【第24回】経営者の気づきが会社を変え、社員を育てる-(株)塗装館エス・エス 社長 坂井 章氏(石川)


経営者の気づきが会社を変え、社員を育てる

(株)塗装館エス・エス 社長
坂井 章氏(石川)

 金沢市郊外、国道8号線沿いにある(株)塗装館エス・エス(坂井章社長、石川同友会会員)の本社社屋は、その内外にさまざまな塗材が使用されており、社屋すべてが塗装見本になっています。塗装というと建築・構造物塗装を思う人が多いですが、同社は、塗材を使用した少ロット・多品種の製品開発にも力をいれています。塗料を使って布に加工し、マウスパッドや障子用布などをつくる金沢染“舞華”(まいか)シリーズの鮮やかさは、一見の価値があります。(ホームページをご覧下さい)

 構造物塗装は地元中心で、価格競争や大手の進出などが激化しており、将来性、生き残りを考えると厳しい状況があること、また、独自性を出し、全国・大手商社と取り引きしたいという夢を社長である坂井氏がもっていたことから、同社では塗材を使用した製品開発に力を入れるようになりました。その結果、製品開発では「石川ブランド賞」を何回も受賞。早くから東京事務所も設置し、行政の支援を得ながら商談・展示会を開催しながら大手商社とのルート開発に励んでいます。

経営者自身が変わることから

 最近、大きな気づきをもとに行動・実践している坂井氏。「経営者と社員という立場から仕事では上下関係があっても、社員も人間。同じ人として接することが基本」と、改めて思い当たりました。「社員以外の人と話す時は、相手の立場を思っているのに、社員だとなぜできなかったのか? 自分に問題があったのではないか? まず、自分が変わることから始めよう」と取り組みはじめました。

 「社員には、お互いに理解しあって楽しく働いてもらいたい。自分は経営者として“はだかの王様”になっていなかったか」と見つめ直し、社員に問いかけ、社員の話を聞く時間を増やしました。そして、役員(身内)も社内では公私を区別。指示命令系統も明確にして、会社の方針を、全員が思いを1つに取り組めるようにしました。また、会議も、わかりやすく、社員が自分の意見を言いやすいものとなるように工夫しています。

一緒に、本気で汗をかくことから

 社員は十人十色。一人ひとりの意見を聞くこと、そのための準備、会議の資料作りは大変です。しかし、社長の変化を社員も何となく感じとり、自分の思いを少しずつ発言してくれるようになったと喜ぶ坂井氏は、「最近は怒らなくなった」と自分自身の変化も分析しています。

 「人育て、社員との意思疎通は本当に大変。でも、経営者は気づきがあった時が新たなスタート。まだ51歳、いろいろなことができる。気づきができることに感謝し、さらに自分が変わるために、新しく採用する社員と一緒に本気になって汗をかいて頑張りたい」と語ってくれました。

会社概要

創業:1978年10月
資本金:1750万円
年商:1億円
社員数:8名、パート6名
事業内容塗装工事、塗材製品の開発・製造
本社:石川県金沢市千木1丁目75番地
    TEL:076-253-1500  FAX:076-253-4050
プリントメディア事業部:東京都中央区東日本橋3丁目6番12号 東日パークビル6F
    TEL:03-5640-5880  FAX:03-5640-5881
URL:http://www.tosokan.jp/