シリーズインデックス:「第二創業」をめざして

【第21回】シイタケ栽培を再び「郷土の花形産業」へ-(株)マエノ 社長 前野 賢一氏(宮崎)(2007.08.01)

  (株)マエノ 社長
前野 賢一氏(宮崎)

地域の大事な産業を守りたい

 (株)マエノ(前野賢一社長、宮崎同友会会員)は、現社長の祖父が創業。シイタケの菌コマを栽培農家に売り、できたシイタケを集め、乾燥シイタケとして卸す仕事を中心に、栽培農家に必要な農具、工具も扱ってきました。前野氏が子どものころ、宮崎産のシイタケは大分産に続く質、量ともに誇れる商品でした。

 父親を早くに亡くした前野氏は、女手一つでこの仕事を守り続けていた母親と一緒に仕事をするべく、1990年、28歳の時に帰郷します。ところが、花形産業だったシイタケ栽培は、安価な中国産シイタケの輸入、栽培農家の高齢化などですっかり衰退。「シイタケ栽培はこの地域の大事な産業。もう一度花形にしたい」との一心で、前野氏はがむしゃらに働きます。

生シイタケへの転換と新たな挑戦

   翌年のある日、疲れ果てて出かける前野氏を心配した母親が配達に同乗。その配達の帰路で、母親に運転を代わった直後、飲酒運転の車に正面衝突され、母親は全身打撲で即死、前野さんも重傷を負います。

 「命とは何とあっけないものか。今、挑戦しなければ明日は分からない」、そう思った前野氏は、どうすればシイタケ産業の明日が描けるかを必死で考え、研究しました。

 すると、中国産シイタケの輸入が減ってきていること、温暖化の影響で原木栽培の年間収量が落ちていること、食生活の変化で生シイタケの需要は増えていることなどがわかりました。これからは生シイタケの安定した供給が必要になると考え、菌床栽培を農家にすすめますが、栽培農家は高齢化が進んでおり、なかなか新しいことへの転換ができません。それならばと自社でシイタケ栽培の施設をつくり、菌床栽培をはじめました。

 同時に販売ルートを開拓し、大手のスーパーなどと契約。自社の栽培場で技術を身につけた人たちが、独立して菌床栽培をはじめた時に、シイタケをきちんと買い取るシステムを開発するためでした。

シイタケ栽培で地域を支える

   栽培場では新たに30名以上を雇用し、契約農家も10戸に。シイタケは収穫後、人の手で選別し、パッケージをします。そのため自動化ができず、キノコ類の中でも大手が手を出しにくいのがシイタケです。今では、夫婦で月に70万円の収入を得る農家もあり、「自分もやってみたい」との問い合わせも出はじめました。

 栽培農家の収入の安定を図るため、温度管理した失敗のない菌床を農家に納め、できたシイタケは契約価格で買い取ります。市場価格が下がったときや大口の注文が入ったときは大変な苦労がありますが、安定した数を生産し、流通できるようにするために、栽培数を増やすことを第一に考えています。家族経営の栽培農家を地域にたくさんつくり、シイタケ栽培を地域の花形産業へ再生し、地域を強くしていきたいと考えています。

 「今後は中国や中近東などへも輸出し、売り先をもっとひろげる。シイタケ栽培を地域の産業として成り立たせたい。地域に産業があれば雇用が増える。雇用があれば、そこに住むことができる。シイタケの仕事で人が暮らせる地域をつくりたい。それをリードするのが(株)マエノでありたいと思っています。」と語る前野氏です。

*前野氏は9月13~14日、山口で行われる第35回青年経営者全国交流会・第9分科会報告者です。

●会社概要

創業:1962年
社員数:38名(うちパート・アルバイト30名)
資本金:1000万円
年商:3億円
業種:生シイタケ(原木・菌床)や乾燥シイタケの卸・販売
    菌茸類のバイオ製品、関連した健康食品の開発・製造・通信販売
    農工具機械の卸、通信販売
所在地:宮崎県都城市平江町1-14
TEL:0986-22-5522
FAX:0985-22-5525
URLhttp://mj-bio.com/

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