【第40回】日本一新陳代謝の良い会社を目指して (株)マンボウ・サービス 代表取締役 吉岡 望氏(鹿児島)

吉岡社長

(株)マンボウ・サービス 代表取締役 吉岡 望氏(鹿児島)

 (株)マンボウ・サービス(吉岡望社長、鹿児島同友会会員)は主に太陽光発電システムの設置をしている電気工事会社です。創立は1993年、4年後の1997年に法人化。学生時代はラグビーに没頭し、「ONE FOR ALL  ALL FOR ONE」の精神を学びます。大学卒業後、県外の会社に就職しますが一年で帰郷。兄の経営する電器店に就職するも大量消費・大量廃棄のスタイルに疑問を感じ、環境に考慮した仕事がしたいと現在の会社を設立しました。

迷走する経営

社屋

 設立後、エアコンクリーニングの仕事を始め、環境にも良く夢のある仕事だと思っていましたが、1日に3台を掃除するのが精一杯。それだけでは食べていくことが難しいと思っていたときに出合ったのが、太陽光発電システムでした。「二酸化炭素や煙も出さず、これからの地球環境のためにはこれを普及させることが必要だと思い、また使命だとも感じました」と吉岡氏は言います。

 その当時は社員数も少なく、給料もそんなに多くは出せませんでしたが、皆それなりに楽しく頑張っていました。しかし、会社を現在の場所に移転してから売り上げが伸び、社員が一気に増えました。そのころから、仕事は順調ですが組織として何かピリッとしない雰囲気がありました。そこで吉岡氏は自分なりにランチェスター戦略やいろいろな会のセミナーに参加したり、書籍を読んだり、経営の勉強をし、会社を良くしようと試みますがしっくりきませんでした。また、経営計画が無く、社員教育ができていないことから、「このままでは良い経営ができない」と限界を感じていました。そんな中、あるきっかけで鹿児島同友会に誘われ、そこで「経営指針セミナー」の存在を知ります。「経営指針セミナーを受けたいがために入会を決めたものの、その当時は社員をいかに効率よく働かせ利益を上げることだけを考えていました」と吉岡氏は言います。

同友会にはまればはまるほど…

 経営指針セミナーを修了して半年が経過したころ、ある社員二人が現場放棄をし、そのまま勝手に帰宅してしまうということがありました。数カ月先に初めての例会発表を控え、打ち合わせを重ねていくなかで、社内のさまざまな問題点が浮かび上がってきました。そこで、会社の歴史や社長としての思いを、社員全員を集めて約一時間熱く語り、朝礼で経営理念・行動基準の唱和を始めたころにこの事件は起きました。

 現場放棄をした内の一人を社長室に呼び、約2時間話をしました。事情を聞くと、会社の中の風通しが悪くなっていたことが原因の一つと分かり、さらにショックな一言を聞くことになります。「社長は同友会に行き出してから変わりました。自分は前の社長が好きでした」と言われたのです。同友会の3つの目的の下、いろいろと試行錯誤しながら頑張ってきたつもりでしたが、社員との溝は深くなっていました。「同友会で学び実践すればするほど会社内で浮いていたということを感じました。そして『このどうにも収まらない気持ちをだれかに聞いてもらいたい』との一心から、ある会員さんに相談を持ちかけたところ、快く応じてもらえました。そのとき、経営の悩みを相談できる仲間がいることを嬉しく思いました」と吉岡氏は語ります。

 ある日、経営指針セミナーを受講したときの同期生の例会に参加しました。同友会で学んだことを実践し、変わっている姿を発表で感じることができ、良いお手本だと思いました。翌日からさっそく、次の三点を実施していきました。「公私混同しない」「社員の労働力を私用な事に使わない」「役員もタイムカードを使用する」。真似できることから実践していきました。このことを実践することにより、吉岡氏の意識も変わり、社員の意識も変わっていきました。

日本一新陳代謝の良い会社

作業風景

 2年前の経営フォーラムで大阪同友会の(株)山田製作所の山田社長と出会い、それが縁で2012年8月に社員を連れて工場見学に行きました。徹底された3S(整理・整頓・清掃)に驚いた社員は感じるものが多かったようで、翌日から効果が目に見えました。社員が自主的に朝礼前に清掃をするようになり、倉庫の整理・整頓がされ、現場に忘れ物をしなくなりました。また、社員同士のコミュニケーションも活発になり、会社の雰囲気も一気に変わりました。「前述の事件が起きたときに社員から言われた一言はショックでしたが、今では好転反応の一つだったのだと思えています。同友会で日々学び、実践していて思うことは、人は感情で動くので、社員の持っている感情を大事にしたいということです。社長がつくった経営理念や経営計画を共有化させようとしても、社員と溝が深ければ意味はありません。社員の意見を吸い上げフィードバックし、またそのような意見を言える環境を与えるのも経営者としての責任だということを実感しています」と吉岡氏。一度つくった経営理念ですが、社員と相談し、確認しながらもう一度練り直そうと考えています。

 三日坊主でも良いから、新しいことにチャレンジし、良いものは取り入れ実践し、ダメなものは捨てていく。「マンボウ・サービスを日本一新陳代謝の良い会社にしたい」と吉岡氏は話します。今後も同友会というツールを利用しながら社内の問題解決に努め、社員とともに学んでいきたい。学生時代ラグビーで培った「ONE FOR ALL ALL FOR ONE」の精神の下、「会社名の由来でもある萬(まん)の望みを満たし、魚のマンボウが変態を繰り返し成長していくように、社長と社員が一丸となって、まだまだこれから成長していきたい」と力強い決意を込めて吉岡氏は語ります。

経営理念

私たちマンボウ・サービスは、自然エネルギーの健全な普及を通して、この青い海と、青い空を守り続けます。

行動基準

私たちは、常にONE FOR ALL ALL FOR ONEの精神で行動します。

会社概要

設 立:1993年(法人化1997年)
資本金:300万円
年 商:1億5,000万円
事業内容:主に太陽光発電システムの設置・販売。その他電気工事業。
従業員数:15名
所在地:鹿児島市吉野町11334-2
TEL:099-246-3678
FAX:099-246-3687
URL:http://manbow1993.com/