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【第63回】日本の食卓を守る想いを胸に (株)山本忠信商店 専務 山本マサヒコ氏(北海道)(2010.01.06)

山本専務 (株)山本忠信商店 専務 山本マサヒコ氏(北海道)

 (株)山本忠信商店(山本マサヒコ専務、北海道同友会会員)は1953年に山本氏の祖父が大阪から移住して、農家から産品を集荷する「山買い」としてスタートしました。農家を回って「だしこ」を売り、規格外の豆を代金としてもらい、それを選別して大きな豆屋に買い取ってもらうという事業です。こうして生産者と結びつきを強めながら規模を拡大してきました。

 1987年には現在の社長である山本氏の兄が入社、山本氏は大学を卒業後、6年ほどの商社勤めを経て1993年に入社しました。同社では小麦生産者との直接のつながりを重視して、1989年から小麦の取り扱いを開始しました。

流通システムの変化

   小麦はかつて米と同じで政府による全量買い取り制度がありましたが、2000年に小麦の民間流通システムができました。一俵あたり6000円の補助があり、品代金は入札で売り手と買い手が決めるという仕組みです。そこで「売れる小麦」をつくろうという機運が生産者との間で生まれました。当時の北海道で栽培されている小麦のほとんどは日本麺用であり、パンには向かない品種でした。

 同社では「圧倒的に少ないパン用小麦なら売れるだろう」と考えました。ところが入札方式はだれでも自由に参加できるわけではないので、十勝産の小麦を欲しいと思っても買い手が買えるわけではありません。そこでパン用小麦を「自分たちで作って売ってしまおうと思い立った」と山本氏は話します。

十勝の小麦を広めたい

 2004年度にパン用の優良秋まき小麦「キタノカオリ」が(独)北海道農業研究センターによって開発されたことを契機に、他2種類をブレンドし吸水性・粘性に優れた100%十勝産小麦粉「春の香りの青い空」を開発しました。全国展開できる「魚沼産こしひかり」のようなブランドにしたいと考え、協議会をつくってのPR、パン屋さんを集めての勉強会などに取り組みました。

 「十勝産の小麦でパンなんかできるわけない」と言っていた方がサンプルの小麦粉を使い、「いいパンできたわよ」と連絡があったときには「本当にうれしかった」と山本氏は振り返ります。また、パン屋さんに加工適正試験をやってほしいという気持ちからパンを配るなどPRを続けました。そして地域のものを地域で食べるという「食育」の観点から、音更町で2005年度から学校給食に採用されました。

生産者と消費者をつなげる

社屋外観  1990年に「チホク会」という小麦生産者の会を結成しました。現在130名が会員です。昨年は大豆生産者の会「ビーンズ倶楽部」を立ち上げて会員は120名です。チホク会では「ファーム・リッチ・サイクル運動」を提唱しています。これは生産者と消費者をつなぎ、観光事業、教育、食育の取り組みにもつながりをもつという運動です。山本氏は「農・商・工の歯車を3つ同時に回そうとしても回りません。小麦という歯車を入れてあげるとよいのです」と話します。日本の食卓を守る思いを胸に、山本氏の挑戦が続きます。

会社概要

設 立:1960年
資本金:2,000万円
社員数:58名
年 商:34億円
事業内容:穀物精選卸売業、小麦政府売渡受託業、有機栽培農産物販売、肥料等輸入販売、特殊栽培法研究・開発・指導
URLhttp://www.yamachu-tokachi.jp/

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