【第14回】先が見えない経営から先を読む経営へ-(株)水口 社長 水口 勉氏(神奈川)

(株)水口 社長
水口 勉氏(神奈川)

経営に対する考え方が大きく変わった

 水口勉社長((株)水口、神奈川同友会会員)は、73年前に祖父が創業した墓石の設計施工を営む水口石材店に入社。1983年、当時2代目の父が病で倒れ、大学を辞めての急な入社でした。叔父が会社を引き継ぎ、11年間ともに仕事を続けてきましたが、経営に対するあり方でうまく折り合わずに独立。1995年に弟と2人で現会社を立ち上げました。

 新創業した2人はがむしゃらに、「単に、もうかれば良い」経営を続けてきましたが、2000年に神奈川同友会に入会後、経営指針を作成する中で経営に対する考え方が180度転換しました。1つは、経営理念の大切さに気づいたことであり、もう1つは、社員を最も信頼するパートナーとしての見方です。また経営指針作成の過程で、5年先の会社の売上や利益は見えても、10年先のイメージが描けないことに気づきました。「今のままの業務だけでは、社員の生活は保障できない」という危機感から、新たな事業の柱を模索します。

ネットワークを活かした事業展開

 現在進めている事業の1つは、「高齢者」をキーワードにした「グループホーム三浦こもれび」の展開です。同友会の仲間とともに3年前に(株)ジャパウインを設立し、認知症対応型共同生活介護事業を運営しています。水口氏は同社の社長も兼任し、同友会の人的ネットワークをフルに生かしながら進めています。もう1つは、「外国人」をキーワードにした「グローバルサポート事業部」の展開です。同社は墓石の取り引きから中国とのかかわりが深く、そのネットワークを活用し、中国の方を中心にした外国人IT技術者の派遣事業をスタートさせました。グローバルサポート事業部はまだ同社の一事業部ですが、事業の発展段階で子会社か別会社にする予定です。

安心して働ける会社づくりをめざして

 5年前に叔父の会社経営が苦しくなり、要請されて営業譲渡の形で合併。ここまで順風満帆にきて、退職者がいないことが自慢でしたが、昨年、従兄弟である社員から辞表が出ました。さまざまな事業展開や、先を読む経営をしようとディスカッションする中で、その方向性についてこれなくなったのが現状です。社内では多少動揺がありましたが、社員一人ひとりと丁寧に話し合うことによって乗り越えてきました。

 水口氏は神奈川同友会の社員教育委員長を務め、今年度からはじめて共同求人活動に参加しました。今までは中途採用のみでしたが、新卒社員の採用へ向けてのチャレンジがはじまりました。同社の事業展開を進めていく上で将来の幹部となる社員の採用と育成を通して、水口氏の思いである「安心して働ける会社づくり」が着実に進められています。

会社概要

設立:1995年
社員数:14名
資本金:1000万円
年商:2億3000万円
業種:霊園及び寺院墓地案内、墓石及び一般石材工事設計・施工・販売、
    仏壇仏具の販売、海外事業支援及びそれに付帯する在日外国人
    支援事業
所在地:川崎市川崎区渡田3-2-16
TEL:044-333-5678
FAX:044-333-7997
URLhttp://www.mizuguchi.co.jp/