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【第40回】WINWIN循環で地域活性化 (有)絆コーポレーション 代表取締役 内田恵三氏(埼玉)(2011.02.03)

内田社長 (有)絆コーポレーション 代表取締役 内田恵三氏(埼玉)

ロス無しWINWIN循環で地域活性化を目指す

 熊谷駅の近くに(有)絆コーポレーション(内田恵三社長、埼玉同友会会員)の第1号店がオープンしたのは、2003年のことでした。焼酎バーという珍しいスタイルに、当時の焼酎ブームが拍車をかけ、連日満席という好調なスタート。波に乗り2号店、3号店へと展開します。内田氏がインテリアデザインを手がけたシックな内装と、心地よいジャズが流れるおしゃれな店舗は、地元の人気店へと成長しました。

 そんな上昇気流も、景気の悪化による外食産業の冷え込みには逆らえないものがありました。また、熊谷市は繁華街の規制取り締まりにより、夜の街が淋しくなるという悪条件も重なり、内田氏の店だけではなく、どの店も苦戦を強いられました。そんな状況の中、新たな活路として動き出したプロジェクトが「星川だんべぇ市場」でした。

直接仕入れにより、安くて新鮮で安全な商品を

星川だんべぇ市場外観  「私は縁あって熊谷に店を出し、地元にはお世話になったという思いが強いのです。最近元気がない、その地元をなんとかしたいと思ったのが市場構想のスタートでした」と内田氏。年齢に関係なく、だれもが楽しめるにぎやかな市場を作りたい。そしてそこでは新鮮なおいしいものを、納得できる価格で販売したい。そんな内田氏の夢が、熊谷の繁華街に近い星川通り近くに実現したのは2010年10月でした。

 「星川だんべぇ市場」には、野菜、地方から直接届く魚介類、その他地元で人気のスィーツなど、内田氏の惚れ込んだ商品の数々が所狭ましと並べられています。売られている野菜は、地元農家から直接仕入れたもの。その日の朝収穫した新鮮野菜が、割安な値段で店頭に並びます。
 「直接販売のルートによって、例えば中央市場から地方市場へと流通の過程で上乗せされるマージンを省くことができます。もちろん、新鮮さも断然有利になります。また例えば大きさが均一ではないという理由だけで、市場には出回らない規格外商品も、ここでは立派な商品となるのです」と内田氏は言います。

ロスのない循環システムに着目

星川だんべぇ市場中の様子  直販所にはないメリットが、さらに「星川だんべぇ市場」にはありました。それは、後ろに飲食店業界の協力体制ができているという点です。「一般的に直接販売所などに商品を持ち込んでも、売れ残った場合は生産者が引き取る決まりになっています。以前、農家の方が『売れ残りの野菜は引き取って近所に配るか、畑で腐らせるのをただただ見ているしかない』と、淋しそうに話していました。そこで、どうにかできないかと考え、売れ残った野菜をグループ内の飲食店で一定の金額で引き取る仕組みを思いつきました」と内田氏。

 さらにユニークな取り組みがあります。 その日の売れ残り商品や、規格外商品を一定の金額で引き取るだけではなく、提携している加工業者へ流通させて、お弁当や惣菜を作り、それをまた「星川だんべぇ市場」で販売するという新たな循環システムがあるのです。
 内田氏は、「お弁当や惣菜を作っているのは、冠婚葬祭の際に仕出し料理などを作る業者さんです。そういうところは常に安定した需要があるわけではないのです。従業員の方々は常に出勤していても、2日も注文がないなんてこともあったそうです。私どもの商品を毎日生産してもらうことにより、ここでもロスのない循環システムになっているのです」と言います。

 また、その弁当などの商品を輸送するトラックは、給食配達など一定の時間で業務が終了する業者と連携することで、空いている時間に輸送し、ロスを少なくしています。

もっと大きな循環システムを目指して

 「星川だんべぇ市場」から新しいブランド商品を売り出すプロジェクトも始まりました。
 例えば、利根川沿いの肥大な土地で育った、甘くて柔らかい「妻沼(めぬま)ねぎ」や、低温度で半年寝かせることで、味が凝縮し粘りを増した「聖天イモ」など、まだまだ知られていない地元の農産物を積極的にPRしています。他の地域の農産物と差別化することで、地元農家が盛り上がり、自信やプライドが生まれ、販売実績にも結びついていくと内田氏は考えているのです。

 埼玉県内の居酒屋のコミュニティー「On Your Mark」で、北部地域のリーダーを務める内田氏は、経済産業省などとの連携を取りながら飲食店を繋ぎ、さらに大きな循環システムを構築していく計画も着々と進めています。また、同友会に入会するきっかけとなった(株)アライの新井俊雄氏(埼玉同友会前代表理事)から、高知でとれた鯖を加工する際に使う味噌を提供してもらい、商品化するなど多方面での連携を試みています。

 「これからは一社のみで生き残ることを考えてはだめ。皆で協力して、力を底上げし、そこからがスタートだと思うのです。この『星川だんべぇ市場』も契約農家が約20軒とまだ少ないので、これから増やして、売り場面積も広げて行きたいです。自社の食材を提供するレストランを併設するのが夢ですね」と内田氏。この画期的なプランは、2010年10月に県の「経営革新計画」でも評価され承認を受けたばかり。挑戦はこれからも続きます。

会社概要

創 業:2006年6月 
資本金:300万円
業 種:飲食店
従業員数:13名
所在地:熊谷市星川2-41-2
TEL:048-522-1400
FAX:048-522-1400
URL:http://www.banyanokizuna.com/

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