シリーズインデックス:共に育つ

【第8回】障がい者雇用が社内を変える(有)グラン・ブルー 代表取締役 石井 雄一郎氏(京都)(2012.06.13)

石井社長 (有)グラン・ブルー 代表取締役 石井 雄一郎氏(京都)

 京都市中京区に所在する(有)グラン・ブルー(石井雄一郎社長、京都同友会会員)は、観賞魚用水槽の設計・設置・施工・メンテナンス、観賞魚や関連機材の販売を主な業務として、1995年に設立されました。観賞魚を専門に取り扱う会社は少なく、その点に着目しての創業でした。

先の見えない悩み

 京都同友会には2009年1月に入会。その当時石井氏は社員を育てるという気はなく、社員が2年で入れ替わるほど定着が悪い状態で、辞めていく社員からは「社長のやりたいことがわからない」「将来が不安」と面と向かって言われることもありました。会社にはビジョンや理念もありませんでした。「私自身もいつまで営業の仕事を続けなければならないのか、中堅社員にどのように会社を引き継いでいくのか、なぜ社員は辞めていくのか、先の見えない中で悩みばかりが募り出した時期だった」と石井氏は振り返ります。

「人を生かす経営」実践道場

 そして同年の11月、「同友会に入会したからには『道場』に行かなあかん」との先輩会員の一言で、第8期「人を生かす経営」実践道場(以下「道場」)に入門しました。道場では、「労使見解」(中小企業における労使関係の見解)の精神から経営者としてのあるべき姿勢を学び、自己姿勢・経営姿勢を自問するところから経営指針を成文化する講座です。実際、石井氏も半年におよぶ講座を経て、自分自身を見つめ直し、「これまでの自分は経営者ではなかった」ことに気づかされます。

 「なぜ生まれてきたのか?」「なぜ会社を経営しているのか?」。自問し気づいた事柄を経営指針書に盛り込むことにより、経営に対する意欲が高まってきました。

社員と一緒に会社をつくっていく

 道場を修了後、幹部社員を集めて、「経営理念」の発表会を行いました。理念を読み合わせ、社員に経営理念に込めた社長の思いを伝えました。毎期ごとに経営指針書を更新されている現在でもこの発表会を続けています。また営業終了後にはおのおのの興味に沿ったテーマで勉強会を行い、グループ討論を取り入れるなど、社員と一緒に会社をつくっていこうとする意識が高まり、仕組みをつくってきました。

「経営理念」を成文化し、発表会や勉強会を通じて理念の共有が深まるにつれて、社員の変化を実感するようになりました。社員が主体的・積極的に働くようになり、同時に社長の思いが一層明確になる好循環が生まれてきました。それにつれて社員の定着も良くなり、一緒に働きたいという人が増えてきました。

 石井氏は経営指針書を成文化した後も助言者・運営委員として道場に携わり続け、「何のために」をさらに深く考え抜き、何が経営の土台・礎となっているかに思いがいたります。

どんな子ども大切にしたい

 もとより観賞魚用水槽の設置・施工も、幼稚園や福祉施設が多く、創業時から「子どもたちの笑顔のために」に強いこだわりを持ち仕事をしてきました。「このこだわりは何なのか?」幼い頃の記憶がよみがえりました。

 石井氏は、3歳ぐらいのときに生死に関わるような大やけどを負い、左半身に大きなやけど跡ができてしまいました。そのせいで、プールの授業や学校での着替えのときなどクラスメイトたちは気味悪がりました。しかし時が経つにつれ、やけど跡が個性の一部であると認めてくれるようになり、何も知らない別のクラスの同級生たちに対して、守ってくれるようになりました。

 この「助けられ・守られた」という幼少時の経験が根底にあり、「どんな子どもたちも大切にしたい」という思いにつながっていることに気づきました。この思いをもとにしてどのような会社を目指すのか、どのように事業展開するのか、新たな模索がはじまりました。

「ぐらん・ぶるー」と障がい者雇用

グラン・ブル―  その思いを形にしてできたのが2011年1月に開業した「きっずかふぇ&菓子工房 ぐらん・ぶるー」です。地元の食材をいかしたランチや、菓子工房で作られたスイーツを楽しみながら、カフェに併設された「きっずこーなー」には遊具やピアノを設置し、どんな子どもでも遊べるように工夫がされています。定期的にピアノの先生に来てもらい、情操教育のイベントも行っています。

 またスタッフとして障がい者を雇用しました。ハンディを持つお子さんの親御さんが気軽に遊びに来てもらえるように、そして働くスタッフの姿を見て我が子の将来に少しでも安心してほしい、そんな思いが込められています。実際にカフェで働く障がい者を見て、「安心した」「少し気持ちが楽になった」「希望が見える」と言ってもらえることもあります。健常者の子どもとハンディを持つ子どもが関わり合う機会がどんどん減っている現状において、カフェが両者をつなぐ場になり、ここを中心に社会にも広がってほしい。石井氏はそんな思いも持っています。

障がい者雇用が社員を変えた

厨房の様子  「障がい者を雇用し、それまでの社員が変わったことも実感しました。社員同士の気遣いや思いやりがとても強くなったと感じています」と石井氏。社員が常にまわりの人の動きを考えながら働くことが増えました。また、日常使う用具を置く場所を決め、徹底できるようにし、整理整頓がしっかりできる職場になり、社員全員にとっても働きやすい職場環境につながりました。

 さらに、理念にある「京都の企業として、地域の魅力を発信し地域と共に育つ企業」を実践するための場所として、同年4月には障害者就労支援継続支援A型事業所として認可を受け、「(株)京のちから」を立ち上げました。

 石井氏は「今後は障がいを持つ方たちの働く場を積極的に開拓していきたい。これが(有)グラン・ブルーの同友会運動です」と決意を語ります。

経営理念

~私たちは、笑顔と安らぎに満ちた生活空間を創造する企業です~

一、私たちは「潤い空間」の創造を通して、癒しと安らぎの生活空間をお届けします。
一、私たちは自然の恵みに感謝し、自然の素晴らしさを分かち合える企業を目指します。
一、私たちは京都の企業として、地域の魅力を発信し地域と共に育つ企業を目指します。

会社概要

設 立:1995年
資本金:300万円
年 商:4,300万円
事業内容:熱帯魚店/水槽メンテナンス・水槽設計・施工・活魚水槽設計・施工、
     京野菜くっきい/菓子工房ぐらんぶるー、きっずかふぇぐらん・ぶるー
従業員数:社員6名
所在地:京都市中京区大宮通三条下ル三条大宮町255
TEL:075-803-0900
URL:http://grand-bleu.co.jp/

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