【第16回】商店街に新たな光と文化を-(有)マルジュウ 取締役 久保田 盛雄氏(長野)

(有)マルジュウ 取締役
久保田 盛雄氏(長野)

 (有)マルジュウ(久保田盛雄取締役、長野同友会会員)は、長野市篠ノ井の駅前で銭湯と割烹を経営しています。長野同友会には2002年に入会、まもなく「経営指針をつくる会」に参加し、後継者として新たな会社づくりにまい進してきています。

 篠ノ井は、かつては鉄道において信越線と中央線が分岐する場所として栄えました。しかし、高速道路・新幹線の整備など、時代の変化とともに寂れる駅前商店街に。そのような中「最近マルジュウさんは息子さんが頑張っているようだ。どうしてあんなに元気が良いのか」と地域の中で評判になってきています。近々、お店に隣接している閉店した金融機関の店舗を買い取り、次へのステップを目指しています。

庶民の暮らしとくつろぎを

 地域の中で廃業が続き、今ではめったに見ることができなくなった銭湯。お風呂の壁には富士山が描かれ、お客様どうしが和気あいあいと会話を弾ませます。かつては、この銭湯をどのようにしたらよいかと、いろいろ考えていた久保田氏。しかし、マスコミが好んで銭湯を取材したり、撮影の材料として使ったりする様子を見ていて、「この人たちは、単におもしろ半分で撮っているのではなく、『庶民の文化として残していきたい』との思いを持っているということがヒシヒシと伝わってきた」と言います。

 同友会に入り「経営指針をつくる会」に参加して、自社が地域の中でどのように存在していくのか、お役に立っていくのかについて問いただされます。そして、企業理念「私たちは“寛(くつろ)ぎのある暮らし”を創造します」、経営理念「私たちは常にお客様の視点に立ち、地域の幸せな生活環境づくりに貢献します。事業の安定成長と社員の幸福を追求します」を確立しました。

信州や地域になくてはならないお店として

 現在、経営理念にそって、割烹においても次々と新メニューを開発。特に、信州の風土に培われた食文化を作っていこうと、社員の皆さんと共に果敢に挑戦しています。たとえば、この4月に東京で開催された第4回地鶏・銘柄鶏コンテストで最優秀賞を受賞した「信州黄金シャモ」(会員企業で飼育)を、昨年来いち早く自社の料理に加え、信州ならではの味わいを地域のお客様に提供してきました。信州の名物は「そば」ですが、それだけでなく暮らしと食文化を、県外から来たお客様にも堪能してもらえるよう、着実に歩みを進めています。

 今年は、今までにない新たな店舗を駅前商店街でオープンさせるべく準備を開始。「中小企業こそが地域に活力を与えられる源」、まさに光を出し続けるべく挑戦が続きます。

会社概要

設立:1952年
社員数:12名
資本金:300万円
年商:4000万円
業種:割烹、銭湯
所在地:長野市篠ノ井布施高田845-1
TEL:026-292-0629