【12.09.12】【第20回】切磋琢磨し共に育つ 川上機工(株) 社長 吉池 睦氏(群馬)

吉池 睦氏

川上機工(株) 社長 吉池 睦氏

 川上機工(株)(吉池睦社長、群馬同友会会員)は、今日までコレーター(丁合機・折込機)のパイオニアとしての技術を軸に、搬送機・包装機・読者管理ソフト・自販機など、常に時代のニーズにマッチしたさまざまな商品を積極的に開発し、提供してきました。また、経営理念には「我々は“プラス思考で風通しが良く、一枚岩で力強い組織”を目指します」と掲げ、社長と社員がともに育つ関係づくりに日々取り組んでいます。

社長に就任

社屋外観

 長野県出身である吉池氏は、大学を卒業後、地元の電気部品関連企業に技術者として就職しました。しかし「もっと人とかかわる仕事がしたい」という思いから、5年後に営業・メンテナンス担当として川上機工(株)に入社しました。
 
 仕事は順調だったものの、年月の経過とともに「変化がない、経営内容がわからない」など、会社への不信感から転職を考え始めていたころ、吉池氏に大きな転機が訪れます。外部から新社長として佐藤誠一氏(現会長)が入社したのです。さまざまな改革が実施されると、吉池氏も含め社員のモチベーションはどんどん向上していきました。また、佐藤氏は「次の社長は外部からではなく内部からつくる。社長交代までの期限は10年」と社内に宣言しました。その期限が迫るなか、社長への打診を受けた吉池氏は「経営の勉強をしなければ」と、2006年常務のときに群馬同友会に入会しました。その翌年の2007年に代表取締役に就任し、現在5年目を迎えています。

会社の方向性を見出す

 社長就任の翌年、いきなりリーマン・ショックに襲われ、社長としての苦悩を経験した吉池氏は「本当に苦しかったし、何をすればいいのかわからなかった」と当時を振り返ります。しかし、そのときの経験や同友会の「経営指針づくり」に参加するなかで、会社のビジョン、さらには社長として自分が何をしなければならないのかを明確にする必要性を痛感しました。そこから全社員がやりがいと誇りを持てる職場、そして人を大切にする経営を目指すことに専念してきました。

経営者の使命

 以前から社員の定着率が悪かった同社。そのことをずっと懸念していた吉池氏は、会社の現状を分析し、個人に対する目標設定がうまくいっていなかったことに気づきます。そこで、個々の能力にあった目標を設定し、それぞれが一歩ずつでも成長できる環境をつくりあげてきました。また、業績を上げようと、海外も含めて営業エリアを拡大したことで、会社としての「力の分散」や「コミュニケーション不足」などの問題点にも気づき、拡大路線から自分たちが得意としているエリアに力を集中させていくように方向転換しました。さらに、「何かを変えたければ、まずは自分が変わらなければダメ」と、自らもさまざまな勉強会に参加していきました。そんな地道な努力の結果、5年前と比べて定着率は大幅に改善されました。

コミュニケーションを大切に

 「社内の雰囲気がギスギスしていたのでは、お客様に最高のサービスが提供できるわけがない」と語る吉池氏は、年に1回行う個人面談をとても大切にしています。営業所が東北・関東・甲信越に点在しているため、社長が各営業所を周りながら、短い人でも1時間半、長い人だと3時間半ほど時間をかけ、じっくりと話を聞きます。「一人ひとりの幸せを見つけるために会社を使ってほしい」と願う吉池氏は、会社のことに限らず、人生において将来はどんな風になりたいのか、どんなものを手に入れたいのかなど、「傾聴」を心がけながら問題解決の糸口を見つけるよう努めています。「はじめはどうしても口を出してしまっていた」と吉池氏は言いますが、もともと同じ社員としての立場だったことも幸いして、今では社長に対しても何でも言える風土ができあがりました。

切磋琢磨し「共に育つ」

 経営方針発表会

 年に1度、全社員が集まる「経営方針発表会」では、同社の「共に育つ」精神が生きています。方針発表会の企画は持ち回りで社員が担当しています。前年度のプログラムは、社員の成功体験を報告してもらい、全員で共有しながら深め合うというものでした。また、同社では営業会議やグループ会議であっても、学びの場としてとらえて研修を行います。内容はSWOT分析、ロールプレイング、技術研修、営業研修などさまざまですが、すべてに共通していることは、社員が「自ら考えて実行する」ということです。「ふだん顔を合わせられない分、自主性を育むことで、社員同士が切磋琢磨しながら共に成長してくれると信じている」と吉池氏は言います。

 今後は、「一人ひとりの社員が自分の夢を実現できる会社にしていきたい。それぞれが成長すれば会社も必ず成長してくるはず。会社だけが成長してもつまらないですよ、私も元社員なので」と笑顔で語る吉池氏。今後のさらなる飛躍が期待されます。

会社概要

設 立:1950年
資本金:1,000万円
事業内容:新聞販売店向け省力機器販売・メンテナンス
従業員数:42名
所在地:群馬県高崎市小八木町304-2
TEL:027-361-6633
FAX:027-362-4102
URLhttp://www.kawakami-kk.co.jp/