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【第37回】社員はファミリー (株)菓子工房COCOイズミヤ 代表取締役  庄司 薫氏(山形)(2013.01.16)

庄司社長 (株)菓子工房COCO(ココ)イズミヤ 代表取締役  庄司 薫氏(山形)

店舗内  創業94年の(株)菓子工房COCOイズミヤは、山形県の南東にある人口約2万5,000人、童話作家・浜田広介のふるさと、高畠町にあります。周辺にお菓子屋さんがなかった大正時代に、曾祖母が菓子職人を雇い、和菓子屋として創業。オレンジ色の小さなお店に甘い香りが広がり、いつもお客様でいっぱいです。

私もおいしいお菓子をつくりたい

 当時、職人が住み込みで働き、お風呂も一緒に入る家族同然の生活で、庄司氏が小学校生の時も二人の和菓子職人が働いていました。「その職人が、洋菓子を学びたいと次々と東京に行ってしまい、家族がいなくなるようで寂しかった」と庄司氏は当時を語ります。職人の一人が六本木ルコントで修行しトップになり、和菓子の師匠である父親に洋菓子を教えました。お土産にもらった衝撃的な洋菓子の味に感動し、庄司氏は「私もつくりたい」と洋菓子職人(パティシエ)の道を決意しました。

突然、経営者になって

 今でこそ女性パティシエは花形職業ですが、30年前は女性にはハードルが高い世界。
朝4時から夜22時ごろまで働く仕事は厳しく、師弟関係も絶対服従で男性でも続きません。庄司氏が修行したいと言っても、「女には無理」と受け入れてもらえませんでした。

 東京の洋菓子協会の紹介で、やっと修行先が決まり、高校卒業後3年間修行しました。2号店を出した実家から手伝ってほしいと連絡があり、「まだ東京にいたい」と思いながらも、好きなお菓子作りが地元でできるならと戻りました。

 結婚を機に6年間専業主婦になりましたが、どうしても働きたいとの一念で、再び実家で働きはじめました。そんなある日、「俺の代で終わりだな」と父がぽつりと言った言葉に、庄司氏は、「絶対、そうしたくない」と継ぐことを決意しました。その矢先家族の病気が相次ぎ、半年間店を閉めることになると、「倒産した」という噂まで出始めました。70歳を過ぎた父が「どうしても再建したい。薫、おまえが社長になれ」と突然経営者になったのが7年前のことです。借金をして店の再建に奮闘し、半年のブランクを取り戻しました。町の外からもお客様が増え、2年間で売上が上がりました。

パティシエから経営者に

 社員さんの様子  パティシエとしてのお菓子作りの毎日から経営者になったことで、現場に出る時間がなくなり、スタッフに頼るしかなくなりました。当時は全員女性で、親の介護、子育てをしながら働いていました。そんな中「どうしたら、生き生きと働けるのか。どうやったら、安心して働けるのか」と、社員の人生、暮らしを考えることが経営者の役割と気づき、山形同友会で経営指針書の作成に取り組みました。

 そして、社員と家族に何かあったときに、気兼ねなく休め、安心して働ける会社づくりを社員ととことん話しあいました。ある社員から「高校からやってきたホッケーの試合に出たい。土日休がほしい」との申し出がありました。そこで、店の定休日は月1日でも、全員が週1回必ず休める会社にしよう。若い人には仕事以外でもやりたいことをやる人生を送って欲しいと、みんなで応援しよう、カバーしやり抜こうと話しあいました。

 現在は、月1回のミ―ティングのなかで、みんなで意見を出し考えて仕事を進めています。昼休みもコミュニケーションの場であり、課題や違いを認めあい、気持ちをひとつにしています。

社員はファミリー

 「労使見解(中小企業における労使関係の見解)」と出合い、「社員はパートナー」との考え方を自然に受け入れました。創業時からやってきた家族ぐるみの経営が、当たり前のこととして今も受け継がれているからです。最近、かつて同社の職人だった東京で働いた男性が、「63歳になり一人暮らしなので、田舎に帰りたい。イズミヤさんの近くに住みたい」と引っ越してきました。「生きがいだから」とたまに手伝ってもらっています。「社員の家族もお客さまで、社員はファミリー。家族ぐるみの付き合いができることが本当にうれしい」と庄司氏は笑顔で話します。

心のこもったお菓子で地域に笑顔を広げたい

 歌人・結城哀草果が、「置賜は国のまほろば菜種咲き 若葉茂りて雪山も見ゆ」と詠み、「まほろばの里」と呼ばれている高畠町。周囲が山々に囲まれた自然豊な土地に恵まれ、野菜、りんご、ラ・フランスなどの果実が生産されています。昔からの知り合いの生産者が、お菓子の原料に使えないかと持ってきてくれた枝豆、かぼちゃ、リンゴ、ラ・フランスなどが、一度食べたら忘れられなお菓子に見事に変身。「また食べたい」と、地元以外にもファンが増えています。

 「お菓子作りが大好きと云う社員とともに、一つひとつ心をこめて作り、地域に笑顔を広げていきたい」と庄司氏は語ります。
社員と

経営理念

一、私たちは、心に響き、心に残るおいしさで、元気と笑顔を届けます。
一、私たちは、人々の想いをつなぎ お菓子の和で地域に夢を広げます。
一、私たちは、お菓子への志をひとつにして 夢を育み、さらに輝き、一緒に幸せを築きます。

会社概要

設 立:1919年
資本金:450万円
事業内容:洋菓子・和菓子製造販売・カフェ
従業員数:10名
所在地:山形県東置賜郡高畠町大字福沢141-1
TEL:0238-57-4456
FAX:0238-57-4456
URL:http://cocoizumiya.com/

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