シリーズインデックス:経営革新する元気印企業

【第45回】“信頼”の確立が企業のカナメ (有)朝霧牧場 社長 簑 威頼氏(静岡)(2009.07.29)

簑社長 (有)朝霧牧場 社長 簑 威頼 氏(静岡)

酪農業から産廃処理業へ

 (有)朝霧牧場社長の簑威頼氏(みの・たけより、静岡同友会会員)社長は富士山のふもと、静岡県富士宮市にある産業廃棄物処理・有機コンポストの製造と販売の会社を経営しています。社名からわかるように元は酪農業でした。1965年に簑氏の祖父が当地に入植して創業。しかし、1980年代の牛肉輸入自由化の影響を受けて苦境に立たされました。そこで、コーヒー豆の焙煎時に出る皮を堆肥化する事業を皮切りに、1988年に現在の事業に変更しました。

 三男である簑氏は水処理業の会社に就職していましたが、1998年に当時役員だった長男から会社に入るように請われて入社。その後、長男の事故をきっかけに2005年に社長に就任しました。

「このままでは会社がつぶれる」

 事業変更当時は排出業者と同社の間をブローカーが仲介しており、堆肥(たいひ)にできるかどうかを確認できないまま電話一本で運び込まれてきて、「食品廃棄物」のはずなのに建築廃材が混入しているというような事態もままありました。

 「お客の声が聞こえない」と簑氏が感じていた矢先、同社は大きな問題に見舞われました。東京の食品会社から「いつも処分してもらいありがとうございます。ついては工場を視察したい」と連絡がありましたが、その会社から搬入された実態はありません。確認すると、同社の印鑑や廃棄物処理の流れを確認するマニフェスト伝票がブローカーに偽造されていたことが発覚しました。「おそらく不法投棄していたのでしょう。このままでは会社がつぶれると思った」と簑氏は振り返ります。

排出経路を明確化、信頼が寄せられる

工程図  このことがあった後、実績のある企業と技術提携を結びました。そして、製造過程における排出経路を確認して受け入れるかどうかを決め、肥料の販売先には排出経路を説明できるようにしました。環境への取り組みについての認証制度である「エコアクション21」も取得し、これらが同社の信頼につながっていきました。収集運搬業者が同社の安全性・信頼性を営業してくれることもあり、現在では地元・近隣自治体や有名食品メーカーが取引先です。

同社製造のコンポスト  同社が製造しているコンポストは、微生物が濃縮された完熟堆肥(たいひ)として土壌の地力を増強すると評価が高く、ゴルフ場やスポーツグラウンド、テーマパークなどの芝生用に採用されているほか、農業用として販路を拡大しています。

 また大学・研究機関との連携に力を入れています。2005年には独立行政法人科学技術振興機構の委託事業として、他社とともに高速プラントシステムを開発しました。簑氏は「中小零細企業ほど研究者の力をどんどん借りたほうがよい」と力をこめて語ります。東京大学・大阪大学・東京農業大学の研究者らとの連携も継続しています。

同友会との出合い

 簑氏は、社長になった年の2005年末に静岡同友会に入会しました。社長就任当初は、「資金繰りに頭を悩ませて眠れぬ夜もあった」といいます。「同友会では悩みを共有でき、前向きに相談に乗ってもらえる」と語ります。現在では無借金経営です。富士宮支部の青年部長を務め、経営に同友会運動にと忙しい毎日です。簑氏は今後、同社の経営指針を策定する予定で、さらに環境・農業に貢献するために何ができるか、夢がふくらみます。

会社概要

創 業:1965年
資本金:1000万円
社員数:10名
業 種:再生資源事業、肥料販売事業、設備コンサルタント事業
所在地:静岡県富士宮市人穴203‐51
TEL:0554‐52‐0212
URLhttp://www.asagiri-f.co.jp/

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