シリーズインデックス:若者がいきいき働く企業へ

【第31回】定期採用が会社を元気にする 大王運輸(株) 代表取締役 天白 拓治氏(三重)(2014.12.17)

  大王運輸(株) 代表取締役 天白 拓治氏(三重)

   大王運輸(株)(天白拓治社長、三重同友会会員)は、三重県内で冷凍及びチルド食品専門3PL(サードパーティロジスティクス)サービスを展開しています。活動範囲や取扱品を絞ることで独自性を高め、配販分離の流れの中で配送、荷役、梱包・包装、流通加工から情報管理まで物流をトータルで請け負うことで、オンリーワン企業をめざしています。
 5年前から新卒採用に取り組んでいます。ドライバーの高齢化が問題となっている運送業界で、社員の平均年齢が44.3歳と若く、若年ドライバーや女性が多数活躍しています。

平均年齢が50歳を超えている

   新卒採用を始めたきっかけは、天白氏が協会役員としてドライバーに義務付けられている年2回の健康診断に参加していたときに気づいた違和感からでした。天白氏は20年ほど前から参加しており、当初は自社の社員がいると若い方だと思っていました。しかし5年ほど前、いつものように参加者をみていると、役員も含め健診を受けに来ている顔ぶれが変わっておらず、年々高齢化が進んでいることに気づきました。
 このことが気になり、自社の社員の年齢を確認してみると平均年齢が50歳を超えており、当時の自分の年齢と変わらない状況にがく然とし、自分が年を取るように社員も年を取るという当たり前のことを再認識しました。自分の息子が後継者として入ってくることを想定した場合、今いる社員のほとんどが退職していることに気づき、新卒採用に着手しました。

ドライバーのイメージを変える

 これまでにも地元の高校からの新卒採用は度々行っていましたが、高校の進路担当の先生は運送業に対して「しがない職」という認識で、問題児の受入をお願いに来るといった状況でした。そうした子どもたちを育てる思いで採用していましたが、結局長くは続かず定着することはほとんどありませんでした。

 この経験を踏まえ、今回は大学生の新卒採用にチャレンジしようと決意しますが、高校生の採用と違い、どうやって採用すればいいのかがわからず、三重同友会の共同求人活動に参加して大卒者の採用方法を学び始めました。しかし、何度か合同企業説明会に参加してみるものの、ドライバーという職になかなか思うように人が集まらず、試行錯誤を繰り返す中で、ドライバーのイメージを変えていくことが必要だと気づきました。

 同社ではスーパーなどへの配送だけでなく、店頭での品出し陳列や売り場の管理も行っており、集金活動も行っています。そのため店舗スタッフや一般のお客様との接点もあり、従来のドライバーとは異なる特徴がありました。ある日、取引先である大手メーカーの営業がスーツを着て配送トラックに乗って現れるのを見ていた工場長から「このイメージですよ!」と提案があり、スタイルを一新。業務の特徴とイメージを打ち出した募集方法に変更しました。

定期採用で社内の空気が変化

   またこうした取組を思案していたころに参加した例会で、人事コンサルタントをされている(株)O-GOEの杉山社長(三重同友会会員)と出会い、報告を聞く中で「自社に人事部がないのだから、専門にお願いすればいい」と思い立ち、すぐに依頼しました。その後は杉山氏に協力を仰ぎながら二人三脚で活動を続け、4年で14名を採用し、来年も5人が新たに入社予定です。人手不足で採用が難しいという声が多くある中で、「採用は、計画的・継続的に取り組んでこそいい出会いがある。これまで活動を続けてきたことで、今の状況でもうまく採用ができている」と天白氏は言います。
 
 新卒採用を始め、毎年若い社員が入ってくることで、社内の空気も大きく変わりました。採用を始めたころは入ってくる社員をどう育てるのか、社内に育てるという風土そのものがなかったため、受け入れる社員の側が緊張していました。しかし、今では毎年入ってくる新入社員を心待ちにするようになり、部署ごとに教育カリキュラムを考え、だれが何を教えるのかを自分たちで分担して指導にあたっています。また入社2~3年目の社員には毎月1回定期的に研修会を行なっており、社長自らの薫陶(くんとう)や取扱商品の食べ比べ、異業種の企業見学、同友会の研修参加など知識だけでなく視野を広げることを重点に取り組んでいます。

   入社した若手社員からも、毎月開かれる研修について「業務についてだけでなくさまざまな業種や企業を学べることや同期や後輩の仲間たちとの交流の機会になっており、楽しみにしている」との声も聞かれます。また定期採用を続けていることで、自分の後輩ができることで、伝え教える立場になることの嬉しさや責任感を見てとれます。運転中は孤独なドライバーの業務において、職場に戻ったときに話し合える仲間の存在や配達先でのお客様とのコミュニケーションは、やりがいにもつながっています。

一人ひとりの個性を生かして

   こうした新卒採用を通じて、天白氏は「最近の若者はすごいと実感しています。ゆとり世代と揶揄(やゆ)されることが多いですが、皆それぞれにキラリと光る個性を持っており、その個性を生かした登用ができるかが経営者の責務だと感じています」と言います。かつては高度成長期の右肩上がりで、問題があっても先進国を見れば答えがある時代でした。しかし情勢は大きく変わっており、少子高齢化など日本は課題先進国となり、欧米などをみても答えはなく、自分たちで考え乗り越えていくしかありません。こうした時代を生き抜くために、社員教育においては問題解決思考法に重点をおいて、自ら考え行動する習慣の定着化を図っています。

 「新たな事業展開やサービスの展開において、これからはマーケティング力が重要になってくるため、今後はこうしたスキルを磨く研修なども取り入れて行きたい」と天白氏は意欲的に語ります。

会社概要

創 業:1954年
資本金:1,200万円
年 商:7億5,000万円(2013年実績)
従業員数:146名
事業内容:冷凍及びチルド食品専門のトータル物流サービス
所在地:三重県多気郡明和町斎宮1854‐6
URLhttp://www.dyoh.co.jp/

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