【第45回】心を込めたお菓子づくりを社員と共に-(有)小田屋 社長 小田 公生氏(鹿児島)

(有)小田屋 社長
小田 公生氏(鹿児島)

 (有)小田屋(小田公生社長、鹿児島同友会会員)は、和・洋菓子の製造・販売の会社で南さつま市に5店舗、鹿児島市に3店舗展開しています。創業は1849年(嘉永2年)で、小田氏は7代目。同業者の不祥事が相次ぐ中、安全・安心して食べられるお菓子、人と人の心の架け橋であるべきと心得、経営をしています。

サラリーマンから社長就任へ

 次男として生まれた小田氏は、当初は会社を継ぐ意志はなく、卒業後は他業種の会社で事務の仕事をしていました。単調な作業の毎日の中、いつしかモノを創(つく)る仕事がしたいという思いから家業の小田屋に入社しました。

 5代目までは、南さつま市(旧加世田市)で1店舗を経営していましたが、6代目である父が社長になってから多店舗展開をするようになりました。ひとりの職人として生きてきた先代の、「社員は社長の言うとおりにやっていればいい」「残業代もかかるので社員に残業はさせないし、責任も持たせない」という考えについて行けず、「このままでは会社を辞める」と言ったことをきっかけに社長に就任することになりました。

同友会で味わった今までにない感覚

 社長に就任したものの、社長業がわからない、経営者として勉強しなければと思っていた時、新聞で同友会の例会案内が目に留まりました。オブザーバーとして例会に参加し、報告を聞いたあとのグループ討論に驚きます。今までに無い不思議な感覚になり、「ここに入れば、自分が変われるかもしれない」と1997年、鹿児島同友会に入会しました。

 父から社長を引き継ぎ、まず最初に考えたことは、古い体質からの脱却、そして、「社員の力を引き出し、自主的に仕事に取り組む環境づくり」でした。小田氏は、仕事を通じて社員にも喜びを感じてほしいと考え、同友会の経営指針セミナーや共育委員会にも積極的に参加し、まず自分自身が変わることから開始。社員と正面から向き合い、情報を共有し、社員に仕事を任せる仕組みをつくりました。「まだまだ、途上ですが社員が自ら考え行動するようになってきた」と小田氏は言います。

新工場の建設―大きな夢に向って

 2006年9月には、市が所有する工業団地に新工場を建設。工場の老朽化もありましたが、品質の向上・安定や労働環境の改善などの再構築を図るために建設しました。

 200坪ある工場内には、さまざまな機械がありますが、今でも8割が手作業です。「機械化が進んでもお菓子作りとは奥が深いもの。温度や湿度など日々変化する環境の中で作り上げるのはやはり職人さんでなければできない。また、一つ一つの手作業の中で食べてくれるお客様を思い浮かべながら、心を込めるという中小企業だからできるこだわりがある」と小田氏は語ります。

 お菓子とは、人を幸せにする不思議な食べ物。たくさんのお客様に喜んでもらえるお菓子屋をめざし、2020年、売上40億円という大きな目標に向って社員と共に走り始めたばかりです。

会社概要

創業:1849年(嘉永2年)
社員数:50名(うちパート25名)
資本金:1200万円
年商:3億円
業種:鹿児島市以南で和洋菓子の製造販売。
    主力商品は「薩摩わかあゆ」「かるかん饅頭」「メレンゲ饅頭」
    「スウリール」「茶里」
所在地:鹿児島県南さつま市加世田村原2丁目18-7
TEL:0993-52-2200
FAX:0993-53-6463
URLhttp://www.odaya.jp/