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【第30回】ドミナント戦略でブランド化(株)サノプランニング 代表取締役 佐野貴信(三重)(2010.11.17)

佐野社長   (株)サノプランニング 代表取締役 佐野貴信氏(三重)

 三重県の商業中心地四日市市、この地の交通の要である近鉄四日市駅を中心として徒歩5分圏内の周辺に、(株)サノプランニング(佐野貴信社長、三重同友会会員)は日本料理店をはじめ居酒屋・串焼屋など5つの業態で10店舗の飲食店を展開しています。

失敗から学んだドミナント戦略

たまゆら料理写真  『和料理たまゆら』として1号店をオープンしてから、現在の形にたどりつくまでに何度か出退店を繰り返し、失敗の中から多くの教訓や学びを得て、いまの店舗展開に生かされています。その1つが地域戦略です。
 出退店を繰り返す店舗展開の中で、佐野氏は「この業界で1番にならなくては生き残っていけない。四日市というエリアの中であればそれを実現できる可能性があるのではないか」とドミナント経営へシフトし、主要駅である近鉄四日市駅から徒歩5分圏に店舗展開を図るようになりました。

 この地域展開の重要性を強く感じた1つのきっかけが、佐野氏自身も構想になかった神戸への出店です。思わぬ経緯から決まったこの出店では、お客様の要求レベルの違いやそれに応じるスタッフレベルの差、それに店舗管理における絶対的な距離の壁など非常に多くのことを学ぶ機会となりました。また飲食ビジネスが人と人とのコミュニケーションの上に成り立っていることを痛感する機会ともなりました。

たまゆら店舗写真  狭いエリアの中に10店舗も展開していると、お客様が分散してしまうのでは、と言われたこともありましたが、「いずれ他社が進出してきて競合先ができるのであれば、自社の店舗間競争の中で地域市場の占有率を高めていった方が良い」との理由から、懇親を主な目的とする客層をターゲットに、店舗ごとにコンセプトをしっかりと設定して囲い込みを図っています。今後も業態を増やしつつ、年1~2店舗のペースで出店を計画されています。
 こうした取組から四日市エリアの中で「たまゆらグループ」のブランド化を図り、市場の占有率を高めています。

飲食ビジネスは『人』ビジネス

 飲食ビジネスは人とのコミュニケーションの上に成り立っており、そこに携わる人の人間力が最も大切となってきます。そのため同社でも人財育成には力を入れており、特に「店長」の育成や研修には重点を置いています。店舗経営の理想はオーナーが現場にいることですが、多店舗展開においてオーナーの代役を担うのは「店長」であり、店長次第で売上の90%は決まるともいわれています。

 同社では1店舗に「長」は1人としており、店舗の料理長=店長(社長)とすることでキッチンとホールの壁を取り除き、店舗経営にかかる係数管理などの一元化を図ることができます。また、店長(料理長)にマネジメントを覚えてもらい、1人オーナーの飲食店と同じ形を作るようにしています。そうすることで効率の良い店舗管理ができ、指示系統もはっきりとするため、混乱がさけられるというメリットがあります。

 現在、同社には地元の他店(他社)にない学びがあります。近いエリアに10人の店長がいることで、地域ネットワークの中で店舗間の情報交流や店長同士の交流から互いに切磋琢磨できる環境にあるからです。また毎年実施されているマネジメントに関する研修会は、今年は飲食店起業支援「社長養成塾」(全11回)として外部にも発信して取り組んでいます。

飲食業界のボトムアップを図るために起業支援

 今回店長教育の一環として企画された飲食店起業支援「社長養成塾」は、自社内だけでなく外部からの参加も受け入れて開催しています。ここには佐野氏の飲食業界の現状を憂う気持ちと、活性化を図りたいという思いが込められています。

 飲食業は業界自体の評価が低く人材採用において新卒者の採用が難しいという現状にあり、こうした状況を改善し若者が希望を持って就ける職業にしたいという思いから、その牽引役となる飲食業で起業する人材を発掘し経営者として育てることで業界の裾野を広げることを目的として取り組んでいます。特に店長教育にも共通していることですが、飲食店における1人オーナーの店舗では、オーナー(店長)=料理長であり、店舗管理におけるすべてのマネジメントを執り行わなければなりません。多くの失敗事例から佐野氏は、こうした「マネジメント力」を料理長が店長として持つことが成功の必須条件であると捉え、今回の企画にもその思想が反映されています。

飲食店型ドミナント経営をパッケージ化

串焼き屋店舗写真  同社では今後の展開として、現在四日市に5業態10店舗を展開していますが、5年後のビジョンとして10業態以上30店舗まで拡大する「垂直展開」と、これまでに蓄積してきた経験やノウハウ・仕組みなど飲食店によるドミナント経営をパッケージ化してFC展開を図り、パートナーシップ事業として、成長するまでのサポートを行なう「水平展開」を計画されています。
 垂直展開においては、各店舗の予約管理や顧客管理の一元化を図るシステムを開発中であり、グループ内でのスムーズな顧客対応と管理を目指しています。また出店においては、ロケーションが最も重要です。「条件に見合う物件との出会いがあるかは不確定な部分が大きく、業態開発と合わせて課題が残っています」と佐野氏。

 パートナー事業による水平展開では、理想的なFC展開を図るために地元に密着した企業や起業家の掘り起こしが必要です。そしてサポートビジネスを展開していくためにも、ベースとなる「たまゆらグループ」の垂直展開の成功と、その過程におけるデータと経験の蓄積が必要であり、店舗展開の中で発生する課題やニーズにこたえられるシステムや体制を構築することが課題となっています。

会社概要

創 業:1996年
資本金:2200万円
業 種:飲食店の経営、飲食店の企画・運営、食品、食材の販売
従業員数:正社員40名、パート・アルバイト90名
所在地:三重県四日市市浜田町4-20 JA三重四日市ビル5F
店 舗:10店舗
    旬菜 たまゆら本店/和料理 たまゆら近鉄四日市店/
    日本料理・しゃぶしゃぶ たまゆらロワジールホテル四日市店/
    和料理・しゃぶしゃぶ たまゆらいせじ店/食彩 たまゆら南店/
    焼とり・焼トン 串焼道場1号店/日本酒場 大感謝/
    焼とり・焼トン 串焼道場2号店/
    和バールTAMAYURA・プライベートルーム(貸切個室)/
    牡蠣・串揚 カティサーク・RED ROOM(貸切個室)
URL:http://www.sanopla.com

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