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【第65回】フィルタ会社が介護食を開発 (有)アサヒフィルタサービス 社長 宮崎基氏(広島)(2010.01.20)

宮崎社長 (有)アサヒフィルタサービス 社長 宮崎基氏(広島)

 宮崎基氏((有)アサヒフィルタサービス社長、広島同友会会員)は、広島県福山市でフィルタの製造販売を営んでいます。宮崎氏は現在、本業に加え、広島県と共同で新しい嚥下(えんか)食・介護食の開発に取り組んでいます。従来のミキサー食とは違い、食材の見た目や風味はそのままで、ごぼう、れんこん、タケノコのような堅い食物もプリンのような触感にすることができる「凍結含浸法(とうけつがんしんほう)」技術を用います。

広島県との共同開発

VgTORON(ベジとろん) type1  宮崎氏と広島県の特許技術「凍結含浸法」との出合いは約4年前。本業のフィルタの開発で県総合技術研究所食品工業技術センターに通っていたころ、職員からこの技術を取り扱ってもらえる企業を探していると聞きました。
 
 以前から、食品や農業に携わる仕事がしたいと考えていた宮崎氏。早速手を挙げ、同時に同じ同友会地区会に所属していた、(有)クリスターコーポレーション(豊田文彦社長)に声をかけました。食品業を営む同社と一緒に「福山機能食品研究会」を設立し。福山市の新事業創出助成金を受け、商品化に向けスタートを切りました。そこから生まれたのが、「凍結含浸法」専用調味料「TORN(とろん)」です。

食べる楽しさを

 食材の中の空気と置換した酵素の力で食材を柔らかくさせ、歯茎や舌だけで食べ物が潰せるようになります。熱をほとんど加えないので、食材そのものの栄養成分が壊れないだけでなく、ビタミンや鉄分などの栄養素を新たに加えることも可能です。
 
 「いまの介護食はミキサーでドロドロにしたものがほとんどで、見た目もよくありません。食事だけが楽しみの生活のなかで、これでは食欲もわきません。彩りも形もそのままの食材が食卓に並ぶと、食べることが楽しみになるのではないでしょうか」と宮崎氏は言います。
 
 さらに、介護する側にとっても、この製品を使うメリットは大きいと、宮崎氏は語ります。高齢化社会の中、介護する側の人手不足は大きな問題の一つ。被介護者の食欲が進むことで、食事介助の時間が大幅に減った事例もあります。また、酵素と真空調理システムで調理が可能です。事前に加熱をしているので、煮炊きに要する時間も短縮できます。

地産地消の介護食へ

社屋外観  この開発には、苦労しました。食材によって酵素の反応時間が異なるからです。野菜の種類によって柔らかさに差があったり、同じ野菜でも鮮度によりでき上がりの柔らかさが違ってきます。
 
 宮崎氏は、この製品を通じて地産地消への貢献も考えています。「お年寄りにその土地で採れたものを食べてもらい、地産地消につなげたい。ただ、食材により反応が変わってくるので、全国の特産物がどんな反応を示すのかは未知の世界。いま、広島女学院大学とも連携してレシピの研究をしています」。
 
 特許技術を保有する広島県との契約により、現在の販売先は、管理栄養士が常駐している福祉施設や病院に限定されています。商品は「VgTORON(ベジとろん) type1」と「下ゆで用だしの素type1」の2種類がワンセット。肉や魚に対応した専用の調味料も考案中です。宮崎氏は「将来的には各家庭にも販売できるようにしたい」と抱負を語ります。

会社概要

創 業:1996年
資本金:600万円
社員数:8名
事業内容:フィルタ製造・加工・施工業
所在地:広島県福山市駅家町万能倉393-1
URLhttp://www.filter.ne.jp/

(『同友ひろしま』9月号より)

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