【特別版】農業における自然エネルギーの活用と共存 農業生産法人グリンリーフ(株) 代表取締役 澤浦 彰治氏(群馬)

中同協第46回定時総会第10分科会より要約

原発事故の影響と価値観の転換

 2011年3月11日の原発事故が、私たちの農場や取り組みを大きく転換するきっかけになりました。原発事故の後、売上が半分近くまで落ち込み、その時にお客様の価値観が変わったと感じました。視点から「放射能」へシフトされ、群馬県は汚染されているというレッテルを貼られてしまいました。

消費者のジレンマ、太陽光発電の導入決断

太陽光パネル

 原発事故から約半年後、再生可能エネルギーについての議論が政府で始まり、電気の固定買取制度の情報が入ってきました。翌年の2012年4月頃、買取価格が40円に決まり、工場の屋根に265kWの太陽光パネルを設置しました。「これで会社全体の17%くらいの電気がまかなえます」と、話したところ、みなさんの表情が明るくなりました。消費者の方に一つの方向性を示すことができたと感じています。

海外から学ぶ

 当社はしらたきをヨーロッパに輸出しています。商談で2012年にヨーロッパに行ったとき、10年前は風力発電の風車は数本しか見かけませんでしたが、あちこちに風車がたくさん建っていました。さらにドイツの南の方に行くと牧場に太陽光パネルがたくさん並んでいました。

 ヨーロッパでは、農村や地域の人たちが再生可能エネルギーに取り組んでいました。農場経営、牧場経営の人たちが発電事業やバイオマス事業に取り組み、地域のエネルギーをまかなう、あるいは発電した電気を売電して収入を得るというスタイルがありました。

 ヨーロッパでは“農業+発電”が当たり前で、お客様の安心につながり、さらに農場のイメージアップにもつながることもわかりました。自分自身が苦しんでいたのは、農業のスピードと世の中から要求される成長のスピードにタイムラグがあること、それをどう埋めていくかが大きな課題としてありました。これも昔の篤農家から学び、自分でエネルギーを持つことで、自前の資金で前向きな農業投資ができるようになり、さらに高い付加価値のものが作れるようになるということも見えてきました。

地域企業が再生可能エネルギーに取り組む意味と意義

 私は地域をひとつの小さな国として考えたときに、地域外からいかにお金を呼び込んでくるか、そこが発展の大きな要素になっていると思います。田舎で地域外からお金を呼び込むというのは、第一次産業と、それを原料とした工業、それからエネルギーと観光、この四つ以外にないと思います。

 地域の発展には外からの転入者の増加、やはり人口が増えないといけません。2015年当社では、託児所を作ります。子どもと一緒に出社して、お昼を子どもと食べて一緒に退社する。そんなスタイルの働き方を目指しています。農業の生産性向上、安定した雇用環境と労働環境の確立にも、再生可能エネルギーへの取り組みが有効に使えると思います。

会社概要

創立:1994 年
事業内容:有機野菜・こんにゃく芋等の栽培、こんにゃく製品の製造、漬物の加工販売等
従業員数:70名(内パート、アルバイト47名)
所在地:群馬県利根郡昭和村赤城原844-12
TEL:0278-24-7711
URL:http://www.akn.jp/