シリーズインデックス:若者がいきいき働く企業へ

【第37回】安心が新入社員の成長を促す (株)日向中島鉄工所 代表取締役社長 島原 俊英氏(宮崎)(2015.03.26)

島原社長 (株)日向中島鉄工所 代表取締役社長 島原 俊英氏(宮崎)

 (株)日向中島鉄工所(島原俊英社長、宮崎同友会会員)の創業期は、日本の高度成長期初期の歴史と重なります。「自社は鉄工業だが、サービス業だ」という創業者(前社長)の信念と姿勢が、取引先からの信頼の高まりを生み、口コミで取引先が増えてきました。ステンレス工場をもつ強みを発揮して、食肉・食鳥処理機械の製作のほか、しょうゆやみそ、焼酎といった発酵・醸造関係の装置製作など、地域に密着した食品関連の仕事を得意として業績を伸ばし、宮崎県北部を代表する鉄工メーカーに成長しています。 

共有されない状況を変えたい

 現社長の島原氏は、大学卒業後、プラントを輸出する企業に就職。13年後の1999年に父親の経営する同社に入社します。会社は2年赤字が続いており、もう1年続いたら危ないと言われるのではという状況でした。「社内は、親方風の職人に2、3人の子分的社員がついて、そのグループが10~20個乱立しているという状況。これが会社だろうかと思った」と島原氏は当時を振り返ります。仲の良い人同士は協力しますが、仲が悪いと一切協力しない。技術や経験、情報がまったく共有されていない状況でした。「この状況を変えたい」ともがいているときに、島原氏は宮崎同友会と出合います。

社員全員でかかわる経営指針づくり

 経営者はどうあるべきか、社員さんとの関係はどうあるべきかなどを考える場ができたことで、まず社員の声を聞くところからスタートしました。「会社の問題点はどこだと思う?」「会社がどうなればいいと思う?」と聞きながら、経営指針を成文化。入社2年後の社長就任のときに経営指針の発表をしました。それからは、社員と企業視察や朝礼などで語り合う場をつくり、少しずつギャップを埋めてきました。そんな取り組みを重ねる中で、社員自身の思いが出てくるようになり、いまでは、経営指針も、社員全員がかかわってつくっています。

一人ひとりが会社全体を考える

社員の様子  社内で経験や情報の共有を進める一方で挑戦してきたのは、下請けからの脱却です。食品加工機械メーカーとの信頼関係の中で営業をしなくても仕事がとれるという利点はあるものの、景気が悪くなったときに自ら動けないという立場を変えたいと考えたのです。設計部門を作って設計を育てることに着手し、自分たちから市場を開拓し受注や業務形態を変えてきていました。

 一人ひとりが会社全体のことを考えながら動き始めると、いろいろなことが変わってきます。「営業は営業、設計は設計ではなく、現場の人たちも会社全体のことを考えながら話をすることで、会社一体となった営業活動が展開できます。わが社が何を目指しているのか、地域の中で何をもって貢献がするのかが、常に語り合える会社に変化をしてきました」と島原氏は言います。

新人と先輩がともに育つ「ブラザー・シスター制度」

社員の様子2  新卒社員の採用にも力を入れ、高卒中心だった採用から大学卒にシフトし、2010年に初めて4名の新入社員を迎えました。期待して育てた社員が途中で辞めるのは企業にとって大きな損失です。同社が新入社員の職場定着と成長を促すためにこの年から取り組んだのが、新人一人ひとりの面倒を先輩社員が見る「ブラザー・シスター制度」です。

 その第1期生である林田尚子さんのシスターを務めたのは、親子ほど年の離れた近藤好子さんでした。文系出身の林田さんが配属されたのは製造現場。林田さんは日誌にその日に起きたことや疑問、悩みを書きます。それをもとに近藤さんと話し合い、その悩みを解決していきます。「道具の名前も使い方も全くわかりませんでした」という林田さんの不安や悩みは、一つひとつに丁寧に応えてくれる近藤さんの指導で解消され、入社した年に3つの資格を取得する成長を見せました。

 一方の近藤さんも「最初は年が離れているので、話が通じるかな、わかり合えるかなと不安でしたが、そうでもありませんでした。林田さんの質問に答えるために、わかりやすく説明できる工夫や勉強をしたり、当たり前と思ってやっていたことに疑問を持ったりすることができるようになってきました」と、「シスター」側の利点も語ります。今年で入社5年目。そろそろ林田さんにも「シスター」の出番がありそうです。          
 今年度も2名の新入社員を迎える同社。2016年の採用へむけて、宮崎同友会共同求人委員会での活動もスタートしています。「新入社員が些細な悩みや疑問をこまめに解決することで安心して成長できる職場をつくり、その社員一人ひとりの成長が企業の成長を産み出していく」と島原氏。その歯車が大きく動き出していることが感じられます。

会社概要

創 業:1969年
資本金:3,000万円
年 商:8億8,485万円(2014年度決算)
事業内容:食品工場向け機械の設計、製造、据え付け、保全
プラント用機械設備の設計、製造、据え付け、保全
従業員数:60名
所在地:宮崎県日向市大字日知屋17148番地9
TEL:0982-52-7215
URL:http://www.hn-t.co.jp

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