【第23回】社員への権限委譲から始まる新展開-(有)ネオ信和 社長 森下 一也氏(三重)

(有)ネオ信和 社長
森下 一也氏(三重)

 三重県の菰野(こもの)町にある(有)ネオ信和(森下一也社長、三重同友会会員)は、建築用足場の組立・解体付きレンタル事業を行っています。

足場事業の限界を感じて

 同社は1998年に創業、仕事も設備も無いゼロからのスタートでした。大手の倒産のあおりを受けるなど、何度か危機もありましたが、事業自体は年々業績を伸ばしてきていました。

 しかし、この足場のレンタル事業は安定性がある反面、必要な初期投資額も多く、市場も成熟しているため、大きな成長は望めません。森下氏は、事業規模の限界を感じていました。

 また、森下氏自身、三重同友会の会合などで自分より若くて頑張っている経営者と接することで刺激を受け、新たな事業に挑戦したいと考えていました。

方向性を示し、社員に仕事を任せる

 新しい事業を始めるにあたって、森下氏がまず行ったのが自分の代わりになる社員を育てること、そして足場事業をより強化することでした。

 自分と会社の理念である「安全で安心な足場づくり」という考え方をスタッフに浸透させるため、足場施工チェックリストを独自で作りました。また、現場の足場が正しく施工されているか、毎月安全パトロールに回る活動をはじめました。

 最初はびっくりするぐらい「×」ばっかりのチェックシート。なんとか改善しなければと思い、毎月のパトロールで危険な施工個所を指摘し、改善していきました。その結果、顧客からも喜ばれるほどの安全な施工ができるようになり、スタッフの安全に対する意識も向上していきました。

 また、会社の方向性を毎週の朝礼で示し、社員にどんどん仕事を任せるように変えていったことで、今では森下氏がいなくても社員が仕事の手配、仕切りを行うまでになっています。

大きな夢を達成するための第一歩

 そうして始めた新しい事業が「スタジオジーク」というホームページの制作事業です。新事業を行うにあたって、最初は社員から反対意見が多数ありました。今までの事業とは全くかけ離れた事業であるため、反対されるのは当然のこと。しかし、「大きな夢の第一歩と思っていたので、絶対に引き下がることなく、なんとかスタッフに理解をしてもらおうと努力をしました」と森下氏は言います。

 まず、自社ホームページを効果的にリニューアル。すると、今までとは異なった取引先からの受注や、社員採用での効果も出始め、だんだんスタッフの反応も変わっていきました。森下氏は「社員も、ホームページの必要性と『これからのビジネスになる』ことを感じてくれるようになった」と言います。今ではいろいろな会社からホームページの制作依頼があり、だんだんと軌道に乗りつつあります。

 森下氏は「WEB事業部を、他人に任せなくて良かった。(有)ネオ信和、スタジオジークとは別の事業展開をする上で、きっとWEBのノウハウがプラスになる」と言います。これ以外にも、「新たな事業へ挑戦したい」と夢を語る森下氏ですが、「これからは、社員を信じてさまざまなことを任せ、『幅広く』ではなく特化した分野のオンリーワンを追及した事業展開を行っていきたい」としています。

会社概要

創業:1998年
社員数:18名(うち常用職人9名)
資本金:300万円
年商:1億2000万円
業種:足場工事・レンタル、ホームページ制作
所在地:三重郡菰野町福村344
TEL:059-394-7621
URLhttp://www.neoshinwa.com/