【第8回】地域のニーズに合わせた資源循環型の仕組みづくりをめざして 湯澤工業(株) 常務取締役 湯沢 信氏(山梨)

湯沢社長

湯澤工業(株) 常務取締役 湯沢 信氏(山梨)

 土木工事を主な事業とする湯澤工業(株)(湯沢信常務、山梨同友会会員)では、1997年から産業廃棄物の収集、再生処理業をスタートさせました。これは社内で資源を再生させ、循環させる仕組みをつくりたいとの思いから取り組みが開始されました。同社の土木工事で排出されるがれきや木材は、破砕・再生プラントで処理され、堆肥や集成材などの原料へと再生されます。

 後継者の湯沢氏は「ゴミがゴミではなくなる時代。そのときに建設業者として、地域に根ざす企業としてどうあるべきかを考えて経営していかなければならない」と語ります。この間会社が安定的に発展する中、新たな会社の柱として「木質ペレット」の生産を開始しました。

手探りで製造プラントを設置

ペレット工場

 湯沢氏は2010年に本社のある南アルプス市に木質ペレットの将来性をプレゼンテーションし、多方面に理解を広げてきました。時代も進み同市が「バイオマスタウン構想」を打ち出したことも追い風となり2014年に木質ペレットの製造に踏み切ります。

 製造プラントの新築にあたっては、地元の業者に依頼し手探り状態の中でプラントを設置。ペレットの乾燥工程やダイスでの圧縮加工など試行錯誤を繰り返し、幾多の困難を乗り越えての操業となりました。湯沢氏は「やってみなければ分からないという精神でここまできた」と言います。
 
 現在、年間の生産能力は1,000トンで主にボイラーで利用されるペレットを800トン生産しています。そのペレットは市内の3つの温泉施設に配送され消費されています。3日に一度のサイクルでペレットを配送する中、通常のトラックでは効率が悪くトラックをペレット専用の運搬車に改造するなどの取り組みも注目を集めています。

県産材のみにこだわったペレット製造

 山梨県内では木質ペレットの製造会社は同社を含め3社と少なく、県外産のペレットに頼った供給構造となっています。しかし同社では、県産材のみを原料として製造し、その原料もすべて林業者からの購入という地域内循環型の供給体制にこだわっています。

 「供給者としては需要の創造が第一の課題であり、まずは情報発信をしていかなければならない」と湯沢氏は言います。一方では、木質ペレットがさらに注目され、生産量があがってくると、県産材に限らず材木の取り合いになり、買取価格が高騰してくる懸念もあります。また、多額の設備投資を回収するまでの利益を確保するには時間がかかります。

 これまで、品質、環境、労働安全に関わるISOを取得し、やまなし産業大賞の経営品質部門の優秀賞にも選ばれる企業づくりを進めてきました。湯沢氏は「父親である社長をしっかりと支えながら、事業の柱である土木事業をさらに大きくし、地球環境保全と顧客や地域のニーズに合わせた地域内循環型の仕組みをつくりあげたい」と語ります。

社員さんと

会社概要

創 業:1958年
資本金:3,000万円
事業内容:土木工事、建設機械リース、産業廃棄物収集運搬、処理及び再生
従業員数:50名
所在地:山梨県南アルプス市六科1186
TEL:055-285-0041
URL:http://www.yuzawakogyo.com/ka.html