シリーズインデックス:付加価値を高める

【第37回】「引き算」の戦略で付加価値創造 (株)珍樹園 代表取締役 加藤 雅也氏(大阪)(2011.01.12)

加藤社長 (株)珍樹園 代表取締役 加藤 雅也氏(大阪)

 2010年で創業98年になる(株)珍樹園(加藤雅也社長、大阪同友会)。社長の加藤氏は1986年に大学を卒業後すぐに入社しました。ピーク時は33人のスタッフを抱えていましたが、現在は12名で営業しています。

 業務は主に業務用観葉植物のレンタルと生花の販売です。以前はブライダルやイベントディスプレイなど、生花店業務や園芸、ガーデニングなどさまざまな業務を手掛け、法人や事業所向けに強みを持っていましたが、現在は観葉植物のレンタル業とインターネット販売の2業種に絞り込み、集中して営業しています。

バブル経済崩壊と初めてのホームページ

 1990年代のバブル経済崩壊後、法人向けのレンタル業などで急激な売上低下に見舞われました。いろいろやってみたものの場当たり的な施策になり、経費削減ぐらいしか打つ手がありませんでした。

 その後、「同業ではインターネットで既にうまくいっているところがあるらしい」という情報を得て、初めてホームページを作りました。「業務を手広くやっていると、力を入れた所はそれなりに成果が出ますが、やっていない所は落ちてしまい、結果として業績は悪化。

 悩んだ末に原点に立ち返ると、私たちの使命は『花、植物を使用しての場面と空間の演出サービス業』と改めて定義づけるに至りました。売っているものは植物そのものではなく、その効果や与える感動です」と加藤氏。

 そこで、専門店として量販店との違いを明確にし、知識や技術、お客様や商品への心配りを大事にしたいと、加藤氏は思うようになりました。

インターネット活用と実店舗の閉鎖

 そのころのインターネットは、少し対策をするだけですぐに検索1位がとれる状況でした。若い社員との試行錯誤の結果、次第に問い合わせが入るようになり、営業にいくと約7割の成約がとれるようになりました。

 同じころ、お正月用の門松のインターネット販売も開始しました。門松自体は衰退商品ですが、全国的な需要は同社の売上を十分に確保でき、12月しか売れないために大手はノータッチ。今では同社の年末の主力商品になっています。遠方のお客様向けには、詳しい説明書と設置の際に使う軍手を同梱し、回収サービスなども行っています。

 その後、ターゲットを法人中心に絞ったフラワーギフトや、観葉植物専門のホームページもオープンし、2カ月目には目標月商を達成。加藤氏は「サイトを作ってすぐ売れたというより、今までの試行錯誤があったから既に売り方がわかっていたことが大きい」といいます。

 2004年には、迷いをふり切って、利益は出ないが売上比率が高かった生花(切り花)部門の大幅縮小に踏み切りました。同社の高コスト体質では、今後の業務継続が難しいと考えたからです。創業以来95年間続いた実店舗を閉鎖し、大きな売上低下となりましたが、「観葉植物のレンタル、販売以外の販促はしない。それ以外はなくなってもいい」という覚悟をしての決断でした。

同友会での学び

 同友会のいう「自立的で質の高い企業づくり」を加藤氏なりに解釈し、「下請け的な仕事はできるだけしない」「安売りはしない」「理由のない値引きはしない」と決めました。また、これまで業務内容に足し算で何かをしようとしてきましたが、「何をしないか」という引き算で戦略を立てることの大切さを学んだといいます。全部を守ろうとしても守りきれないからです。

 「私にとって大きかったのは、社員2名を右腕にできたことと、社員全員を巻き込んでできるようになったことです。まだまだ単価下落などの問題はありますが、取扱商品の幅を広げたり、ほかにはないサービス形態を模索したりと、社員と議論しながら進めていきたいと思います」と加藤氏は語ります。

*取材・文:阿部フォトグラフィ(株) 阿部拓歩氏(徳島)/徳島同友会会報誌『徳島同友ニュース』No.127号より転載

会社概要

創 業:1912年
設 立:1952年6月
業 種:生花、植物の販売及びリース
従業員数:12名
住 所:大阪市福島区玉川2-10-12
TEL:06-6446-1187
URL: http://www.chinjuen.co.jp/

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