シリーズインデックス:共に育つ

【第11回】豊かな運び手として社会に貢献する企業  川端運輸(株)代表取締役 川端 章代氏(奈良)(2012.07.04)

川端社長 川端運輸(株)代表取締役 川端 章代氏(奈良)

経営者としての気づき

 川端運輸(株)(川端章代社長、奈良同友会会員)は、1964年に父親である現会長が創業しました。当初は地元の野菜やフライビーンズなどを運び、現在は大手食品会社の食品・ビール、それに建設資材と一般貨物全般を取り扱っています。広い駐車場には、イメージカラ―の淡いピンク色の大型トラックが整然と並んでいます。

 川端氏は、1994年に幼子三人を連れて実家に戻ることになり、両親や姉夫婦が切り盛りする家族的な雰囲気の経営に入り、数年後には部長職に就きました。

 2000年3月、静岡県で飲酒運転のため社員を逮捕したという連絡が入ります。売り上げの80%近い大手物流の仕事で4日間の全車両停止処分を受けました。このことを通して経営者としての社会的責任の重さと社員教育の大切さを痛感します。「信頼を取り戻すことと、会社の存続に取り組むことが使命だと思った。しかし、今振り返ると、そのときの経営者責任は第一段階だったと感じている。『労使見解(中小企業における労使関係の見解)』の学びで経営者責任をもっと奥深くとらえることができるようになり、社員教育も一言では済ませられない、『共に育ち合う』ことに深まっていった」と川端氏は語ります。

同友会での三つの学び

 入社して10年、家族経営であっても組織として会社をつくりたいと思い始めていたときに奈良同友会に入会しました。

 川端氏は、同友会で三つのことに共感し学びます。一つ目は、「外部環境のせいにせず、経営者は会社を維持発展させる責任がある」こと。会社は経営者個人の物ではなく、社会の中で企業としての役割があること。二つ目は、「共育ち」です。社員は単に労働力ではなく、共に目標を持ち、刺激し合って前進していく、一人ひとりの能力や技術を最大限に見つけ合っていく仲間であるということ。三つ目は、「その目標や目的は何のためにあるか」ということです。川端氏は学びと実践を通し、生きることは学ぶこと、学ぶことは生きることと実感しました。そのことから「社会の中で役に立つ人の集団でありたい、社員と共に豊かになれる会社にしたい」という夢を持ち、確信となり大きな覚悟になっていきました。

一人ひとりのやる気と能力

作業風景  2008年7月に代表取締役就任が決まり、6月に経営指針発表会を開催しました。経営指針を共有するうちに、「字を書くのは嫌い」「勉強するのが嫌いだからトラックに乗っている」と言っていた社員たちが、自分の意見をしっかり発言し「次は何をやるのか?」と聞くなど、知らないことを知る喜びを感じ、自分たちで行動する気持ちに少しずつ変化し始めました。「今日より明日と、少しでも成長したいと思う気持ちは私と同じ気持ちだと思った。今までできないだろう、嫌がるだろうと否定的な考えをして社員に接していた自分が恥ずかしく申し訳なく思った」と川端氏は言います。

 また、同友会の「実践道場」へ通い経営指針をつくる中で、気づきに質的な変化が起こります。経営者としての役目と使命に覚悟ができ、組織づくりのために社内改革に取り組むようになりました。

 ベテラン社員がリーダーとして適しているとは限りません。「共育ち」の精神を学んでからは、中堅の人たちが社風を変えながら育っています。いつまでもベテランの人たちに遠慮していては組織が成り立たないと、思い切って委員会をつくる提案をしました。社員と皆で話し合いながら、「安全委員会」「環境委員会」「品質委員会」をつくり、事故防止・目標取り組み・エコ運転・5Sなどを積極的に実行する風土に変化してきました。

 今では年2回、休日に1日かけてグループ討論も交えての研修を行っており、全社員集会は5年目となりました。

人の資質を重視する

 同社の理念に「共に人として育ち合いお客様のパートナーとして歩める企業を目指します」とあります。即戦力を求め採用に失敗した苦い経験を踏まえ、今では採用も即戦力を求めず、人の資質を重視して経験のない人もドライバーとして採用します。「品質重視」という方針には時間と根気が必要です。営業職を採用したときから、「高齢者に特化した引越し」という新しい仕事づくりにも臨んでいます。

 「川端運輸がお届けするものは荷物ではありません。私たちが運ぶものは、作り手や持ち主の方々のこだわりや技術です。新しい介護の引っ越しも同じことです。その方の、人生の歩みを届けるのです。それが私たちの仕事です。このことが理解できれば荷扱いも運転マナーも接客も変わるはずです。何のために自分たちが毎日トラックを走らせ、お届するのか。このことを徹底して深められる企業品質を問いながら、情熱と熱意をもって歩んでいきたい」と川端氏は力強く語ります。

会社概要

設 立:1987年
資本金:1500万円
年 商:3億2000万円
従業員数:26名
事業内容:一般貨物自動車運送業
URL:http://www.kawabataunyu.com

このページの先頭にもどる

携帯用QRコード
携帯対応について

更新情報RSS