シリーズインデックス:経営革新する元気印企業

【第43回】視覚障害者が始めた視覚障害者のための会社 (株)アメディア 社長 望月優氏(東京)(2009.07.15)

望月社長 (株)アメディア 社長 望月優氏(東京)

 (株)アメディア(望月優社長、東京同友会会員)は、自身も全盲の望月氏が1987年に視覚障害者向けのパソコンのサポート販売から事業をスタートしました。米国からの点字プリンターの輸入販売、印刷物を読み上げるパソコン用のソフト「ヨメール」発売などを手掛けるなかで会社を拡張してきました。しかし、売上が伸びず、赤字状態が一気に拡大し赤字体質となり、2002年に東京同友会に入会したころは、助成金なしには運営できない「1輪車操業状態」でした。

会社は赤字続き、経営指針1泊の衝撃

   同友会に入会した翌年、文京支部の経営指針1泊研修に参加しました。当時の同社は毎年赤字続きで、決算書の分析を行いながら浮び上がる自社の実態に、望月氏は財務管理の甘さを痛感し、大きなショックを受けました。

 衝撃を受けて帰ってきた望月氏がまず初めに取り組んだのが財務管理です。月次試算表を作り、経費削減ができるところを検討する。変動損益計算書の考え方を理解し、売上と固定費と利益のバランスを把握する。勉強の後に立てた予算は期末にぴたりと結果が合うようになりました。財務体質が改善し、数年前から黒字を出せるようになりました。

自分が変わり、社内も明るく

   社長自身の改革にも取り組みました。それまでの望月氏は、社員に対してできていないことを厳しく指摘することが多く、社内での会話は仕事の邪魔になる、という考え方でした。そのため、社員にとっては社長との面談は喜ぶべきものではなく、会話の少ない会社でした。

 しかし同友会の例会で、ある経営者の経営体験を聞く等するなかで、苦しい顔をしながら努力する生き方ではなく、穏やかな心の状態で前向きに生きていきたいと思い、「ニコニコしながら努力しよう」と決心し、会社の朝礼から障害者委員会でのあいさつにいたるまで、それを実践しました。
社員に対して「わからないことは人に聞く前にインターネットの“グーグル”で調べるように」と言っていた以前の言を翻し、社員同士で気軽に質問をしあい、チームワークを大切にするようにと呼びかけました。

 この時期に経営基礎講座で学び、すぐに取り入れた「成長評価シート」は、それまで社長が行っていた社員の評価や給与の決定を改め、評価項目や基準について社員から意見を募集して、開かれた制度としてスタートしました。

 このシートは年2回、各評価項目について社員本人と直属上司、社長の評価を行うもので、年4回の面談は、社長と社員がコミュニケーションを取る良い機会となっています。面談では今までとは反対に、社員の良いところについての話を中心にしています。社員の能力を過小評価していたころと比べれば、製品開発のスピードも速くなったと望月氏は振り返ります。

経営理念は常に深めていくもの

 経営指針成文化セミナーは2006年に参加して以来、その後はサポーターとして参加しています。「経営指針成文化セミナーで一番学んだこととは」との質問に、「理念を深めるプロセスがとても勉強になりました」と答える望月氏。

 東京同友会の障害者委員会委員長として、昨年開催された第14回障害者問題全国交流会の実行委員長を務めました。会社経営と同友会運動を両輪に実践する中で、社会を「バリアフリー」の方向へと進める望月氏の活躍が期待されます。

会社概要

創 業:1987年
資本金:4,000万円
社員数:12名(内、女性3名、障害者3名)
業務内容:視覚障害者が活字やインターネット内容を音声で読み上げることで情報を得ることができる商品の開発ほか
所在地:東京都新宿区西早稲田
TEL:03-5286-7511
URLhttp://www.amedia.co.jp/

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