【第45回】世界一(ミネラル含有数)の自然塩「雪塩」-(株)パラダイスプラン社長 西里 長治氏(沖縄)

(株)パラダイスプラン 社長
西里 長治氏(沖縄)

無限の可能性を信じて挑戦

 (株)パラダイスプランの西里長治社長(沖縄同友会会員)は、沖縄本島で4年間勤めた農業関連の会社を26歳の時に辞め、宮古島に帰り、1994年地元上野村(現宮古島市)のトロピカル構想にのって、村から土地を借りてパラダイスプランを興しました。そして翌年、蝶々園をオープン。しかし、事業は計画どおりには行かず、3期までに4000万円を超える累積赤字を抱えてしまいます。「蝶々園だけではやっていけない」という思いから、浄化槽などほかの事業を加え会社の安定をはかりました。

 このころ(1998年)に沖縄同友会の経営指針作成セミナー(作成塾)を初めて受けます。「目からウロコ」のカルチャーショックを受け、会社を興した時の志を思いおこします。「自分は何のために会社を経営しているのだろう」と、自問自答しながら何度も何度も書き、経営理念を成文化します。セミナーは、本人自身が3回受け、現在の経営理念「私たちは 世界中から選ばれる企業になるため 社業を通じて沖縄の発展に貢献するため 無限の可能性を信じて挑戦し続けます」につながっています。経営幹部には同友会の経営指針作成塾をそのつど受講させ、浸透をはかっています。

宮古島の特徴を生かした雪塩(ゆきしお)

 塩の製造は、関連会社で1998年に始めていましたが、2000年に事業をパラダイスプランに移行。この関連会社は、もともと製糖工場のバガス(さとうきびの搾りかす)をパルプにするための事業でしたが、うまくいかず、逆にその技術を応用して開発したのが塩の製造方法(特許)です。

 雪塩は、この製造方法と原材料である海水に、ほかの塩とは違う大きな特色があります。宮古島は、隆起珊瑚礁が堆積してできた石灰岩層からなる島。雪塩は、この隆起珊瑚礁に掘った井戸を使って約20メートルの地下から汲み上げた地下海水を使用しています。そのため、ミネラル分が豊富に含まれています。それを独自の製造法(特許)が、ミネラル分を逃がさない=ニガリ成分100%を残しています。ミネラル含有数世界一の自然塩として、ギネスに認定されています。

 こうした特徴が徐々に工場への見学者も増え、販路も拡大していきます。年間約150トンの生産で、3分の2は県外に出荷しています。西里社長の目標は「10年後、『雪塩』を世界30カ国で販売すること」です。

「社会の公器」を実感

 パラダイスプランのメインの事業は、蝶々園と雪塩でした。しかし、2003年9月に宮古島を襲った台風14号によって蝶々園は壊滅に近い被害を受けました。同友会はじめ全国からの激励を受け、西里社長は「会社は公器なのだ」ということを痛感し、復旧します。現在、㈱パラダイスプランは製塩事業を中心に経営し、蝶々園は、農業生産法人有限会社パラダイスファームを立ち上げて運営しています。

会社概要

 創業:1994年
 社員数:44名(パート含む)
 資本金:6800万円
 年商:3億2400万円
 事業内容:宮古島の雪塩の製造販売
 本社所在地:沖縄県宮古島市上野字野原1190-188
  TEL:0980-76-6070 FAX:0980-76-3889
 製塩所:沖縄県宮古島市平良字狩俣191
  TEL:0980-72-5667 FAX:0980-72-5210
 URL:http://www.yukisio.com/