【第34回】自己改革で社員と共に歩むと真の扉が開く-オリ-ブ美家工業(株) 専務取締役 田中 弘之氏(香川)


自己改革で社員と共に歩むと真の扉が開く

オリ-ブ美家工業(株) 専務取締役
田中 弘之氏(香川)

学びへの道程

 オリ-ブ美家工業(株)(田中弘之専務、香川同友会会員)は1959年に創業して以来、西日本地区でビル管理業ではお客様から屈指の信頼を得ている会社です。田中氏は大学を卒業して2年後に入社しますが、社長の息子だというレッテルをつけられて苦難の道程が始まりました。

 やがて、当社の岡山支店へ名ばかりの責任者として転勤―実質は左遷となりました。当時の岡山支店は得意先が2件で、母親ほどの年齢である従業員の賃金も最低賃金すれすれ。最悪の環境と現実にショックを受けながらも、「よし、自分が努力して、人に言えるだけの給与と賞与が払える会社に絶対にする!」と田中氏は覚悟を決めます。まず、利益を上げるためには得意先を増やすことだと考え、営業の原点である飛び込み訪問から土台をつくり始めました。

社員に裏切られ、社員に助けられる

 売上高も順調に伸びると契約も大型となり、その規模にともない従業員も必要となります。契約によっては10人単位で雇用するのですが、社員教育もできていない状態で送り出す状況となりました。そうなるとトラブルの連続です。たとえば、あるホテルから大型の契約解除が通告され、その後ホテルへ行ってみると前の従業員が全員残って仕事をしていたり、見積りを出すとすぐに合い見積りが出されるので原因を調査すると事務員が情報を流していたり。会社の根幹から崩れていく状況が続きました。

 そうした中、1987年に同友会へ入会。社員教育を学びますが「社員が真のパートナーとなっているか」「最後に頼るのは社員ではないか」との問いかけに対して、当時は「『何を言っているんだ!』と反発していました」と言います。

 ある時、兵庫県赤穂市のスーパーマーケットの清掃管理業務を受注したのですが、知名度が低いこともあり、社員を採用できませんでした。当然、店長から契約解除の通告がでます。田中氏は岡山支店を見回し、女性社員に頭を下げてお願いをしました。岡山市から赤穂市への通勤時間もあわせると過酷な労働条件ですが、その女性社員は快く田中氏の依頼を受けてくれたのです。そして、社員が採用できるまでの三週間、がんばってくれました。田中氏はこの時、「本当に困った時に頼るのは社員しかいない」と気づくのでした。

社員の笑顔が大好き

 それから同友会の「経営理念を創(つく)る会」に参加して経営指針を作成し、社内発表を行いました。経営理念に掲げている「社員の働きがいと顧客満足の一致」について社内で徹底的に議論し、考え方の一致に取り組みました。そして田中氏は、社員と顧客を喜ばせて信頼を得るためには「まず、自分ができていないことに気づいて変わること」だと結論づけました。

 「何のために経営をしているのか? 理念を徹底的に問いかけ自問自答すること。人生で仕事をつうじて自己実現ができたのかが大切。そして、お客様や地域の人々、何よりも社員の笑顔が見られることに喜びを感じている」と語る田中氏です。

会社概要

創業:1959年1月
資本金:2000万円
社員数:850名(パ-ト含)
事業内容:総合ビル管理、設備管理、清掃管理、警備防災管理、環境衛生管理、ファシリティ-マネ-ジメント
所在地:香川県高松市天神前4-31
TEL:087-831-6580
FAX:087-861-0188
URL:http://www.netwave.or.jp/%7Eolivebik/