シリーズインデックス:付加価値を高める

【第10回】製造業もサービス業~社員の創意が生きる企業づくり (株)オーザック 社長 岡崎 隆氏(広島)

 岡崎社長 (株)オーザック 社長 岡崎 隆氏(広島)

 (株)オーザックは、橋梁・建設機械・クレーン等に装着されるワイヤーソケット・フックブロック及び各種吊り具製品を主に製造する金属加工メーカーです。レインボーブリッジや横浜ベイブリッジ、来島海峡大橋や九重夢吊橋等、国内超大橋には、オーザックの金具が使われています。

戦略の柱は顧客満足「製造業もサービス業」

 社屋  5年前、レストランを経営する岡崎社長の親友が、サービス業として徹底的に顧客満足を上げる努力をしているのを見て、「製造業は良いものを造ることに注力して、顧客の方を向いていないのではないか」と思いました。すぐに翌年のスローガンに反映させ、「製造業もサービス業」という取り組みが、社員の知恵を借りながら始まりました。

週2回の在庫表のFAX送付

 取引先の営業マンがオーザックの在庫を随時知っていれば、納期や見積もりについて、営業先で素早い対応ができると、週2回自社の在庫表を各取引先に送付しています。この取り組みは、取引先に大変喜ばれると共に、結果として他社との価格比較にはならず、すぐに自社への発注につながる仕組みとなりました。

 当初は、総務部で在庫表を送っていましたが、今ではPCで管理している在庫が、そのまま自動でFAXされる仕組みになっています。

見積もり依頼は30分以内に返答

 工場内  製造業では、見積もりの依頼があってもよくて2~3日、1週間は平気、数日たって再度連絡してようやく返事があるというのが通例でした。
 これではいけないと、汎用品・在庫品の見積もりは30分以内、特注品については24時間以内、それでも返答できないような状況があれば、いつ返事ができるか、どのような状況で返事ができないのかを必ず24時間以内に依頼元に連絡するルールがつくられました。

 当初、社内には「無理だ」という意見もありましたが、できない原因を明確にして、できる仕組みをつくってきました。総務部が在庫管理を徹底することで、見積もりの窓口となる営業部が納期や価格にすぐに返事ができるようにバックアップ。また、営業部から製造部に見積もりに関する相談があれば、営業部に30分で返事ができるように、製造部でもバックアップ体制を整えています。

製造過程を写メールで報告

 営業部の社員は、朝礼が終わると携帯電話を片手に、工場内に出向きます。自分が担当する製品が、今どのくらいまでできているかを随時お客様に知らせるために、その製品を写メールに撮り、メールを送信しています。

 これは、お客様に大きな安心感を与えると共に、お客様がその先のお客様、つまり最終納品先に対して安心感を通じた信頼関係を結ぶのに大きな力を発揮し、顧客先の営業支援につながっています。

 「製造業もサービス業」という取り組みは信頼と安心感を生み、少々見積もりで他社と比較して高い価格でも、オーザックへの発注となる付加価値につながっています。

戦略の中核に中期ビジョン

 このような戦略が社員の創意の中から生まれてくるのは、中期ビジョン(5カ年計画)があるからと岡崎氏。「5年先の目標に向かって、今、どのような取り組みが必要か、私も社員も共に考える社風ができてきました。戦略に長けているから成長するのではなく、5年後の目標が明確だからこそ、それに向かうための戦術が生まれてくるのです。中期ビジョンを明確にした経営指針を全社で取り組むことが、企業発展の原点だと考えています」

社員の夢を実現するためのビジョン

 中期ビジョンの一つの目標に「社員平均年収600万円」が掲げられています。それは、社員のさまざまな夢を実現していくためには、その原資も必要という考えにもとづくもの。社員も5年後の売上・利益目標を達成すれば、実現できることを理解しています。この目標は、リーマンショックの影響で、多少遅れますが、着々と進んでいるとのこと。

 21年度の決算も、上半期で赤字を覚悟していましたが、社員の頑張りで最終的には黒字決算となり、社員には約束どおり期末賞与を出すことができました。

労使見解を理解することの大切さ

 経営指針に取り組んで20年余り。それが浸透し始めたと思えるようになったのは10年ほど前。「私自身が『人を生かす経営』の真意を理解することができたからだと思います」

 それまでは、表面的に「社員は大切だ」といいながらも、社員に頑張ってもらわないと借金が返せない、結局、社員は借金を返す道具だと思っていました。しかし、自分の報酬を取らなくても、社員の給料だけは1円も減らさない、社員やその家族の暮らしをどんなことがあっても守り、「社員は家族」と岡崎氏自身が思えるようになってから、社員が変わり始めます。「それは、日々の言動や行動が社員最優先に変わってきたからだと思っています」

 中期ビジョンの実現に向けて、主体的に励み、きちんと結果を残してくれる社員。その姿を見て、社員の力の大きさを感じると共に、経営者の役割は、社員の活躍する場をつくること、「主役は社員」何があっても社員を守ることなのだと、実感しています。

会社概要

創 業:1945年10月
資本金:3000万円
業 種:建築金物、橋梁金物、各種吊具製造販売
従業員数:35名(パート含む)
所在地:広島県福山市鞆町後地26番地229号
TEL:084-982-3258
URL:http://www.auzac.jp/

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