【第28回】問屋機能の活用で、大阪も地域も元気に-中井産業(株)豆乳きなこ本舗 社長 中井 敏博氏(大阪)

中井産業(株)豆乳きなこ本舗 社長
中井 敏博氏(大阪)

 現在、大阪の商社・問屋機能の東京移転が大幅に進んでいる中で、問屋機能を生かして頑張っている企業があります。中井産業(株)はそうした企業の一つであり、社長の中井敏博氏(大阪同友会会員)は、百年続く大豆問屋として、豆腐・きな粉の小売店やメーカーに卸してきた3代目です。

地域を元気にする仕組みづくり

 業界が縮小し、大阪でも(大豆)問屋は5件ぐらいになってきています。特に小売店の廃業が続く中で、「中小零細企業が頑張らないと日本経済はなりたたない」との考えから、得意先に売るだけの一方通行をやめ、買う立場に立とうと決意。得意先の豆腐屋さんに元気を出してもらう仕掛けづくりとして、豆乳ときな粉をベースにした新製品のお菓子を5年前に4社で共同開発しました。

 そして、そのお菓子を、全国の大豆産地で、地元の大豆をつかった商品として地元で販売する仕組みをつくりました。大阪の生野では、地域の由来の「猪飼野」の地名を生かし、「生野猪飼野物語」と名づけてせんべい・ワッフル・飴などを販売。全国では「豆乳きなこ本舗」のブランドで、奈良では「当麻センベイ」「大仏豆腐」、島根では「豆乳紅茶ワッフル」「「豆乳きなこせんべい」、丹波の「黒豆豆乳きなこせんべい」、立山北アルプスの「豆乳きなこクッキー」などを販売しています。それぞれの地元の材料とシールを提供し、せんべいやクッキーなどを奈良・大阪・神戸の企業に作ってもらい、それをまた地元に戻して販売する仕組みです。

 材料が地元産ということで、Aコープや観光協会に販売しやすいようにもしています。現在、北海道から九州まで全国91地域に供給しています。豆を売るというより企画を売る、問屋機能を超えた企業として、地域を元気にする販売を続けています。

まわりの企業にいい影響を与えられる企業に

 今年3月からは、こだわり食品にも力を入れ、海水ミネラルの瀬戸の味、梅シソとうふの元、ゆずフレーク、ごまや黒豆などの食品分野から豆乳せっけん、ドレッシングなど健康志向用品まで700アイテムをそろえ、高級志向の店への販売にも取り組んでいます。現在は、「安全・安心からはじまり、次においしい」の消費者志向に対応した、全国の豆腐屋づくりを応援していく「こだわり食品」分野に力を入れています。

 大阪同友会に入会して5年の中井氏は、「同友会の仲間との出会いが大きな刺激となり、新しいものに挑戦する気になる」と言います。中井氏は、他の中小企業にいい影響を与える企業にしたいとの思いで新事業に取り組んでいます。

会社概要

創業:1960年
社員数:6名
資本金:3000万円
業種:大豆問屋、豆乳きなこを使った食品の販売
所在地:大阪市天王寺区筆ケ崎町2-14
TEL:06-6771-2212
FAX:06-6779-4019
URLhttp://www.tounyu-kinako.com/