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【第30回】理念に立ち返り市場開拓 (有)ジョイフル 社長 有田 康晃氏(石川)(2011.11.30)

有田社長 (有)ジョイフル 社長 有田 康晃氏(石川)

 (有)ジョイフル(有田康明社長、石川同友会会員)は、12年前に父親が営んでいた事業の一つであるお弁当屋を分社化して、新たに会社として設立した会社です。地元に戻って手伝いをしていたこともあり、社長として起業した形となりました。「父親は喫茶店やアイスクリーム屋、ケーキ屋、食材デリバリーなど、開業しては失敗の連続でしたが、ちょうどお弁当屋を始めた19年前はITバブルの勢いにも乗り、オフィス弁当としては調子が良い時代だった」と有田氏はいいます。実際に引き継いでからも、オフィス弁当をメインとして受注数を大幅に減らすこともなく、維持することができていました。

オフィス弁当の飽和から介護食市場へ

社屋外観  5年ほど前から同業やコンビニの参入が相次ぎ、オフィス弁当では、需要を考えても市場が飽和状態になっていることに気付き始めていました。それでもまだ守りの体制で、有田氏は「減らさず頑張れば何とかやっていけると思っていた」といいます。そこにリーマンショックが訪れ製造業が落ち込み、工場自体が週に3、4日の稼働といった影響から弁当の注文が大幅に激減し、大きな打撃となってしまいました。

 そこで、弁当のラインナップとしてヘルシー食などには取り組んではいたのですが、新たな市場として元々から目をつけていた「介護食事業」を具体化することにしました。介護食を施設に配給するにあたっては決まりが多く、刻み食、軟飯などラインナップを増やし、365日営業、朝・昼・夜三食の対応などのために工場システムやパート社員のシフト体制を大幅に変更する必要がありました。「これらの手間を考えてずっとちゅうちょしていて、楽な『守り』の経営を選んでいた自分がいた」と有田氏は当時を振り返ります。社員に現状を話し、これからどうしていくか、話し合いを重ねる中で、「ゼロからのスタートだがやるしかない」という結論で一致しました。介護施設や老人会に営業をかけ、現在は大小合わせて数多くの施設に介護食を提供しており、個人の高齢者宅にも一人ひとりの嗜好に対応したオリジナルの食事を届けています。個人宅には昼・夕の注文で朝食にパンとドリンクを提供するというサービスを実施していて、取り組んでから3年ほど経ちますが、オフィス弁当の減少を何とかカバーすることができています。

多様な需要に応えるためにチルド食対応

工場の様子  介護食は自社で製造したものを配達するため、保健衛生上いろんな縛りがあり、市場が限られています。配達エリアも遠方からの注文はお断りし、各施設での「温めて出したい、一工夫加えたい」といった提供の仕方の要望にも応えることができないのが実情です。

 社員と「この課題を何とかしたい」と話し合う中で、経営理念にも掲げている「お客様の健康と幸せを願い、食生活の提案者」という原点に立ち返りました。食の安全を第一に、顧客のニーズに合った提供方法で、遠方にまでお届けできる方策を考え着目したのが、「チルド食対応」でした。チルド食は、衛生面でも高い安全性が確保され、全国の地方の味(関東風、関西風など)に応じた調整も可能です。その上安価で、他県へ配達も可能となり全国を市場エリアとすることができます。現在は国内にあるHACCP対応の工場と契約し、来年度は一日3,000食を目標に経営計画への反映を図りたいと思っています。

 また、個々の細かい要望にも応えるお弁当を提供しているため、時間とコストがかかり利益率が低いことが課題の一つにあります。経費節減のために配送経費を抑えることを模索するなか、石川発の「エンジンオイル添加剤」と出合いました。オイルやエンジンの寿命がよく、燃費が格段に延び(約30%)、車内に波動(マイナスイオン)が発生するので、運転手の疲労軽減にも役立つ優れものです。取扱代理店も担い、今は配送費の経費節減に一役かっています。

社員からお弁当コンセプト提案

 「父親から事業の一部を分社化する形で引き継ぎ、時代と共に変化する市場に応じて少しずつ形態が変化してきたのですが、そこには社員の存在が心強かった。ほとんどが同じ30代の社員ということもあって、団結力が強いのも特長です。ピンチの時に社員から『やりましょう』と言ってくれたことで、迷っていた自分の背中を押してくれたことは今でも感謝しています」と有田氏。お弁当に石川県産こしひかりや、能登の魚、金沢の五郎島金時(芋)など地産地消の食材を取り入れ、また今年のおせちを「家族で愉しむ」をコンセプトとして、デザートやキャビアを採用したことも、社員と共に試行錯誤した結果です。

 「これからも社員と共に顧客ニーズを捉えつつ、安心・安全を第一に新たな市場へ挑戦し続けていきたい」と語る有田氏の姿からは、若い力で果敢にチャレンジする、時代を担う頼もしさを垣間見ることができます。

会社概要

設 立:1999年
資本金:300万円
年 商:3億円
事業内容:各種お弁当の製造、販売。
従業員数:60名(内パート50名)
所在地:石川県金沢市西泉3-12
URL:http://www.obento-kanazawa.com/

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