【第33回】研究開発参加型で広領域の“ものづくり”へ (株)三栄機械 社長 齊藤 民一氏(秋田)

齊藤社長

(株)三栄機械 社長 齊藤 民一氏(秋田)

 (株)三栄機械(齊藤民一社長、秋田同友会会員)は1971年、オーダーメイドの機械メーカーとして設立されました。当初からプラントの設計・製作・施工・メンテナンスの分野や、建築鉄骨分野などの新市場・新分野に積極的に挑戦を続けてきました。

航空機分野で県内企業、研究機関とコンソーシアム

南極昭和基地に設置する風力発電機の耐震試験のため、秋田県の鳥海山麓に設置された発電機(製作・三栄機械)

 1998年ころには、国内の“ものづくり”産業が空洞化。それまで受注していた省力・省エネ機械や設備の受注が減少していきました。危機感を持った齊藤氏は国内に残りそうな“ものづくり”産業は何かと考え、「大学との共同研究による新製品の開発、ゴミ焼却プラントなど生活関連設備の保守。その中で、航空機産業の将来性に着眼することができました」と振り返ります。

 航空機関連分野に携わっていた人材を中途採用しており、1993年には航空機の整備用機材を受注した実績もありました。航空機関連分野を担う国内大手メーカーに、さらに積極的に足を運ぶことになります。ボーイング社が生産するB787(中型旅客機)の主翼などの生産を三菱重工が担当することになり、2006年4月から同社がその生産設備の一部を受注生産することになったことは、マスコミでも大きく報道されました。

 2006年には、秋田県産業技術総合研究センターが中心となって「輸送機コンソーシアム」が設立されました。それによって県内企業や研究機関が協力し、航空機関連分野の受注をめざす体制が作られ、同社もそこに加わりました。

商品が変われば生産設備も変わる

ボーイング787の主翼の生産で使う装置 イメージは自動制御式の連結巨大ジャッキ

 「自動車なども変わり目を迎えていますが、従来の商品が変わる時には、生産設備も変わります。B787の場合も、機体の主材料が、それまでの金属からカーボンという新しい素材に変わり、軽量化による省エネ効果が期待されています。そこに新しいニーズや需要が生まれることが、当社の受注に結びつくのです」と話す齊藤社長。

 3月には、特殊な風力発電装置を製作し、秋田県の鳥海山のふもとに設置しました。これは、南極の昭和基地に設置する風力発電装置のモデルとして設計され、耐寒・耐久試験のために設置された装置です。

 齊藤社長は、 (1)幅広い事業領域、(2)設計技術部門がある、(3)大学・研究機関・同業者との技術ネットワーク、(4)開発能力、(5)部品調達力、(6)小廻りがきくという同社の特色を生かし、将来の“ものづくり”を担いたいと考えています。

社員と共に、生きがいと働きがいを求めて

 齊藤氏は、2007年3月に開講した宮城同友会の『第18期経営指針を創る会』を受講しました。「それまで必死にやって来たことが、大筋で間違っていなかったことが確認できました。歩んできた方向に確信を持ちました」と振り返ります。「社員と一緒に人間らしく豊かに生きてゆくことを第1の目標」に齊藤氏の挑戦は続きます。

会社概要

設 立:1971年
社員数:88名
資本金:2700万円
年 商:20億円
業務内容:各種機械の設計製作、プラント工事、鋼構造物製作、設備メンテナンス
所在地:秋田県由利本荘市川口字家妻
TEL:0184-23-1094
URLhttp://sanei-kikai.com/