シリーズインデックス:チャレンジ環境経営

【第3回】暮らしづくりは環境活動(株)建築工房零 代表取締役 小野幸助氏(宮城)(2015.04.15)

小野社長 (株)建築工房零 代表取締役 小野 幸助氏(宮城)

家づくりは、事業の目的ではなく手段

 (株)建築工房 零(ゼロ)(小野幸助社長、宮城同友会会員)は、小野氏が家づくりを通した「脱化石燃料生活」「脱浪費型社会」をめざして、起業した会社です。小野氏は、大学時代や前職(機械メーカーのエンジニア)に就いていたころから抱いていた環境問題への意識と、建築の仕事がしたいとの思いで建築業界に飛び込みました。

 魅力を感じて入った建築業界の実態は「スクラップ&ビルド」が主流の世界でした。家は人生最大の買い物であるはずなのに、日本の家の寿命は26~7年と言われていました。「先進諸国では100年もつ家がたくさんあるのに…」、日本の家の使い捨て・浪費型社会に小野氏は疑問を感じ始めます。その疑問が、同社の創業の精神を生み出しました。

 「国産木材を使った木組みの家をつくる。暮らしそのものを変える」。その創業の精神をはっきりと明文化したのは、宮城同友会の『経営指針を創る会』を受講したときでした。「家づくりは手段であって暮らしづくりこそが目的」。今まで自分の胸のうちにだけあったものが結晶化しました。「暮らしが集まって地域や社会をつくる。だから零は、家ではなく社会と未来をつくるのだ」と。

零がつくる家(1)家そのものが環境活動

住宅01  「不必要な建物は作らない。どんな家であろうとも、人工物を作るということそのものが環境に負荷がかけているから」。同社では、そう言い切ります。家を建て替えたいとの要望をお客様から受けたときに、まだ住めるようならばそのまま住み続けられるような提案をすることも多くあります。

 新築の場合は、1.丈夫であること2.時を経ても家族の変化にしなやかにフィットしていくことを考慮して、長く使い続けられる家にします。よくある、子どもが独立すると活用しない部屋が出来てしまう家。そういう家も作らない。つながりを持たせた大きな空間を作り、必要に応じて必要な期間だけ間仕切ってスペースを作って、必要がなくなれば間仕切りを取り払って広々と使う。作り込み過ぎない。これが、同社が作る家です。新築当初で120%の満足よりも、家の長い寿命の中で常に80%の満足が持続できる、住む人と一緒に成長する伸びしろのある家づくりを目標としています。

 そしてお客様の大切な資金を預かって家を建てる以上は、有意義な使い方をしたいと考えています。暮らしそのものが環境活動となるように、地域でお金が回るように。つまり同社の営業活動、本業自体が環境活動なのです。

零がつくる家(2)実際の仕様

 同社が作る家にはエコを最大限取り入れていますが、いわゆる補助金でエコ設備を入れるというものとは少し違います。

 東北で使われるエネルギーのおよそ8割は熱を得るためのエネルギーであるため、暖房・給水・調理には電気を介さずに一次エネルギーを直接利用できるようにし、エネルギーロスを減らすようにしてあります。

 具体的には、1.素材は地域の無垢木材と漆喰や珪藻土などの自然素材を使用。2.暮らしのエネルギーの消費を抑える設計や断熱施工。3.設備には自然エネルギーを利活用する暖房・給湯を導入の3点です。その最たるものは木質バイオマスエネルギーの熱利用で、新築時の標準暖房機器はペレットストーブ。現在は新築の8割以上はペレットストーブまたは薪ストーブを採用しています。太陽熱を利用した暖房システムを採用しており、こちらは新築の約4割を占めています。雨水タンクも人気です。

ハードを通して価値観の転換へ

説明の様子  同社のお客様は環境意識の高い人が多いように思われがちですが、多くは、木の家の温かい雰囲気や建物のデザインに魅力を感じてくれる人です。そして零と一緒に家づくりを進めていく過程で、環境や社会に自分たちの暮らしがつながっていることに気づき、竣工した後の暮らしぶりにもその考えが色濃く反映されていくのです。

 森が育んだ自然の木材に触れられることやペレットストーブや薪ストーブの炎を眺めながら暖を取ること、そして一生懸命に家を建てた職人さんたちの笑顔を時折思い出してもらいながらの暮らし。それは数字で表現できるエコや省エネ以外に、こういう暮らし方を豊かだと思う素地をつくっています。こういう価値観に変わっていってもらうこと―特に子どもたちに―が事業の最も大きな目的だと零では考えています。

 つくるのは新築の家でなくていい。実際に事業としては建築の枠を超えて、エネルギー事業やコンセプトショップの運営も手がけ、豊かな暮らしづくりを五感で提案しています。

 小野氏は最後に語ります。「私たちは東日本大震災を経て、食とエネルギー、家族や地域の大切さを知ることができました。同時に今の巨大な社会システムが実はものすごく脆弱だということに気づきました。それらのことを踏まえ、これからの地球に生きていく子どもたちに、胸をはって引き継いでいける社会づくりが、私たちの会社の、そして大人一人ひとりの責任だと思うのです」。

会社概要

設 立:2005年 
資本金:2,000万円 
事業内容:建築業(住宅、店舗設計施工)
従業員数:36名
所在地:宮城県仙台市泉区上谷刈6-11-6
TEL:022-725-2261
URL:http://www.zerocraft.com/

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