【第34回】社員と共に しあわせづくり・味づくり-(有)おか半 社長 岡崎 磊造氏(広島)

(有)おか半 社長
岡崎 磊造氏(広島)

 広島市の中心から車で30分、日本一の筆づくりの町、人口2万6000人の熊野町。町の中央を通る街道沿いに「おか半総本店」はあります。

 岡崎磊造氏((有)おか半社長、広島同友会会員)は熊野町生まれ、高校を卒業する18歳当時はとても手のつけられない若者で、就職を引き受ける会社がありませんでした。寿司屋に修行に入り、1972年に26歳で独立、熊野町で「おか半」を始めます。そして、すし屋、居酒屋、和風レストランなど3店舗を経営するようになり、地元熊野町商工会の役員も勤めるようになりました。

同友会との出合い~親方から経営者へ

 1996年、広島同友会に入会。最初の同友会事務局への電話は、「同友会の飲食店を紹介してほしい。見学して、自社の参考にしたい」でした。同友会会員を数社訪問。隣町の海田町に同じ同友会の飲食店を知り、その会員の紹介で市場への入場札も取り、直接の仕入れもできるようになりました。懇意にもなり、身近なライバルとなりました。そして今度は、「勉強になる例会を紹介してほしい」と事務局に依頼。同友会の経営指針セミナーに参加したことが、成文化と会社の変革を進めるきっかけとなりました。

 「社長はよく勉強しているが、社員には全然伝わっていませんね。特に、奥さんとのコミュニケーションは最悪」とは、当時、おか半に来店された経営コンサルタントの一言。また、3店舗を運営していましたが、とても社長が各店から給与をもらえるような利益も上がっていないのが実際でした。「全部見透かされたような気分でした」と岡崎氏は言います。

 そのことがきっかけとなり、経営理念「しあわせづくり、味づくり」をつくり、実現するにはどうしたらよいか悪戦苦闘が続きました。それは社長自身が親方から経営者へ成長する時期となりました。「社員を叱りとばしてばかりだった」と言う岡崎氏。社員と一緒に経営指針をつくるなかで社員の意見を聞き、議論するようになりました。社員は「社長は変わった」と言います。会社で一緒に働いている奥さんも「かつては何を考えているかわからなかったけど」と話します。毎年の経営計画発表会は、地元金融機関の熊野町支店で実施しています。出店にかかわる融資をこの支店から受けました。

社員と共に~地域一番店をめざして

 経営指針を深めていくと、①地域一番店をつくらないと生き残りが難しい、②ある程度の規模をつくり社員が外部研修で勉強できる余裕がほしい、と強く思うようになりました。そこで戦略を転換。2007年7月に3店舗を統合する形で現在の「おか半総本店」を開店。1カ月の来客数は9000人。開店当初はお店の回転にスタッフが追いつけず、お客様にご迷惑をかけることもしばしばでした。そこで、社員・パートを対象に朝礼を開始。「朝礼をしていては仕込みが間に合わない」という調理場の意見にも、朝礼の重要性を説いて譲りませんでした。

 接客研修も取り入れ、徐々に落ち着きを取り戻しました。朝礼は11時より、経営理念・人事理念を唱和、今日の予約を確認、外部研修で学んだことを発表、接客6大用語の唱和、昨日の売上、本日の売上目標の確認などを行っています。2007年9月には経営革新支援法の承認を経て、焼き肉レストラン「炎(ほむら)屋おか半」をオープン。岡崎氏は現在60歳ですが、事業意欲はますます旺盛です。

 岡崎氏は同友会では広島東支部の経営労働委員長。「一人でも多くの会員さんに経営指針書を作成して欲しい。経験上、私がアドバイスできることは何でもします」と意気込みを語ります。

会社概要

創業:1972年8月1日
社員数:45名
資本金:600万円
業種: おか半総本店:旬鮮・すし・活魚・豆富・和風料理
    炎屋おか半:元気の出る焼肉屋
所在地:広島県安芸郡熊野町1671-4
URLhttp://www.okahan.jp/