をオープン。プリンやロールケーキを販売するたまご工房です。素材の味を大切に、卵がいろいろなかたちに姿を変え、来店したお客さんを楽しませています。卵の販売に偏っていた売上から、加工販売へと新たな展開です。

 「将来的には卵料理のお店や卵料理の教室などを通して地域の人々とのコミュニケーションが取れ、地域の役に立ち、卵のファンが増えれば」と小南専務は語ります。

会社概要

 創業:1933年
 従業員数:35名(パート含む)
 資本金:1000万円
 年商:4億円
 事業内容:鶏卵の卸・小売、洋菓子製造販売
 本社所在地:大分県中津市中央町2丁目788-1
 TEL:0979-22-5468
 FAX:0979-22-5450
 URL:http://ww61.tiki.ne.jp/~kominamiegg/