シリーズインデックス:人を生かす経営II

【第24回】あきらめず、「経営理念」を語り続ける―(株)奈良ロイヤルホテル 社長 八坂 豊(奈良)(2008.07.16)

  (株)奈良ロイヤルホテル 社長 八坂 豊(奈良)

「考える事を禁止された社員集団」からスタート

   八坂氏((株)奈良ロイヤルホテル社長、奈良同友会会員)は、海外勤務も含めグローバルスタンダードの大規模ホテル業界で働き、ここ十数年は「ホテルの再建」を手掛け、5年前に経営破綻した奈良ロイヤルホテルに着任。当時は、超ワンマン社長の元で「考える事を禁止」された社員が倒産した会社に残り、社員がとっていた行動は、「何の基準も無く」「それぞれの方向」に互いの足を引っ張り合いながら突進するという状況でした。

 このような中で八坂氏は、幹部社員と泊り込んで「経営理念・行動指針」をつくります。その理由を、「倒産したホテルに一人立ち降りたリーダーに、周りの反応は感情的でした。物事を決め、指示しても、誰に言われるかによって受け取り方はまったく違います。当初、理念や行動指針に頼ったのは、社長が言っているのではなく、会社の経営理念・行動指針によってこの指示があるのだという必要があったからです」と振り返ります。
 

「経営理念」の意味を学んで

 それまで働いてきた大企業では、「経営理念」という言葉や概念に触れることが無かった八坂氏は、「社長の置かれている立場」の必要性から経営理念の作成に着手しますが、同友会で「経営理念」、「経営指針作成」の学びの中で、「何のために経営を行うのか」、そして「その目的を実現するために全社員共通の基本姿勢、行動基準」を社員と共有することが大切と気付きます。
 

今では、高校生アルバイトにも理念学習

   現在、全ての従業員(外部委託、派遣、パート、アルバイト)に入社と同時に理念カードを渡しています。カードに書かれた経営理念約85文字、そして行動指針160文字について、毎月社長自らがスタッフに時間をかけてその意味・解釈を伝えています。(株)奈良ロイヤルホテルのスタッフになったら、必ず一度はこの学習会に参加することが義務付けられています。たとえ週に数時間しか勤務しない高校生であっても、この学習会を受けることになります。(写真は、パート、アルバイトを含むすべての社員と家族を招いて年1回行う社員家族パーティーの様子)

 その時、「経営理念は国の憲法であり、行動指針は国の法律である」と説明します。そして、社長の言葉よりも経営理念が優先され、基準になると付け加えます。「当初の理由からスタートした経営理念の学習会が、全社で目的と行動指針を共有するための現在の形に変化してきたのは大変うれしいことです。また、高校生が会社の存続意義や自分の労働が社会貢献になっていることを聞いて目を輝かせるのは、本当にうれしいです」と語ります。
 

本当の成果をめざして

 この理念・行動指針を社員が本当に理解して日々の活動に生かすには、「実際に自社の理念・行動指針に導かれた事業としての成果が出て、その中で働き甲斐や生活の安定、働きやすい職場が実現するという成功体験が必要です。『浸透』が先か『成功体験』が先かは、にわとりと卵の世界ですが、それぞれがお互いに作用し合って、初めて本当の意味の成果が出るのだと考えています。『粘り強く』ですね」と、「再建」から「維持・発展」をめざす新たなステップへ、力強い言葉でした。
 

会社概要

設 立:1985年
社員数:65名(パート・アルバイト150名)
資本金:1000万円
年 商:15.5億円
業 種:ホテル(宿泊・宴会/婚礼・料飲・スパ)
所在地:奈良市法華寺町254-1
TEL:0742-34-1131
URLhttp://www.nara-royal.co.jp

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