【第44回】100%子会社状態からの自立をめざして-法友建設(株) 専務 佐藤 貞一氏(大分)

法友建設(株) 専務
佐藤 貞一氏 (大分)

転職そして入院…

 法友建設(株)(佐藤貞一専務、大分同友会会員)は建設・設計・リフォームをおこなう会社です。大学の建築学科を卒業するもオイルショックの影響で就職先にめぐまれず、従弟制度のような労働条件のうえ親族以外を差別待遇する会社をはじめ、一部の社員だけを不当に評価する会社などを転々としていた佐藤氏。体調を崩して入院し、「退院明けにはもう居場所がない」と感じた病床で、以前からつきあいのあった現在の社長のことが頭をよぎりました。そうして、2003年11月、法友建設(株)の門をたたきました。

子会社か?それとも地場企業か?

 入社当時、年商1億1000万円の同社は、化学・医薬品大手のS社のメンテナンス工事が売上の100%を占めていました。佐藤氏は2004年に専務に就任しましたが、当初からこの比率に危機感を覚えていました。そのために新部門を立ち上げて売上25億円の会社にすることを、目標として文書化しました。その翌月には建設業や設計事務所の登録を行い、建築や設計、さらにリフォーム工事に取り組みます。次々と一級建築士などの有資格者を採用、設備機器の充実も図りました。

成功体験を味わえる社風づくりに挑戦

 大分同友会には、入会までの半年間はオブザーバーとして参加しながら、会員の経営に対する姿勢を見定めようと傍観していました。そのなかで、同友会での学びと経営が一体となっていて信頼できると感じ入会。次の年からは、社員と経営理念や指針の共有化をはかりたいと、大分同友会の第4期「経営者と幹部の共育塾」に幹部社員と3人で参加、絶対に修了生になることを約束事にしました。これはやり遂げたという成功体験を共に味わい、また共育塾への絶対参加を社風として作りたいと考えたからでした。

 そんな中、ある朝、社長が経営理念(社訓)を発表して、社員を驚かせました。佐藤氏が同友会に熱心なのは社員も知っていましたが、社長も同友会の新聞や書類によく目を通していたのでした。佐藤氏は言います。「会社の存続のために良い人材を確保するには経営理念が必要。社員が自分で物事を判断できる基準として経営理念があります」。経営状況も公開しています。社員に経営者感覚を身につけて欲しい、「自分の会社」という意識を持ってもらいたいと強く願っている佐藤氏、最近では社員の仕事への責任の持ち方が変わってきたと感じています。

自立への道

 今期の年商は2億5000万円を予定。建築・設計・リフォームなどの分野で売上が順調に伸び、S社が占める割合は約60%にまで低下しました。「将来的には年商25億円(2015年)にして、この割合を10%程度にまで下げるつもり」と意気込む佐藤氏。人材採用と共に育ちあう社員教育、そして同友会での学びに手を緩めることはなさそうです。

会社概要

設立:1979年11月21日
社員数:16名(社員14名 派遣1名 パート1名)
資本金:1100万円
年商:2億5000万円
業種:建設業(土木・建築)、設計業務(設計・パース・プレゼンテーション)、
    リフォーム工事(一般改造工事・福祉補助金工事)
所在地:大分県大分市迫734
TEL:097-523-5927
FAX:097-523-5934