シリーズインデックス:チャレンジ環境経営

【第19回】「環境」は利益以外の成果を生むキーワード (株)越村商店 専務取締役 越村 春樹氏(石川)(2015.09.16)

越村社長 (株)越村商店 専務取締役 越村 春樹氏(石川)

 (株)越村商店(越村春樹専務、石川同友会会員)は石川県で古紙回収や産業廃棄物の回収および処理を行っている会社です。

 具体的には、スーパーや事業所の段ボールや書類、金属類の回収、地域のPTAや町内会の古新聞、古雑誌、空き缶、古着、ペットボトル等を集めて仕分け、梱包してリサイクルの一端を担っている「街のくず屋さん」です。

ISO14001取得をめざす

社屋  数年前に、手狭になった本社を移転するのをきっかけに、ISO14001の取得をめざすことになりました。狙いはいくつかありました。

 まず、仕事自体が環境業であるにもかかわらず、働く社員の意識は低く、幹部は「儲かるかどうか」ばかりに関心がいき、現場職は「言われたことをすればよい」という状態を、「われわれが環境を守っている」という「環境のプロ集団」に変えること。

 また、同社のルールである科学主義(PDCA)が実際にはほとんど実践されていなかったため、外的な監視を味方につけ、問題解決の手法としていつもPDCAサイクルが回っている会社にすることなどです。

 取り組んで10年、ISO14001を取得して丸8年が経過しましたが、その間、積んでは崩すを繰り返し、どうにかいくつかの取り組みを継続して行ってきました。「その中で最も効果があり、かつ、意識せず達成できた取り組みがあります。有名なのに、あまり取り組まれていないことです」と越村氏は言います。

アイドリングストップ

 アイドリングストップはどこでも取り組んでいる事と思うかもしれませんが、同社の場合は収集車両に特別にその機能が付いていません。社員が信号待ちなどで停車したときに、手動でエンジンスイッチを切るのです。1日20回を目標にし、会社に戻ったら日報の書込み時に「今日の成果」とともに「ストップ回数」を書き込み、最後に一人ひとりが感想を書きます。「道が混んでいて売上目標が達成できませんでした」「A社に行ったら重量が少なくて」「順調でした、バッチリ」など、これを何年間も続けています。これだけのことです。

 「最初に社内の環境委員会がこの取り組み企画を持ってきたときはがっかりしました。とても成果を期待できず、『セルモータが壊れる、逆に燃費が悪くなる、仕事が遅くなる』と思いました。また、経営指針の発表会の委員会報告では、その成果を『4万回以上のストップによって133リットルの燃料の削減ができました』と発表した時は本当にガックリきました」と越村氏。毎月2~300万円も燃料代を使っている自社において、皆で一年間努力して、13,000円しか成果が出なかったと発表したからでした。しかも、それを聞いた社員さんががっかりしていない。努力と成果の関係を感じていないのです。
しかし実は、ものすごい効果・結果があったのです。

1. まず燃料の削減は、売上が上がっていたので確認できず、計算理論値で13,000円と発表しましたが、おそらくは年間500万円ぐらいは減っていました。急発進、急停止が減り運転が優しくなりました。
2. 事故が半減しました。路上はもちろん、構内やお客様先のドアやシャッターの破損などもなくなりました。エコ運転と安全運転は同じです。いくら注意喚起しても成し得なかった安全運転が自動的に手に入りました。
3. 日報の重要性とその使い方が変わりました。日報は元々ありましたが、管理者だけが書いていました。現場職は本日の予定を終えれば帰るだけ。自分の仕事しか関心がなく、自分の仕事さえ成果に関心がありません。成果を言い出すと、それはノルマになり、重圧になり、事故が増えたり、退職者が増えたり。それを朝の唱和で「経営理念」「管理項目」「環境方針」を唱え、仕事を終えたら、自らが日報を書き、成果とアイドリングストップ回数と感想を書きます。管理者は、そのまとめを書く。これだけで、管理のシステム化と良い動作の習慣化ができたのです。

利益以外の成果も同時に問う

 ISO14001という環境経営のシステム化によって気付いたのは「経営理念」や「環境方針」を年に数回唱和しても、毎日言うのは「経理的成果」の利益のことばかり。これを日報という毎日のレベルで、利益以外の成果も同時に問う事ができるシステムの重要性です。「環境は利益以外の目標、目的を初めて社内に導入するには最適なキーワード」と越村氏は語ります。後からついてくる経済的利益より、何より社員の自主性とレベルアップが図られるともいいます。現在は、月報も入れて、有給取得日数、委員会活動時間、教育訓練時間、余裕人数なども成果に入れています。

会社概要

設 立:1978年
資本金:6,000万円
事業内容:産業廃棄物中間処理、廃棄物再生事業、産業廃棄物の収集運搬、一般廃棄物の収集運搬
従業員数:85名
所在地:石川県金沢市湊一丁目29番2
TEL:076-238-5339
URL:http://koshi.co.jp/

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