シリーズインデックス:人を生かす経営

【第27回】廃業勧告を乗り越えて-和田金型工業(株) 社長 平瀬 清氏(兵庫)(2006.09.27)

廃業勧告を乗り越えて~社員と共に会社の再生に取り組む~

  和田金型工業(株) 社長
平瀬 清氏(兵庫)




 和田金型工業(株)(平瀬清社長、兵庫同友会会員)は、1922年に靴の町、神戸長田でゴム靴の金型を製造する会社として創業しました。平瀬氏は、ケミカルシューズの製造が最盛期の1977年に入社。そして、1985年に先代(義父)の命を受け、社長に就任します。当時は、カールルイスの靴の金型をつくったり、国内スキー靴の金型の大半をつくったりと技術力も高く、会社も順調でしたが、先代の軍隊調の強烈なトップダウンと、組織もない職人の徒弟制の大家族主義というとんでもない会社でした。

社員を裏切れない!

   それから、徐々に長田のまちが活気を失い、靴も金型も海外移転し始めました。危機感を募らせた平瀬氏は、職人頼みの仕事を近代化しようと、コンピューターの導入などを試みますが、「職人の仕事を奪うのか」と先代にことごとく反対されてしまいます。また、業績が悪化する中、阪神淡路大震災に遭遇。幸い本社の被害は少なく、郊外の工場に移転し操業を始めますが、主要な取引先はますます海外移転をすすめ、みるみる受注が減りました。そんな中、先代が亡くなりました。その途端、取引銀行が飛んできて、事業縮小どころか「資産があるうちに廃業するしかない」とまで勧告されました。

 平瀬氏は、大学生のころ、実の父親が経営していた会社を父親の死後、信頼していた専務に裏切られ、会社を売却された経験があります。「あの時と同じようなことが自分にできるはずがないし、震災で目の前で親が焼け死んだり、被災した社員が一所懸命頑張っているのに、会社を清算してお金を残し自分たちだけいい目になるようなことはできない」。悩みながらも、廃業せずに会社を継続しようと決意し、さまざまな改革に取り組み始めました。就業規則や給与規則の整備や決算書の勉強会、コストや納期の意識改革をはかるための勉強会を行うなど、職人の会社から、社員やお客様にとってよい会社にしようと奮闘しました。

若い社員を世界で通用する技術者に

   そのような状況の中、1998年に同友会へ入会しました。同友会で共同求人活動に参加し、初めて大卒を採用。経営指針成文化セミナーに参加して経営指針も発表しました。工場の革新プログラムも導入し、3年、4年と必死に頑張りますが、業績は逆に悪化し、社員も自分もガタガタになったとのこと。心の中では「おれがこれだけやっているのに、社員はついてこない。若い社員が辞めていくのも、幹部が悪いからだ」と考えていたと平瀬氏はいいます。

 しかし、同友会の人材育成委員会に参加し、ふっと肩の力が抜けたとき、社員を教えているつもりが、欠点を探してコントロールしようとしている自分に気づきました。そして、この気づきにより、以前の勉強会から社員が自主的に継続していた「4S+1S活動」(整理、整頓、清掃、清潔+しつけ)が、社風を徐々に変えていっていることにも気づくことができました。

 今では、自動車関連の金型製作でメーカーの信頼を勝ち取り、業績も伸びつつあります。「その仕事が取れたとき、若い社員の技術力がメーカーの研究者に評価されたと本当にうれしく思った。若い社員を、世界中どこへ行っても通用する技術者に育てることが経営者としての責務と夢です」と語る平瀬氏です。


●会社概要

創業:1922年
資本金:1000万円
年商:6億円
社員数:40人
事業内容:ゴム・プラスチック用金型の設計・製造
所在地:神戸市西区伊川谷町潤和大狂言1452-1
TEL:078-974-3521
FAX:078-974-3522
URL:http://www.wadakk.co.jp/

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