シリーズインデックス:わが社の経営理念

【第16回】理念の浸透でワンマン経営脱却 (株)吉田電工  代表取締役  吉田 雄亮氏(埼玉)(2013.08.07)

吉田社長 (株)吉田電工 代表取締役 吉田 雄亮氏(埼玉)

社長交代は突然に

 埼玉県戸田市に拠点を置き、電気設備工事や空調設備工事などを業務とする(株)吉田電工。吉田雄亮社長(埼玉同友会会員)は、自らも電気工事職人だった父の男三兄弟の次男として生まれ、「高校のころから何となく会社を継ぐことになるだろうと思っていた」と言います。当時は建設業界独特の構造により、価格決定権のない言いなりの仕事を余儀なくされ、そこから脱却するためにも、ただの職人としてではなく、現場代理人=設計や監理の仕事をしたいと思っていました。専門学校卒業後、念願の監理をする会社に就職し、仕事も順調に覚えてきた25歳のとき、父親が急逝。「有無を言わさず会社を継ぐことになったのですが当時は自信がなかったため、社長を母親に任せ、私は専務として承継しました。しかし、せっかく覚えた監理の仕事は役に立たず、当然現場も知らないので、職人として一からやり直しです。しかも会社は債務超過という状況でした」。

苦痛だったグループ討論

仕事の様子  財務は吉田氏の母親が担当していたこともあり、お金のプレッシャーを感じることなく、営業と現場に専念でき、7年後には累積赤字を消すことができました。中途社員を5人採用することもでき余裕が生まれ、知人からの勧めで2006年、埼玉同友会に入会しました。「人前でしゃべるのが苦手で、グループ討論も苦痛でしたし、経営理念や企業の社会的意義を聞かれても、チンプンカンプンでした。それでも例会に出続けたのは、それ以上に面白いと感じていたからです」と、吉田氏は当時を振り返ります。ここでの多くの先輩会員からのアドバイスや学びは、後の吉田氏の大きな財産となっていきました。

最初の経営指針発表は失敗に

 目標である新卒採用もでき順風満帆な中、リーマンショックが起こりました。その影響が徐々に現れてきた2010年、「いよいよマズイ」と、逃げていた経営指針作成に臨んだのでした。

 理念を作成する過程で「自分たちのお客様はだれなのかということを突き詰めて考えた」と吉田氏は言います。そして、実際にお金をもらうのは、建築会社や電器屋さんかもしれないけれど、最終的にそこに住む人に向き合って仕事をしているのだというところに考えが行き着きます。「われわれは、お客様に安全安心な電気設備を提供し、社会資本整備の担い手として、地域貢献する企業としての責任感と誇りを持って仕事をしよう、という思いを理念に込めました」と吉田氏。

 ところが作成の成果は期待に反したものでした。指針書をつくり実践しようと意地になってしまった結果、売上を上げようと無理な受注が続き、現場で事故が起きてしまうなど、本末転倒となってしまったのです。指針を早く社員に知らせたいという気持ちが先行し、年末の忙しい時期に指針書を発表したのも失敗でした。吉田氏の思いとは裏腹に、社員は経営指針にほとんど関心を示さなかったのです。時期も大事なのだと痛感した出来事でした。

浸透は社員の態度で

整理棚  最初の発表では手ごたえを得られなかった吉田氏ですが、作成から2年近くたった2012年の秋ごろから、社内に理念や指針が浸透してきたと実感できる場面が出てきました。

 あるとき、吉田氏が会社の倉庫の整理を思い立ち、資材や工具などを社長の独断で配置を決めて整理をしていたら、社員がラベルの書き方、配置する場所などを自分たちで使いやすさを考え整理し直してしまったということがありました。「社員のなかに自主性が育っていることを感じました。また、こんなこともありました。『わが社の翌年の計画や戦略がどうなっているのか』と、30代の社員が私に聞いてきたのです。私への意見が経営参加型意見へと変化してきと感じさせる出来事でした。特別浸透させるために何か特別にやっている訳ではないのですが、常々例会での学びなどを通して、私の思ったことや考えていることの話をしてきたことが、社員にも伝わっていったということかもしれません」と吉田氏。

 2013年度の新卒採用を検討していたときには、「自分の経験から一人よりも二人採用したほうが、競い合えるし励まし合えると思うので、ぜひ二人採用をしてください」と若い社員にアドバイスされ、一人と思っていた採用を二人に増やしたということもありました。社員の成長に手ごたえを感じた出来事でした。

更なる高みを目指して

 「経営指針をつくったからと言って何かが劇的に変わるわけではないですが、指針をつくることで、できてきたこと、まだできていないことが明確になる」と吉田氏は語ります。現状が把握できることで、先のビジョンを考えたいと思えるようになりました。

 「先のことを考えると、やらないといけないことの課題の一つは幹部の育成です。私は今までワンマンでやってきましたが、社員の意見を聞き、それを取り入れていくことで社員はますます自主性を身につけて、仕事に前向きになっていくことが最近やっとわかりました。そして社員の意見を取り入れて経営していくほうが、会社もうまくいくことに気づきました」と吉田氏は言います。

 社長、社員、協力会社がパートナーとして、ともに成長し幸せになっていくことを目指し、
吉田氏の挑戦は続きます。
社員の皆さん

経営理念

・私たちは高い技術力を持って、お客様に安全安心な電気設備を提供し、社会資本整備の担い手として、地域貢献する企業を目指します。
・ お客様に快適な電気設備を、提案して提供します。
・ プロの工事会社として、納まりと仕上げの美しさにこだわり続け、技術力の向上を目指します。
・ 社長、社員、協力会社がパートナーとして、共に成長し幸せになっていく事を目指します。

会社概要

創 業:1989年
資本金:1,000万円
年 商:約3億円
事業内容:電気工事、弱電工事等全般 LEDなどの省エネ電気設備工事 太陽光発電設備 空調設備工事
従業員数:12名
所在地:埼玉県戸田市上戸田4-4-14
TEL:048-433-3192
FAX:048-433-3182
URL:http://www.yosida-denkou.co.jp
E-mail:y-yosida@yosida-denkou.co.jp

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