【第9回】地域密着の癒しの空間を演出(有)内田パン 代表取締役 内田 敏之氏 (愛媛)

内田氏

(有)内田パン 代表取締役 内田 敏之氏(愛媛)

 松山市内二番町でパン屋を営む(有)内田パン(内田敏之代表取締役、愛媛同友会会員)が、このほど松山市中央通りに移転しました。

松山市二番町で60余年にわたりパン製造販売を行ってきた同社は、実父が1949年に創業し2000年の法人化と同時に、内田氏が代表取締役に就任しました。市内繁華街の立地環境を活かした深夜帯までの店舗運営を行い、会員をはじめ多くのお客さんが家族へのおみやげに内田パンを買い求めた姿は一種の風物詩でもありました。

「三無主義」と「地産地消」

パン

十数年前から取り組んでいるのが“無添加・無着色・無漂白”の「三無主義」。「三無主義を育んだ問題意識は、大手食品会社による添加物を使っての商品が氾濫していたことでした。アレルギーを持った子どもが安心して食べることのできるパンをつくりたいことの思いから生まれました」と内田氏。

また、「地産地消」を意識した商品開発にも積極的に取り組み、幅広いファン層から親しまれています。代表的な商品では「米粉パン」があります。松山市内のお米を使用、愛媛県南予地方の郷土料理の「じゃこ天」からヒントを得てB級グルメで評判の「じゃこカツバーガー」のバンズとして使われています。また、「どぶろくまんじゅう」は東温市で醸造されている「どぶろく」を使用したもの。6月には、東温市の休耕地でNPOが生産した小麦を使ってのパンを販売する予定です。

特に、先代のお父さんがロシアで捕虜になったころに、労働で作らされていたパンを模索して作り始めたのがきっかけの「黒糖食パン」は、多めの黒砂糖とカラメルを使用してなめらかな口当たりとほんのり甘い味わいで、何十年も愛され続けた人気ナンバー1のパンです。

市場調査から移転を決意

新店舗

そうしたなか、同業店舗も少なく幹線道路沿いという好立地で更なる収益が期待できる城北エリアに新店舗を構える移転を一大決意しました。

郊外に移転した理由は、繁華街の人通りが少なくなっていると同時に、車のお客さんに対応できないことでした。郊外で駐車場を確保した立地でゆったりと買い物をして欲しい。松山では、日商30万円がパン店舗の目安といわれています。市場調査を重ねた結果、同業他店との住み分けが可能な現在の立地を決めました。オープンから数日後は内田氏が「社員の身体がもちません」と言うほどの、盛況ぶり。社員の身体を気遣う内田氏らしさが伝わる言葉でした。

安らぎと癒しのパン屋さん

内田氏は、1987年に愛媛同友会に入会。会歴24年を越える会員です。経営指針成文化セミナーにも数回参加して確立したのが以下の経営理念です。

その経営理念から内田氏が思い描く店舗像は、「安らぎと癒しのパン屋さん」。現在は、新たに休憩スペース設置やドリンク提供も行っていますが、今後はパン教室の開催など地域密着イベント等も構想しています。店のカラーはワインレッド、家族連れの増加など客層の変化を想定した店内では、来店客から製造過程が見えるなど清潔感にあふれるなど、安心・安全な店づくりを工夫しています。

また、インターネットショップ「うちパン」も運営し、松山市周辺地域のカフェなど約160店舗への外販をも行っています。

(有)内田パンの経営理念

①お客様にパンとの感動ある出会いを送りつづけ、お客様の食生活に貢献します。
②私たちは全社一丸となり、働きがいのある、夢のある会社を作ります。
③私たちはパンを愛し、妥協する事なく、パンを作り続けていきます。

会社概要

創 業:1949年
事業内容:パン製造、販売、小売。レストラン、喫茶、幼稚園、病院への業務用配達
社員数:7名、パート9名
所在地:愛媛県松山市中央1-12-1
TEL:089-989-7262
FAX:089-989-7261