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【第59回】 のれんの洗濯で「家業」から「企業」へ さ志まや製菓(株) 社長 斉藤哲生氏(茨城)(2009.11.25)

斉藤社長 さ志まや製菓(株) 社長 斉藤哲生氏(茨城)

大正元年から続くせんべい屋の4代目

 茨城県の西の端、猿島(さしま)郡境町にある、さ志まや製菓(株)(斉藤哲生社長、茨城同友会会員)は大正元年から続くせんべい屋で、斉藤氏が4代目です。やわらかいせんべいがはやるなかで、同社は創業家から97年間、堅焼き一本を貫いています。

 幼いころから「会社を継ぐのは自分しかいない」と考えていた斉藤氏は、大学卒業後に大阪のカステラ製造会社で5年間の勤務を経て入社しました。2003年に社長である父親が亡くなるまで、会社の方針には決して逆らうことはありませんでした。病床の父親が残した「新しいことはするな」という言葉を受け止めて経営者としての出発となりました。

 「それまで指示を受ける側で、社長である父の一喝ですべてが動いていた」と斉藤氏は振り返ります。初めて指示・決断をする最高責任者となりましたが、すべての対応は「先代だったらどう決断するか、どう振る舞うか」が基準でした。

のれんの意味

 店舗  その中でのれんの意味について考えるようになりました。町では「斉藤です」ではわかってもらえなくても「さ志まやです」というと「おやじさんには世話になったんだ」と即座にわかってもらえます。のれんの重みを感じると同時に「それだけではいけない」と感じ始めた斉藤氏は、“のれんの洗濯”が必要だと考えるようになりました。のれんは昔から親しまれた素材を知りつつ、色あせや敗れやほつれがあれば修理が必要です。それと同じように経営も、時代の変化に対応していない点を修正し、甘えやおごりを正していかなければならないという意味です。

経営指針成文化セミナーに参加

 茨城同友会には生前に父親が入会していました。受講した経営指針成文化セミナーで「あなたは何で会社をやっているのか」「何で会社を継いだのか」と問いかけられましたが答えられませんでした。「自分の不甲斐なさ、情けなさをさらけ出され頭にきましたが、帰りの車中では充実感でいっぱいでした」と斉藤氏は言います。

 2008年に経営理念を発表しましたが、目にとめてしっかり読んでほしいと考え、年賀状の隅に書いて社員に伝えました。その経営理念は「私たちはのれんに託された、日本の伝統文化たる煎餅(せんべい)づくりの志を通して、食する方々に常に新しい感動を届け、地域の幸せづくりに貢献して参ります」というものです。

「家業」から「企業」への転換

 斉藤氏は「家業」を脱して「企業」になることが今後の課題だと考えています。これまでのトップの一喝で何事も決まる社風から、経営指針にもとづいて組織として動けるようになるということです。その転換をはかるために、朝礼での「今週の目標宣言」やミーティングの実施、報告・連絡・相談網をつくることから始めました。現在は、経営方針・経営計画の発表・実践、組織編成に取り組んでいます。「難題は山積みですが以前の深刻さはありません。自分がすべきことが明らかになったし、それを乗り越えていくことにやりがいを実感できるから」と語る斉藤氏、創業から100年を前に“のれんの洗濯”に力がこもります。

会社概要

創 業:1912年
設 立:1966年
資本金:1,000万円
年 商:2億6000万円
社員数:40名
事業内容:米菓製造
URLhttp://www.sashimaya.com/index.html

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