【第23回】独自の味の創造で食文化向上に貢献 (株)ハーヴィインターナショナル 社長 切山英彦氏(埼玉)

切山社長

(株)ハーヴィインターナショナル 社長 切山英彦氏(埼玉)

脱サラ、40歳の創業

アンテナショップ「ハーヴィーズ」のスープメニュー

 切山英彦(株)ハーヴィインターナショナル社長(埼玉同友会会員)は、サラリーマン時代から配合調味料製造に携り、1984年に脱サラして同社を設立しました。それまでは、シカゴに本社を持つ配合香辛調味料製造の外資企業に務めていましたが、突然M&A(企業の合併、買収)の話が持ち上がり、企業も商品のように売るという発想に我慢ができず、同じ事業を継続しようとゼロからの再出発をしました。40歳の時でした。
 
 資金も無いため、最初は「工場を持たないメーカー=委託製造」をめざします。事業は順調に展開しますが、客先から「工場を持たずに配合品の企業秘密は守れるのか」「迅速な対応ができないではないか」と指摘されます。そこで、1990年に埼玉工場を立ち上げました。

「21世紀型中小企業」づくりに共鳴

 埼玉同友会への入会は92年、同友会を心底見直したのは、93年の中同協第25回定時総会(北海道)で発表された「21世紀型中小企業」づくりでした。「地域社会から高く評価」され、「社員が誇りを持ち労使が高い次元で団結」する企業こそ、これからの時代に求められる企業であることに深く共鳴したのです。以来、同友会活動にはフル参加しています。

求人と教育で土台づくり

 経営指針の成文化に着手するころから、共同求人活動にも参加、求人と社員教育を一緒に進め、人材育成の土台をしっかりさせることに力点を置きます。97年から新卒採用を始め、毎年1~2名、男女を問わず定期採用を続けてきました。特に女性の新卒入社で結婚、出産後も働いている方が2人います。さらに、パート募集で入社した既婚女性が半年後、勤務ぶりを高く評価され、本人の希望もあって正社員となり、活躍する事例も生まれています。

アンテナショップ「ハーヴィーズ」をオープン

スパイスキッチン「ハーヴィーズ」で開かれるキッチンセミナーの様子

 日本の調味料市場は約1兆5000億円、そのうち配合調味料市場は約3300億円です。今後、少子・高齢化で食産業が狭くなり、他方でニーズ(味)の多様化、ファッション化、ボーダーレス化は進みます。同社の販売先は大手食品メーカーに大半を依存しており、今後、独自に提案、市場参入する自立型企業にしていくことが課題です。

 一昨年6月、所沢市内にオープンしたアンテナショップ「ハーヴィーズ」は、同社のスパイスを使用した各種スープ類を目玉とするレストラン。ここは開発と営業を兼ね、同社製品のブランド化を目指しています。ここでは、定期的にキッチンセミナーを開き、スパイスを生かした家庭料理法を提案しています。
 
 「現在、台湾への販売展開も予定。埼玉同友会の食品メーカーとも提携し、県産大豆などを使用した共同食品開発を進め、ネット直販を研究したい。ねらいは食文化向上に貢献すること」と語る切山氏。夢はさらに大きく広がります。

会社概要

設 立:1984年
資本金:1000万円
社員数:54名(パート19名含)
年 商:11億円
業 種:配合香辛調味料・ハーブ・乾燥野菜等製造販売
所在地:埼玉県所沢市御幸町
TEL:042-921-2071
URLhttp://www.harvey-j.co.jp/