【第46回】見方を変えてビジネスチャンスをつかむ-(有)ネキスト社長 山崎 秀樹氏(山口)

(有)ネキスト 社長
山崎 秀樹氏(山口)

地域資源を生かして再スタート

 山崎秀樹氏((有)ネキスト社長、山口同友会会員)は、証券会社に就職後、日本に見切りをつけて中国で事業をするも失敗。無一文で、生まれ育った防府市鈴屋に1995年に帰ってきました。周りは一面の田んぼ。そんな田舎で、切迫感はありませんが将来への不安を感じていました。

 身を沈めて周りを見渡した時、「安くて安全なものを」という思いと、キャッシュフローを生むために「何かを始めなくては」との思いがわき、自宅で栽培していたイチゴを「朝取りイチゴ」としてパック販売しました。しかし、売れだすと生産が間に合わず断念。また、マーケットプレイヤー(市場の仕組み)として近所の農家と契約し、「野菜の百円市」を開きましたが、ここでも安定供給ができませんでした。

 地域にある資源を生かして、地域の活性化が図れないかと考え、次に、主婦に着眼。遊んでいる労働力を生かして事業につなげないかと試行錯誤し、賃仕事(内職の仕事)の仲介を始め、そこから自動車等の部品組み立てを行う事業へと展開させて現在の(有)ネキストを設立しました。

隠されたビジネスチャンスを見抜く目

 同友会へは2002年に入会。それまでは、一人で何もわからず、不安なまま経営をしていました。同友会で、同じ悩みを持って苦労している仲間に出会い、励まされながら、雇用を生み出す中小企業の役割や信用される企業づくりを学びました。現在、ネキストでは、納期や品質など約束はきちんと守る、ビジネスチャンスをつかむため仕事は選ばない、ノウハウを蓄積し仕事の効率を上げる、顧客企業の状況を把握して的確なアドバスをする、などあてにしあてにされる関係づくりに日々努力を惜しまず、ビジネスチャンスを広げています。

 また、証券マン時代の経験を生かしながら、ニッチ分野にも挑戦。企業をモジュール化し、単品ではなくセットにしての販売や納品を行っています。たとえば、量販店で販売される商品の袋詰め作業など。「低価格の仕事にこそビジネスチャンスが隠されている」と山崎氏は言います。債券売買で一億や二億円という商いをし、単価にすれば一銭や二銭の利益を出すことが仕事であった元証券マンならではの考え方です。債券売買での利益率を考えれば、低価格とされている袋詰め作業などは、まだまだ効率の良い仕事であるとのことです。

 ほかにも、自社の事業を広い視野で見直す中で新事業展開を考えています。現在、中国製品を輸入するとコンテナ内の約半数が国内基準では「不良品」と言われていますが、山崎氏はそこに着目し、「製品の選別も、国際競争力から考えるとビジネスチャンスになる」といいます。さらに、国事情を知らないがために為替変動の影響を受け、不利な仕事をしている企業も多いことから、「国内企業のリスクをいかに少なくするかの仕組みづくりが次のビジネスチャンスになる」とも言います。元国際証券マン山崎氏は、常に目を光らせ、日本と中国を忙しく行き来しています。

会社概要

 創業:1995年
 社員数:12名(パート・アルバイト60名)
 資本金:600万円
 年商:3億5000万円
 事業内容:自動車及び自転車部品組み立てなど
 本社所在地:山口県防府市大字鈴屋487-1
 TEL:0835-36-5808
 FAX:0835-36-5004