シリーズインデックス:若者がいきいき働く企業へ

【第28回】若者と地域が共鳴する企業へ (株)南福岡自動車学校 代表取締役会長 江上 嘉実氏(福岡)(2014.11.05)

江上社長 (株)南福岡自動車学校 代表取締役会長 江上 嘉実氏(福岡)

 (株)南福岡自動車学校(江上嘉実会長 福岡同友会会員)は福岡県大野城市に本社を置く自動車学校です。1956年に創業し、3代目の江上喜朗社長にわたって続いています。

少子高齢化、車減少社会を生き抜く力=若者が育つ環境づくり

自動車学校  創業当初は車社会の到来もあり、波に乗った業界でしたが、ここ数年は少子高齢化による生徒数の減少、そして車そのものに乗らない社会に変わってきました。その時代を生き抜くためには若い人の感覚が会社内に必要だと考え、10数年前から新卒採用に取り組み、毎年採用しています。補助として中途採用をすることもあるそうですが、他の学校のやり方を覚えた人はなかなか根付かないといいます。

 事業承継した3年前、現社長は30歳。若い感覚をもった企業に変革するために思い切って譲りました。「中小企業が大企業に勝てる部分は『人』であり、中小企業だからこそ、自分の才能を発揮できる場があり、より喜びを感じられる」と現社長は言います。2年前から「成長対話」という上司と部下が月に1回面談をし、年間目標や人間的な成長を促す場をつくっています。今年からは「新人研修プロジェクト」を起ち上げ、研修内容を新入社員が考える機会を与えることで、全社的な成長を望める取り組みを行っています。

 また、社員の育児休業に関しては上限を設けておらず、休みたい時まで休むことができます。このように社員が安心して働くことができる環境の追求も行っています。

「事故を起こさない教育」と「楽しさ」の融合

車両  会社の特徴で他と大きく違うのは、現会長の時代から交通事故の減少に力を入れていること。「交通心理士」という交通事故防止や、交通環境の整備の分野で心理学を活用する資格を20名以上が保有しています。一つの自動車学校内にこれだけ有資格者がいる学校は他にはありません。地域の学校に出向いて交通安全の講話を行うなど、事故防止・交通安全の追求が南福岡自動車学校の大きな特徴です。

 事故を起こさないという自動車学校の命題を追求するとともに、せっかく免許を取るなら「おもしろおかしく」という独自の路線もこの学校の特徴です。例えば自動車学校というと、100点満点から減点方式で点数をつけていくため、どうしても生徒さんに対し指導員が「ここができてなかったね」という声掛けになりがちです。今の若者は叱られ慣れていないということもあり、生徒さんがいきいきと講習を受けられるように工夫をしています。

 一つは全社員が「ほめ達」という検定を取得し、できなかったことよりもできた部分をほめる指導方法を2013年に導入しました。このことで生徒さんへの指導はもちろん、社内でもお互いの良い部分をほめる文化が生まれてきています。

 二つ目に現社長がCMやイメージキャラクターなどで楽しさをアピールしています。他の自動車学校にはないユーモアがあります。

地域とともに

 一般的に、自動車学校は大通り沿いの目立つ場所に立地していますが、同校は住宅街の中にあり、外からは見えません。そこで、江上氏が主催者となり、地元の祭りを開催し、自動車学校も場所を提供し、地域とのつながりをつくっています。そのことで、地域住民からの認知度が上がり、例えばその祭りに参加した子どもが将来、免許を取る際に同校を選ぶなど、「将来への布石」という意味でも意義のある祭りとなっています。

将来の展望

 「労働環境の面では、結果だけではなく、がんばったプロセスを評価する制度を導入したい」と江上氏。また、現在は生徒さん向けの学校内託児所を、社員向けにも導入できるように検討しています。

 「自動車学校は免許を取るだけの場所ではない」と、現会長・社長ともに口をそろえて言います。運転の技術はどの学校に行ってもある程度身につきますが、運転に対する心構えや命のたいせつさを教えることが自動車学校の使命だということです。「事故をなくす」「楽しく」という2つの精神のもと、単なる自動車学校ではない、総合的な教育機関をめざし、日々努力しています。
社員とともに

会社概要

創 業:1956年
事業内容:福岡県公安委員会指定の自動車学校
従業員数:110名
所在地:福岡県大野城市下大利3-2-20
TEL:092-581-2231
URL:http://www.mfds.co.jp

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