シリーズインデックス:わが社の経営理念

【第26回】企業価値と企業品質の向上を目指す価値前提の経営へ (株)エヌビーエム 代表取締役社長 多田 雅彦氏(香川)(2013.10.23)

多田社長 (株)エヌビーエム 代表取締役社長 多田 雅彦氏(香川)

「掃除の仕事をしています!」と胸を張って自慢できる会社を創る

 高校卒業後ミュージシャンになることを夢見て東京に出た多田氏は、30歳を目途にその夢をあきらめ、当時しのぎでやっていたビルの窓拭きの仕事に没頭するようになりました。
 ある日いつものように窓拭きの清掃をしていると、「スパイダーマンみたい」と憧れの眼差しの少年に対して母親が「勉強しないとあんな風になるよ」と言っている声が聞こえてきました。そのとき多田氏は自分の仕事の社会的地位の低さを思い知りました。また、一緒に仕事をしていた清掃のおばちゃんが、家族に内緒で仕事をしているという事実を知り愕然としました。それらの出来事が多田氏を全従業員が「掃除の仕事をしています!」と胸を張って自慢できる会社を創るという独立・創業への道に走らせました。
 多田氏は「市場は小さいが東京仕込みの技術で勝負できるだろう」と地元香川で創業します。しかし、仕事もなく資金繰りに困り、毎日「どこよりも安く、どこよりもきれいに、どこよりも早く」をトークに元請けや様々な店舗に営業をかけました。そんな中、お試しで利用した業者から、売り込み以上の技術に信頼を受けるようになり、仕事が殺到するようになりました。それから数年間は寝る間もないほど仕事をし、会社の基礎をつくっていきました。

会社の成長と危機

   創業から数年後、多田氏は経営理念を作成しました。当時は経営理念の本来の意味はわかっていなかったそうです。しかし、「未来永劫に通じて不変の広がりを見せるような理念にしよう」という想いをこめて成文化しました。
 会社は創業6年目に売上が1億円、11年目に3億円に成長しました。このころから多田氏は「社長の仕事は外部に顔をひろげること」と、会社のことは専務にすべて一任するようになりました。しかし、社長が不在がちになった社内では、社員間の意識のズレやコミュニケーション不足によるトラブルが起こるようになり、創業の目的とは違う方向の会社になっていきました。
 最初は「多少の考え方や価値観の違いを受け入れることは社長の度量」と社内に対して口出しをしなかった多田氏ですが、どことなく違和感のある社内の雰囲気を感じ取り、社内アンケートを実施します。そこには価値観の違いから生じた多田氏への厳しい意見が書かれていました。「会社に行きたくない」そんな思いにもなりましたが、それでも多田氏は「このままではダメだ」と個別面談にて社員と腹を割って向き合うようになります。何度も話し合いを重ね、会社と社員が良くなる方向を模索した結果、専務と一部の社員で新たに別会社を立ち上げるということになりました。
 お互い合意の上でのことでしたが、結果として会社が二分する危機的状況の中で多田氏を支えたのは、創業当時からの社員たちでした。「社長もう一回やろう」「次は俺たちが支えるから」そんな言葉に勇気づけられ、多田氏は目先の売上を目指す事実前提の経営から企業価値と企業品質の向上を目指す価値前提の経営へと転換する決意をし、2010年に第二創業をスタートさせました。

理念経営の徹底へ

   多田氏が最初に行ったのは経営理念を徹底的に浸透する仕組みづくりでした。経営理念を自社の目的・存在価値をより具体的にわかるよう三つに細分化し、それに基づいた方針や各部署・個人の月次計画の作成、部門会議での検証・改善とPDCAが回る仕組みを構築しました。ここでの計画には売上や利益の数値目標は入っておらず、ボーナス等の評価基準も方針を基にした計画の達成度にあわせています。「目的を達成するために目標があるので、私たちは理念の達成度を重視しています。」と多田氏は言います。
 また、採用に関しても採用基準を明文化し、理念や価値観の共有を重視しています。「NBMではたとえ能力が高くても考え方が違う人材は決して採用しません。品質=人質であり人の成長に重きを置いているからです。」という多田氏の考えがそこにはあります。
 理念の浸透は現場で作業をしているクリーンパートナー(CP)さん達も同様です。本社と同じように毎日現場ごとで朝礼を行い、理念の唱和の後、行動指針をものさしとしながら意見交換をしています。採用時の研修や定期的なミーティング、月報や現場に行ってのコミュニケーションなどCPさんとの係わりも重視しています。そこでの考え方・価値観の共有が現場でのワンランク上のサービスの提供に繋がっています。
 このような徹底した理念経営の実践は、自立した社員を次々と生み出す社風をつくり、社員が主体となった新規事業や社会貢献活動にまで繋がっています。成果として業績も16期(2012年度)は売上、利益ともには過去最高の実績となりました。
 「経営理念を実践出来ないとよく聞きますが、それは実践する仕組みを作ってないからではないでしょうか。仕組みをつくり徹底的にやることで、理念は浸透し自立した社員が育つ環境が出来ます。もちろん常に自身が自立した社長であるのかと自問自答しながら考え行動することも重要です。社長が自立し、社員が自立し、会社が自立した時に初めて社会に貢献できる企業になれるのではないでしょうか」と多田氏は語ります。

経営理念 よりよい生活空間を美創する

三つの目的

一.従業員とその家族の物心両面における幸せを実現する
一.丁寧で心あたたまるサービスの実現を通じてお客さまへ「感動!」を提供する
一.末永く地域社会から愛され信頼される「よい人、よい会社」を創る

私たちの提供する商品、サービスは、作業の質や効率、価格も重要ですが『人』そのものが商品です。

行動指針【私たちのスタンダード】

  13項目のスタンダード(行動指針)をものさしに日々、自らの思考と行動を確かめつつ、自らの心を研鑚し人間力の向上に努めます。

1.感謝の気持ち
2.謙虚なこころ
3.思いやり
4.笑顔と挨拶
5.凡事徹底
6.素直な心
7.誠実な行動
8.前向きに
9.服装・4S
10.報・連・相
11.環境に配慮
12.安全衛生
13.創意工夫

コーポレートスローガン

元気!笑顔で、はつらつと!

会社概要

設 立:1997年
資本金:1,000万円
年 商:4億5千万円
社員数:15名
クリーンパートナー:200名
事業内容:総合ビルメンテナンス事業、環境関連商品販売
所在地:香川県綾歌郡宇多津町浜六番丁78-2
TEL:0877-49-7107
FAX:0877-49-7109
URLhttp://www.nbm-ecoservice.com/

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