【第61回】経営計画書は組織のバイブル CSリレーションズ (株) 社長 増田恭章氏(埼玉)

増田社長

CSリレーションズ(株) 社長 増田恭章氏(埼玉)

 増田恭章氏(CSリレーションズ(株)社長、埼玉同友会会員)は27歳の時に現在の会社を起業しました。飲食店、小売店、アミューズメント施設などのトイレメンテナンスを主な業務としています。増田氏は厚生労働省認定の「トイレ事業診断士」という資格を持っており、「トイレのお医者さんのような仕事」といいます。トイレメンテナンスをはじめ、小さな補修作業から大規模なトイレリフォームまで水回りのこと、またトイレの詰まりや水漏れなど、24時間、365日対応しています。他に携帯電話販売を行う通信事業部、インターネットカメラ環境を提供するi-camera事業部と、3つの事業を展開しています。

挫折と決意

 起業して8年目に12名の社員のうち、幹部・中堅社員の10名の大量退職がありました。その際、顧客情報も持ち出され、6割以上のお客を失いました。「人はいない、売り上げは下がる。会社ってこういう風につぶれていくのかと覚悟した」と増田氏は振り返ります。このときの挫折が増田氏を大きく変えました。自立した社員一人ひとりがいきいきと輝き、助けあいながらも切磋琢磨(せっさたくま)する「自主活性型の相互支援の企業」をめざすことを増田氏は決意しました。

経営計画書は組織のバイブル

 埼玉同友会に入会し、自社で経営計画書を作成するようになり今年で4年目です。現在では社長が社員に、幹部が部下に、社員が後輩やアルバイトに会社の方針を伝えるために経営計画書を活用しています。また営業マンは経営計画書を用いて会社の方針や姿勢をお客に伝えています。「もっと早く経営計画書をつくっていればよかった」と増田氏は言いますが、経営理念・経営計画書がすぐに社員に浸透したわけではありません。社員に当事者意識を持ってもらうことが鍵でした。

理念・経営計画の浸透

 「経営計画発表会」に社員の家族を招待して、社員の発表を聞いてもらったことは反響がありました。また経営計画を社員に検討してもらったり、社内委員会に経費委員会をつくり、社長の経費を社員に決めてもらうなどするなかで社員の当事者意識が育ってきました。社長の経費もすべて社員が決めることで、社員が会社に影響を与えることに実感をもつ機会となりました。

 一つひとつの行事について「何のためにやるのか。何を課題として、何を得てチームとしてどう変わっていくのか」と議論することで、経営理念・経営計画が社員に理解されていきました。これらを通じて増田氏は、「社員一人ひとりが主人公になれる仕組みができてこそ、社員の当事者意識が生まれる」と感じています。その仕組みづくりに経営計画書が不可欠でした。

 同社はめざすビジョンとして「日本の中小企業を明るく元気にする」を掲げています。「経営理念の実現が社員の夢の実現につながってくれればいい」という増田氏、会社の発展と社員の夢の実現を一致させることをめざして挑戦が続きます。

会社概要

設 立:1995年
資本金:1000万円
社員数:35名
年 商:6億9000万円
事業内容:トイレメンテナンス、業務用節水システム、携帯電話販売店、法人向携帯通話料定額サービス、インターネットカメラ
URLhttp://www.cs-relations.co.jp/