シリーズインデックス:若者がいきいき働く企業へ

【第20回】社員と共に成長してこそ会社の未来が拓ける (有)山形E旅 代表取締役 金田 史生氏(山形)(2014.09.03)

 金田社長 (有)山形E旅 代表取締役 金田 史生氏(山形)

 金田史生氏((有)山形E旅社長、山形同友会会員)は、大手食品メーカーの営業を経て、2002年に実弟と旅行代理店を創業しました。一緒に業務にはげんできましたが、なかなか業績は思うように伸びず、仲良し兄弟だった二人の間にはいつしか溝が生じました。社内はトップが二人いる状態で険悪なムードとなり、社員が次々と退職。新しい社員を採用しても辞めていくという繰り返しに、「なんで俺の言うことが分からないんだ」と悩んでいた2007年、山形同友会に入会します。

良い会社にしたいと経営指針を作成

 社屋外観  悪循環が続く中、金田氏は中同協定時総会で社員教育をテーマにした分科会に参加しました。そこで「経営指針書をつくって社員の定着が良くなった」という報告を聞きます。さっそく翌年2010年、「良い会社にしたい」と山形同友会の経営指針作成セミナーに申し込みました。
 セミナーでは経営者の責任を厳しく問われ、会社の存在意義や目的も考えずやってきた自分を見つめ直す機会となりました。これでは社員がついてきてくれるわけがない。経営がうまくいくはずがない。すべては自分が招いてきた結果ということに気づきます。
 それから社員・お客様・取引先・地域のことを考えて半年をかけて経営指針書を作成。それをもとに、自らの思いを社員に語り、本気で改革に取り組みました。

危機の中で新卒採用

 執務風景1  同じ方向に向かって会社が歩み出したある日、求人を出していたハローワークからの紹介で、大学四年生のSさんが応募してきました。創業以来、中途採用で人材を確保していたので、時間がかかり、先行投資となる新卒の採用には迷いがありました。それでも先輩経営者の「新卒はいいよ。じっくり育てると会社を強くする」という話を耳にしていたことから、インターンシップを経て、採用を決めました。
 ところが、入社直前の3月11日に東日本大震災が発生。翌日からキャンセルの電話が殺到し、半年間の売上を失うという事態に直面しました。売上の見通しがまったく立たず、廃業するか、会社を継続するかの選択を迫られます。「眠れない日々を過ごしていたとき、社員一人ひとりの顔が浮かんだ」と金田氏は言います。「この社員たちと一緒にもっと仕事をやっていきたい」と継続を決意し、経営指針書を持って銀行に行き、新たな借入を起こして、社員とともに危機を乗り越えました。
 予定通り4月に入社したSさんは、3日に1回の出勤で、「先輩たちがキャンセルの手続きに追われている姿を見ても何もできない自分がとてもつらく、不安だった」と、当時を振り返ります。

新入社員を迎えることで成長

 仕事が回復してくると、今度は時間がかかるのを覚悟して採用したはずなのに、声が小さく、おとなしいSさんに対して「なんでそうなの?」という思いがわいてくるようになりました。はじめての新卒採用に葛藤しながら、自分が新入社員だったころ、「声を出して元気よく」と先輩たちに何度も言われていたことを思い出しました。自信がないから声が小さくなるわけで、ゼロからのスタートだから分からなくても当たり前と思うようになってから、怒られても頑張っている芯の強さを持ったSさんの姿が見えてきました。
 現在4年目になったSさんは、営業に添乗に毎日、忙しく働いています。そして今年、新卒の新入社員が入り、教育係を担当しています。Sさんは慣れてきた仕事一つひとつに対して質問されることで、何のためにするのかを再確認しながら教えています。「これは自分の仕事を見つめ直す機会となって、自らの成長にも役立っています」とSさん。また、新入社員とっては一番身近な先輩からいろいろアドバイスをもらえることで、自分の近い将来を描きやすくなります。
 金田氏は、「後輩に聞かれて分からないとは言えない。覚えさせるというのは大変なこと。教えることで、自らの立ち位置が分かってくる。みんなが新入社員と関わることで、そういう体験をしながら成長していくことを実感している」と言います。

新卒採用で理念型経営をめざす

 執務風景2  同社では新入社員研修はもちろんのこと、同友会が主催するさまざまな研修に社員も参加しています。これには金田氏の「ずっと会社にいてほしいが、結婚などいろいろな事情があって他社で働くことになっても“あなたはすごい”と言われるように、自らの人生のためにいろいろなことを身につけてほしい」という思いが込められています。
 「中途採用は売上のための即戦力。新卒採用は社会人としての教育から始まり、時間はかかるが、3年で大きく成長する。社員の成長がなければ会社の未来はない。理念型経営には新卒採用の社員の定着が必要。経営指針書に採用計画をしっかりと盛り込み、3年ごとの新卒採用を考えている。すべての社員が会社の存在意義を話せるように、じっくり時間をかけて育てていきたい」と、明るい雰囲気の会社で金田氏は語ります。

経営理念

私たちは、旅への想いを大切に “いいたび”でご提案いたします。
私たちは、地域の魅力を伝える “架け橋”となります。
私たちは、幸せになるために 働く喜びを追求します。

会社概要

設 立:2002年
資本金:3,500万円
事業内容:第2種旅行業
従業員数:5名
所在地:山形市長町4‐5‐43
TEL:023‐681-3139   
URLhttp://www.yamagata-etabi.com

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