シリーズインデックス:わが社の強みは??

【第38回】年5%以上の成長を支える従業員 (株)ウメザワドライ 代表取締役専務 梅澤 真一氏(新潟)(2012.02.01)

梅澤専務 (株)ウメザワドライ 代表取締役専務 梅澤 真一氏(新潟)

 (株)ウメザワドライの梅澤真一氏(代表取締役専務、新潟同友会会員)は、東京のクリーニング店で7年修行した後、1993年に帰郷、以降専務に就任しました。そこから経営の主な舵取りを任せられた梅澤氏は現在、4工場・直営28店舗・FC23店舗の経営について、「社会への貢献として仕事をするならウメザワドライで・・と言われる会社にしたい。クオリティの高い物を一緒に作り販売し、当社で働くことによって成長し、一人ひとりが人間としての価値を見出すことができればこの上ない喜ばしいこと」だと語っています。

 そのための具体策としては、各工場を独立運営の形にして損益を明確にし、収益開示も積極的に行い、ガラス張りの企業経営を実践しています。また、利益は、最終的には10%超を確保し、社員へは福利厚生やボーナスとして、パート従業員へは各種褒章や一部で始めた雇用保険制度の拡充、社会保険・厚生年金を整備したパートナー社員制度の拡充をするなど、働く人のための会社を築き上げていこうと考えています。

「ありがとう」の心

 1965年、家内工業から始まった同社は、その後、出店していく中で、仕事も増え、ハローワークに求人を出したり、工場にも看板を出したりするようになりました。そこで、15年程前から新卒採用を始めました。しかし、学校の就職課に行っても、当初は相手にもしてもらえませんでした。正規雇用ではないものの、最初の新卒採用は障がい者の方でした。「採用できたことが、非常に嬉しかったことを今でも覚えています」と梅澤氏。その彼は、今でも一緒に働いてくれています。その後は、継続していく中で、高卒や4大卒の採用ができるようになりました。今では大卒から障がい者、またパート従業員の主婦など、幅広い従業員がいます。そして、現場にそのまま入れるのではなく、マナーなども学べるようにと、同友会との出合いをきっかけに、共育研修へ参加するようになりました。

 経営理念に、「『ありがとう』と感謝の言葉をいただける会社を目指す」とあります。お客様から預かった洗濯物は、何人もの手を経て、またお客様にお渡しします。従業員同士も、互いに「ありがとう」という思いがあれば、自ずとお客様にも伝わっていくものです。「ありがとう」のバトンの渡す。そして、期待値を上回る「ありがとう」を全社一丸で目指しています。

工場改善への取り組み

 2006年に、工場のレイアウトを変更しました。トヨタ生産方式による現状設備を活用した手法を用いて、度重なる納期遅れの発生でお客様に迷惑をかけていたこと、また、繁忙期になると夜中までの仕事が続くことからの脱却が目的でした。しかし導入当初は生産に追われる毎日で、計画していたものとは遠い状況でした。社員が残業する状況は何も変わりませんでした。そこで、トヨタ生産方式を導入しているという企業数社を訪問、見学するや否や、どの企業も「まるで別世界」の印象を受け、納期遅れは抜本的な改革でないと変えられないことに気付かされたことにより、翌年からは、繁忙期には夜中までかかっていた作業が一変、残業なしのレベルにまで到達することに。この間の苦労は工場長以下、作業にあたるパート従業員の努力があってこそ。そこからは社内のリズムも雰囲気も良くなり、社員のやる気がパート従業員の意識を持ち上げ、生産点数が飛躍的に上昇していきました。「休憩の時だけでも、社員に癒しを届けたい」という梅澤氏の思いから、自然素材の休憩室もつくりました。
工場内

パート従業員を頂点とした新組織に

 同社では、毎年繁忙期前に受付従業員全員を集めた社内の受付研修会を行っています。ここで毎年、店舗の成長性・目標達成率・人件費率(収益性)などのデータと、クレーム対応などの評価を加味し優秀店舗の表彰が行われます。また、今の会社の基礎を築いてくれた感謝の意で、10年間勤めたパート従業員さんへ温泉ペア券が贈るなど、福利厚生の更なる充実を図っています。このような試みは、お客様を頂点に掲げた逆三角形の組織形態の考え方があるからです。一般に会社は、社長を頂点としたピラミッド型の組織形態が通常であり、社長は幹部に、幹部は社員に、社員はパート従業員に命令を下します。そして、パート従業員は社員に、社員は幹部に、幹部は社長に情報を伝達します。一方同社の体制は、お客様がパート従業員に要求(ニーズ)を伝え、パート従業員は社員に、社員は幹部に、幹部は最後に社長に伝えます。そして、そのニーズに基づき、社長は幹部をサポートし、幹部は社員を、社員はパート従業員を、パート従業員はお客様をフォローします。これによりサービスが消費者自身のニーズに近いところで実現され、「(会社をより)良くしていこう」とお客様の意見を良く聞くようになり、会社がどんどん良くなっていきます。

 同社の行動規範に、「常に物事の本質を捉え、人間としての基本的なモラル、良心に基づいて何が正しいかを基準として判断行動する」とあります。その規範から、「お客様に喜んでいただこう」と思いながらも失敗することは、前向きなミスであり積極的に働いた結果だと評価されるのです。「売上や利益は幹部が作るものではなく、従業員全体で作り上げた結果で、その延長線上に企業の成長があると考えています」と梅澤氏は言います。
従業員の皆さん 

目指すところ

 梅澤氏は、「同友会に入会する前は、売上をあげて、世間に評価される会社になりたいと思っていた。しかし、今目指しているのは、『世間に必要とされ、長く生き続けていける会社』。そのような会社の共通点は、創業者の思いが受け継がれていることです」と語ります。

 徳川家康が晩年に書かれたとされる「大将のいましめ」というものがありますが、梅澤氏はこれを常に心掛け経営に取り組んでいます。

大将のいましめ

大将というものは
 敬われているようで その家来に絶えず落度を探られているものだ。
 恐れられているようで侮られ、親しまれているようで疎んじられ、好かれているようで憎まれているものじゃ。

大将というものは
 絶えず勉強せねばならぬし、礼儀もわきまえねばならぬ。
 よい家来をもとうと思うなら、わが食へらしても家来にひもじい思いをさせてはならぬ。自分一人では何も出来ぬ。
 これが三十二年間つくづく思い知らされた家康が経験ぞ。

家来というものは
 禄でつないでならず、機嫌をとってはならず、遠ざけてはならず、近づけてはならず、怒らせてはならず、油断させてはならぬものだ。

『ではどうすればよいので』
 家来には惚れさせねばならぬものよ

徳川家康(1616年6月)

会社概要

設 立:1965年
事業内容:一般ホームクリーニング、業務用クリーニング、衣類等の修理、写真現像、ユニホームの販売・リース・レンタル・管理業務、衣類・布団・毛布等の保管業務
従業員数:170名(パート従業員・アルバイト含む)
本社所在地:新潟県新潟市中央区弁天橋通1-2-27
TEL:025-286-2231
FAX:025-287-1642
URL:http://www.umezawadry.co.jp/

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