【第20回】社員への感謝を忘れず、さらなる一歩へ―(株)久保田酒店 社長 窪田 隆太郎氏(神奈川)

(株)久保田酒店 社長 窪田 隆太郎氏(神奈川)

 創業50年をほこる(株)久保田酒店は(窪田隆太郎社長、神奈川同友会会員)は、1階が店舗、2階が事務所となっており、ホテル、居酒屋、焼肉屋など700件にお酒を卸しています。また、自社で探した地酒・焼酎を提案するなど新しい取り組みにも力を入れています。
 

自覚のないまま社長就任へ

 祖父が創業し、3代目となる窪田氏。父親は窪田氏が中学生のころに亡くなってしまい、2代目は当時の番頭さんが引き継ぎました。専門学校を卒業後、20歳で入社しました。その後、大阪の酒屋に3年間修行に出て酒屋のイロハを覚えました。

 25歳で自社に戻りますが、社員の仕事に対する考え方が夢を持って生き生きと働いていた修行先の酒屋と違うことを強く感じていました。配送員と一緒にコミュニケーションをとりながら、少しずつ社内の雰囲気を変えていた矢先、番頭役をしていた社長が「経営者としての仕事はできない」と自社を去り、自覚のないまま社長に就任しました。
 

社長業って何?

 いざ社長になりましたが、何をしていいのか全く分からず、同業の経営者に聞き「見よう見まね」で社長業をします。しかし「自分なりの経営哲学」はなく、また売上は伸びず、組織づくりもしっかりしていない、「何かをしなければいけない」とは思いつつも、それが見えない状況が1~2年続きました。
 

同友会との出合いそして経営指針作成へ

 そんな折に、銀行のゴルフコンペで知り合った同友会会員の方から経営体験を聞き、わらをつかむ思いで同友会に入会。早速、経営指針作成部会に参加しました。同期には同じ境遇の経営者もおり、励まされながら「皆が見え理解できる指針書」ができ上がりました。それまでは、本当に会社にも自分にも自信がありませんでした。経営指針を社員の前で発表した今では、自分自身の軸が定まり、理念を実現するための経営の第一歩を踏み出すことができました。
 

理念経営の第一歩からさらなる一歩へ

 経営指針発表後、社員に役員会の開催、日報の実施、営業会議の開催など、いろいろなことを求めました。社員の目から見ればいきなり会社の方向性が変わってかなりとまどいがありました。その結果、6名の社員が会社を辞めていきました。

 今は、この教訓を生かし、週1回社員の話を聞き社長の思いや方針を伝える会議を持つなど、社員とのコミュニケーションを多くはかるようにしています。同業者に社員教育や理念経営という話をすると、「売上ありき、価格が一番」と言い返されます。確かに同業者に比べ業績として負けているところもありますが、3年後、5年後、10年後いずれは、必ず結果がついてくると信じています。

 まだまだ、経営指針実践中で毎日奮闘していますが、経営指針を実践するのは社員一人ひとりです。常に社員への感謝の気持ちを忘れず、日々努力を積み重ねています。
 

会社概要

設 立:1952年
社員数:15名
資本金:1000万円
年 商:15億円
業 種:酒類、食料品業務
所在地:川崎市川崎区池田1-13-9
TEL:044-211-1234
FAX:044-245-0680