シリーズインデックス:わが社の強みは??

【第22回】「その人らしさ」を追求し続けて(有)ナイスケアサポート 代表取締役 井尻 祥子氏(奈良)(2011.09.28)

井尻社長 (有)ナイスケアサポート 代表取締役 井尻 祥子氏(奈良)

 井尻氏は看護師として勤務して25年。理念と現場のギャップを感じ始めたころ、井尻氏は病院内の在宅介護支援センターで初めて介護の世界に触れ、「自分の考える介護を実現したい」と47歳の時に起業を決意します。

実現したいケア、新規事業への思い

ケアホーム  (有)ナイスケアサポートでは、業界で一般的だった施設の都合を優先したケアではなく、何よりも利用者さんの目線を大事にして「その人らしさを大切にしたケア」を追求してきました。

 業績が順調に伸びるなか、2年ほど前から新規事業を展開する必要性を感じ始めました。「拡大が予想される地域の介護ニーズに対しても、また育ってきた職員の将来の生活に対しても、現状の小規模事業所の収益では限界があると考えるようになったのです」と井尻氏。しかし景況も厳しさを増すなか、背負うリスクを考えるとなかなか踏み出すことはできませんでした。

経営者の仕事、それは道筋を示すこと

 現場主義だった井尻氏は、これまでは「質の高いケアをどうしたら提供できるか」を考えて指揮をとってきました。しかし職員が育ってきた今、「経営者である自分の仕事は、今後の会社のあり方を指し示すことである」と気づきます。奈良同友会の経営指針セミナーに参加して初めて中期計画を立て、どんな計画のもとに事業展開するべきかを考え始めました。そして新規事業の計画立案に本気で向き合うなか、市場や顧客、自社を分析する重要性を実感していきました。

市場の動向や利用者の声をとらえる

 「介護事業は、施策や法制度の影響を直接受ける市場です。国の動向を知らなければ自社の発展はありません。病院勤務時代は情報を黙っていても与えられました。しかし今は自分で探し、厚生労働省の会議の議事録などもインターネットで閲覧しています。そこから介護保険や医療制度改定の道筋、さらには今後地域でどのような介護サービスが必要になるかを読みとり、その情勢分析は全体会議で職員とも共有します」と井尻氏は言います。

 また看護師時代からの自分の経験や感性頼りだった判断についても、「本当に利用者さんの要求に合っているのか」「金額的にも納得してもらえているのか」など、利用者さんの本音を聞けているかどうかが必要だと考え、利用者さんの声を上げる仕組みを整え、無記名アンケートも始めました。

自社の強み~利用者さんのためのケアを求め続けて

デイケアの様子  「福祉業界は他の業界より20年遅れている」と井尻氏は考えています。「例えば冷やす機能だけだった冷蔵庫が、技術革新と工夫によって現在のような製品に至っているのに対し、介護は行うだけで感謝してもらえます。しかし感謝の言葉に甘んじるのではなく、より良いケアを求めたい。その姿勢が、地域の介護ニーズや利用者さん一人ひとりの心を大切にしたケアにつながっています。利用者さんがデイサービスを利用することは、想像以上に心理的なハードルが高いと考え、送迎車には施設名を一切出していません。また他の事業所で受け入れられにくい医療依存度の高い方や深い認知症の方も受け入れています。その結果、利用者さんからは『どんな状態になってもここならずっと見てもらえる』と将来の不安が和らいだという声をいただいています」と井尻氏。

 このように、人の気持ちに応えるきめ細かいケアの積み重ねが、利用された方や他社のケアマネージャーからも支持をされ、今では営業や宣伝をしなくても口コミや紹介で利用者が増えています。

自社の強みを知ることで職員の誇りに

 「企業変革支援プログラム」カテゴリー4-4「自社の強み、弱みの分析と把握」の職員の評価は、この2年間で 「1」から「3」へと変化しました。
 2年前、職員にとっては自社のケアは当たり前で、強みという認識はありませんでした。そこで全体会議に自社の強み・弱みについてのグループ討論を取り入れました。ケアマネージャーから、他の事業所にない強みを聞き、自分たちのケアの何が喜んでいただけるのかを討論するなかで、自社のケアを客観的にとらえ、自信を持つようになりました。業務としては非効率で手間がかかる面もあります。しかし職員たちは自ら生き生きと取り組んでいます。

“強み”の全社共有が発展サイクルの原動力

 自社事業への理解と確信が職員のなかで深まることで、実現したいケアのあり方を共有できる意識の高い職員集団ができあがってきました。一般的にはケアマネージャーがヘルパーよりも上に位置づけられがちですが、皆が各自のポジションを全うすることで利用者さんに最適なプランを提供できるという姿勢を全社で共有し、一人ひとりが誇りを持って自分の仕事にあたっています。

 「市場や顧客の分析、自社の強み認識が、利用者さんにはより喜んでもらえるケアを、職員には働きがいを生み出すことにつながっています。そのサイクルを原動力にして新規事業への取り組みが進んでいます」井尻氏はそう語ります。

会社概要

創 業:2002年10月
資本金:300万円
事業内容:居宅介護支援、通所介護、地域密着認知症通所介護、訪問介護
従業員数:常勤16名、パート職員16名
所在地:奈良市富雄北2-8-15
TEL:0742-52-6399
FAX:0742-52-6397
URL:http://www.eonet.ne.jp/~nicecare-sakura

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